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難解な文章をパッと読み解く「超簡単なコツ」

1月26日(日)5時35分配信 東洋経済オンライン

今回は読解を助ける「ベン図」を紹介します! 写真はイメージです(写真:しげぱぱ/PIXTA)
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今回は読解を助ける「ベン図」を紹介します! 写真はイメージです(写真:しげぱぱ/PIXTA)
近年、子どもたちの読解力の低下が懸念されています。文章を正しく読み解いて理解する力は、学生時代だけでなく、資料を読み解いたり相手の言葉から真意をくみ取るなど、大人になってからも必要なスキルです。
ですが、人気の中学受験国語塾を主宰する善方 威氏は、学校や塾では、答えの解説をするくらいで、読解そのものに必要なスキルを教えていないと指摘します。多くの生徒に指導する中で編み出した独自のノウハウを、著書『全教科対応!  読める・わかる・解ける 超読解力』で公開した善方氏に、読解力を高める方法を解説してもらいました。
■読解力を高めるために重要なのは「あてはめる力」

 ベストセラーとなった新井紀子さんの著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』でも指摘されているように、現代の子どもたちの読解力の低下について注目が集まっています。

 それは、長年、国語の指導をしている私も常々感じていました。ですがこれはある意味、当然のことだと言えます。

 私は学校の先生や塾の先生にも、国語の教え方の指導をしているのですが、誰もが知っている有名校の先生や、教科書の制作に関わるような先生でさえ、国語の成績が伸びるための教え方を知らないのです。とくに、受験の合否を左右する読解力に至っては、どう教えたらいいのかわからない先生のもとで、いくら勉強しても成績が伸びない生徒たちがため息をついているのが現状です。
 また、学校の国語の授業をのぞいてみると、力を入れているのは、「感想」や「感情」の部分です。論説文を読んで感想を書き、物語を読んで主人公の感情を発表するといった授業が行われています。読解そのものに必要なスキルに至っては、あまり教えられていないのです。

 そもそも読解力とは、簡単に言えば「論理的に文章を読み解く」能力を指します。

 読解力は、「国語」の成績に関係するだけではありません。数学でも英語でも理科でも社会でも、テストには問題文があります。文章読解力がなければ、これら問題文も正しく理解できないため、あらゆる教科の成績が振るわないということにもなります。
 また、話相手の言葉や新聞記事、仕事の資料などの意図を正しくくみ取ることができなければ、日常生活にも支障を来します。

 では、読解力をアップさせるにはどうすればいいでしょうか。私は、学生たちや教師・講師に国語の指導をする中で、読解力を高めるために重要なのは、「図式」や「道具」に「あてはめる力」が重要なのだと気がつきました。

 算数には公式がありますし、医療であれば病名があります。また法律家も、罪名が決まらなければ、その後の罰も与えることはできませんから、「あてはめる」という仕事が必要です。読解力もこれと同じなのです。
 そこで私は、論説文や物語文に当てはめる独自の「図式」や読解を助ける「道具」を編み出し、生徒に教えてきました。これらを使えば、茫漠と広がる読解の世界を、自分の手で再構築することができるようになります。

■経産省官僚も間違える文章問題

 さて、皆さんの読解力はどうでしょうか?   自信のある方もない方も、ぜひ次の問題に取り組んでみてください。

 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』にて取り上げられていた、某新聞社の論説委員から経産省の官僚まで間違えたという、難解(? ? )な問題です。
<例題>
『アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。』
問 この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
“セルロースは( )と形が違う”
①デンプン ②アミラーゼ ③グルコース ④酵素
(出所:新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』、東洋経済新報社)
 確かに、サッと読み解くことが難しい文章です。一読しただけでは意味がすぐにつかめないかもしれません。本問では、

① 「セルロースは分解できない」のは →「アミラーゼ(という酵素は)」と文全体の主語・述語を認識する。
② 「デンプンを分解する」のは→「アミラーゼ(という酵素は)」と主語・述語の「関係」を認識する。
③ ①、②を踏まえ「セルロース」と「デンプン」は同じグルコースからできていても「形が違う」とわかる。
 という手順で、①の「デンプン」という正解を導くことになります。けっこう複雑ですね。

■難解な文章を解きほぐす「ベン図」

 このように頭の中だけでは理解しにくい場合におすすめなのが「ベン図」です。ベン図とは概念の範囲や関係性を図で表したものです。

 「論理的に正確」なベン図を書く必要はなく、「頭の整理に役立てばよい」と割り切って書けばよいのです。次のようなベン図が書ければ、何の迷いもなく正解にたどり着くことができます。
 文章の内容が頭に入らないときに、とりあえずベン図を書いてみるのもよい方法です。言葉が図として捉えられるようになり、それゆえ認識しやすくなるからです。また、手を動かすことで思考がまとまりやすくもなります。

■もう1問問題を解いてみましょう

 ここで、頭の体操としてもう1つ問題を解いてみましょう。次の文章が表すベン図は、下のア・イ・ウのうちどれでしょうか。正しいベン図を選んでみましょう。

<問題文>
生徒は2種類までの部活に所属することができます。運動部に所属している子のうち、10%は文化部と兼部しています。文化部同士を兼部しているのは、全体の20%です。運動部同士の兼部は禁止されています。
 <選択肢>

 アは文化部の兼部についての図が抜けています。ウは真ん中の部分が3つの部活を兼部できるように示されていますので、正解は、イとなります。

 このように、ベン図は概念相互の関係を考えるときに役立つものですが、広すぎるベン図は、概念の範囲を示すことができません。つまり文章において、はっきりした定義をしていないということです。

■相手を煙に巻くためにベン図を広げることも

 政治家の答弁などを聞いていると、「この人はずいぶんベン図を広げるな」と思うことがあります。
 カジノ法案を通すために、ある政治家が「日本人をもっと信用しましょうよ」と答弁したことがありました。この政治家に反対したら「では、あなたは日本人を信用していないんですね?」と切り返されるはずです。そうなると反対した人のほうが立場が悪くなる。でも、ベン図で考えると、この政治家の発言がおかしいことがわかります。

 本来であれば、ベン図のなかの米粒ほどの範囲「カジノで遊ぶ日本人」を対象に議論しなければならないところを、この政治家は「日本人」と言ったわけです。ベン図を大きく広げて話をしているのです。
 相手を煙に巻くためにベン図を広げるような話をする人、例えば、「男性(女性)は皆」「子どもはつねに」などのようなベン図を広げた言い方には、注意が必要なのです。

 このようにベン図を思い描きながら新聞を読むようになると、例えばその政治家の発言がどのくらい信用に値するかを判断できるようになります。また、大げさな広告にだまされたりすることもなくなるでしょう。ベン図を使うことで、自分を守ることができるようになるのです。
善方 威 :中学受験国語塾β(ベータ)国語教室代表

最終更新:1月26日(日)5時35分

東洋経済オンライン

 

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