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動いたメルペイ、オリガミ吸収でも続く苦境

1月25日(土)5時55分配信 東洋経済オンライン

メルペイはオリガミを吸収するが、LINE・ヤフー連合の背中は遠い(撮影:尾形文繁)
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メルペイはオリガミを吸収するが、LINE・ヤフー連合の背中は遠い(撮影:尾形文繁)
 これで業界再編は必至だろう。

 スマートフォン決済サービスを展開するメルペイは1月23日、同業のオリガミを買収すると発表した。政府による「キャッシュレス・消費者還元事業」の後押しもあり、拡大の続くスマホ決済市場だが、自社持ち出しのキャンペーン合戦に息切れするプレーヤーも出始めている。

 オリガミはその最たるケースかもしれない。創業は2012年。スマホ決済・オリガミペイの提供開始は2016年と、業界の中でも先駈け的な存在だった。小売店や飲食店などへQRコード決済サービスの導入を進めてきたほか、東京ガールズコレクション、サカナクションの全国ツアーなど、イベント会場でのサービス提供も行ってきた。
■「勝ち筋」が見えないビジネスモデル

 だが、加盟店は国内約19万カ所と、ソフトバンク・ヤフー連合のペイペイ(同185万カ所)など競合他社に圧倒的な差をつけられている。加えて決済専業のスタートアップであることから、決済アプリを窓口に利用者をほかのサービスへ送客して儲ける、といった戦略も取れない。スマホ決済の業界関係者からは「勝ち筋がまったく見えない」という声も多く聞かれていた。

 直近までに公表されているオリガミの業績(2018年12月期)は、売上高がわずか2.2億円なのに対し営業利益は24億円超の赤字。赤字はここ数年膨らみ続けており、還元競争が激化した2019年12月期はさらに厳しい状況だったとみられる。
 厳しいのはメルペイとて変わらない。利用者数は500万人、加盟店は170万カ所と、サービス自体の成長は続いている。ただ、親会社メルカリの業績は振るわない。直近の2019年7~9月決算では、四半期でこれまでの最大となる70億円の営業赤字を計上した。本業である国内フリーマーケットアプリ事業で稼いだ収益をアメリカのフリマ事業とメルペイ事業への先行投資が食い潰す状況が続いている。

 巨額の費用が先行するのは、メルペイにとってある程度「想定内」といえる展開だが、誤算だったのは2019年11月に発表されたヤフーとLINEの経営統合だ。
 スマホ決済においても、ヤフー系のペイペイとLINEの展開するLINEペイが同じZホールディングス傘下に納まることになる。サービスを統合するか、両ブランドを残すかの方針はまだ明かされていないが、利用者のサポート部隊や決済システムの一本化が実現するだけでもコスト圧縮効果は大きく、業界内での競争力が増す。

 メルペイはこの統合発表まで、加盟店開拓などでLINEペイと共同戦線を張っていたが、はしごを外された形だ。2019年12月には、メルペイ、LINEペイが中心となって立ち上げ、d払い(NTTドコモ)やauPAY(KDDI)も巻き込んで活動してきた加盟店開拓連合「Mobile Payment Alliance」の終了も発表された。
 メルカリの山田進太郎社長は2019年12月の東洋経済のインタビューに「これ(LINEペイとの提携見直し)がメルカリの戦略の根幹を揺るがすことはない」と話したが、単独で利用者や加盟店を開拓し続けるには限界がある。やはりヤフー・LINE連合に対抗する手だての必要性は感じていたはずだ。

 メルペイ、オリガミの両社は今後、利用者への一定の周知期間を置いた後、メルペイへサービスを統合する予定だ。キャンペーンやテレビCMの費用を1つのブランドに集中投下できるようになるメリットは大きい。オリガミはこれまで、各地の信用金庫との関係構築を進めており、このネットワークは、今後加盟店獲得の本丸となってくる地方や中小の商店を取り込むのに役立つだろう。
■弱者連合に勝機はあるのか

 新たな一歩を踏み出すメルペイとオリガミだが、今回の統合発表について「弱者連合」と言ってはばからない業界関係者も少なくない。

 MMD研究所が1月に発表した「QRコード決済の利用経験」に関する調査によれば、利用率のトップはペイペイで61%、LINEペイは28.7%だった。対するメルペイは16.3%、オリガミペイに至っては4.7%と、統合したところで力の差は歴然としている。

 メルペイは今後、メルペイを使って購入した商品の情報をメルカリアプリに「持ち物一覧」として反映するなどの機能拡充を予定している。出品しやすい環境を作り、フリマとの相互送客を推進できるかが、生き残りのカギを握りそうだ。
 メルペイよりさらに利用者の少ない”弱者”がどう動くかも焦点だ。前出のMMD研究所の調査では、10位以下の利用率はすべて2%に満たない。みずほフィナンシャルグループが2019年3月から提供を開始したJコインペイは0.7%に過ぎない。今後は複数プレーヤー同士で手を組んだ加盟店・利用者開拓はもちろん、思い切ったブランドの統廃合も早晩進むとみられる。

 キャッシュレスへの機運が高まり、クレジットカードや電子マネーに次ぐ「普段使いツール」として地位を高めてきたスマホ決済。だが、いくら人々の日常に浸透したとしても、利用者が選ぶメインの決済手段はせいぜい2つ程度だろう。
 その枠を勝ち取れないサービスは、今回のオリガミのように「ブランド消滅」の運命を免れない。
長瀧 菜摘 :東洋経済 記者

最終更新:1月25日(土)5時55分

東洋経済オンライン

 

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