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EVの「2020年問題」、メンテナンスの現場に迫る《楽待新聞》

1月25日(土)11時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
私たちが毎日、当たり前のように利用している「エレベーター」。動いて当然、事故が起きなくて当然と思われがちだが、それを陰で支えるプロフェッショナル達がいる。

「人の安全を守る、責任感が求められる仕事です」。こう語るのは、エレベーターの保守・点検を行う会社、コムテックで法定検査や故障対応を担当している白濱さん。普段はなかなかスポットライトを浴びることのない仕事だが、どんな人たちが、どんな思いで作業に当たっているのか。コムテック社の協力のもと、マンションのエレベーター点検作業の様子を取材した。

■エレベーター点検の現場に潜入

今回の現場は築30年、4階建てのRC造マンション。設置から20年が過ぎた、比較的古いタイプのエレベーターだという。

エレベーターの駆動方式は、ロープと巻上機でかごを昇降させる「ロープ式」と、電動ポンプで油圧を調整しながらかごを昇降させる「油圧式」に大別される。今回点検するのは、低層の建物などに多い油圧式のエレベーターだ。この日作業に当たったのは3名。1日で4物件を回るのだという。

最初に点検したのは、エレベーター内に設置された通話装置の動作。ボタンを押してコントロールセンターにきちんと繋がるか、センターの担当者と会話をしながら、お互いの声がクリアに聞き取れるかなどを確認する。

続いて扉を開けて昇降路の内部へ。ボルトの緩みなどがないか、丁寧に確認していく。昇降路の床にはゴミなどが落ちていることが多く、放置すれば火災につながりかねない。これも、ホウキとちりとりで丁寧に清掃していく。

今度はかごの上に乗り、下に降りながら昇降路内の点検を進めていく。下から上に昇りながら作業をすると、昇降路内の突起物などに気がつかず挟まれてしまう可能性があるため、必ず降りながら作業を進めていく。

白濱さんによると、エレベーターの故障で最も多いのは扉の開閉に関するものなのだという。そのため、各階の乗り場ドアを動かすための機器は特に入念にチェックする。そのほか、基板などの電機部品に汚れが溜まっていないか、ボルトに緩みがないかなどを順番に確認。「直接手で触ることで、機器の異常に気がつく。点検作業では、自分の手で触ってみることが重要」(白濱さん)なのだそうだ。

■エレベーターは「人間の体のようなもの」

昇降路の次は機械室へ。機械室には、エレベーターの頭脳とも言える制御盤と、エレベーターの動力となる油圧ポンプがある。エレベーターを安全に動かすためには、機械室の点検も非常に重要だ。油圧ポンプ周りでは、油漏れが発生していないかを確認する。油漏れがあると圧力が不足し、かごが沈下してしまうこともあるという。

点検や部品管理を担当する西畑さんはエレベーターを人体に例え、「制御盤は人間で言うところの脳、油圧ポンプは血液みたいなもの」だと話してくれた。保守点検はさしずめ健康診断のようなものなのだろう。「ただ、エレベーターは痛い(異常がある)を訴えてはくれないので、難しいですよね(笑)」

■間違った物件管理が故障を招く?

エレベーターのトラブルの原因は、部品の劣化や、ほこりが溜まったことによる基板の故障などさまざまだが、時に誤った清掃方法がトラブルを招いてしまうこともあるのだという。

「たとえば共用部の廊下の清掃時、水をそのままエレベーターの昇降路内に捨ててしまって、故障の原因となるケースもあります。その他に、各階の乗り場にあるボタンを洗剤で掃除した際、隙間に洗剤が入り込んでボタンが押せなくなってしまうといったトラブルもあります。そうなると部品の交換が必要になってしまいます」(西畑さん)

間違った物件の管理・清掃が思わぬ故障を招いてしまうこともあるようだ。

■エレベーターの「2020年問題」とは

作業は約1時間で終了。次の現場に向かう前に、彼らはもう1つ別の仕事をこなしていた。求人サイトに掲載する写真の撮影だ。求人に力を入れているのには、ある事情があった。

「最近、エレベーターのリニューアル工事の件数が増えていて、メーカー側でも工事の手が足りない状態です。人を増やして工事を速やかに行えるよう、求人には力をいれています」(白濱さん)

ではなぜ、最近になってエレベーターのリニューアル工事が増えているのか。背景にあるのは、エレベーターの「2020年問題」だ。エレベーターが数多く新設された1990年代の設備が設置から30年を迎えた現在、一気に寿命を迎え始めているのである。同時に、大手メーカー各社は2020年以降、旧型部品の供給を順次やめていく予定であり、リニューアル工事の受注がピークを迎えているのだ。

■この仕事のやりがいは

最後に、この仕事を始めたきっかけについて聞いてみた。

入社1年目の若手で、大学では電気電子工学を専攻していたという照沼さんは、「以前から機械と電気に興味がありました。エレベーターの故障は、よく電機的な故障と機械的な故障、という風に分けられるんですが、この仕事なら電気と機械の両方に触れていられる。両方の勉強になるので、好きな仕事です」と笑顔で話してくれた。

白濱さんも「モノをいじるのが好きだったので、外に出て現場で作業する仕事がやりたかったんです。普段、エレベーターのかごの上になんて乗る機会はないですから、この仕事に興味が沸いたし、魅力を感じました」と話す。

父親が同じ仕事をしており、幼い頃からその背中を憧れの眼差しで見ていたという西畑さんは「故障が発生すると、みんなで駆けつけて作業をします。(原因の究明が)難しいケースもあるのですが、原因を見つけてエレベーターがうまく動いたときは、一生忘れられないくらいの感激があります」と、この仕事のやりがいを語ってくれた。



1棟モノのオーナーから見ると、維持管理費のほか、リニューアルに多額の費用がかかるエレベーターは時にやっかいな存在だ。しかし、入居者にとってはなくてはならない重要な設備でもある。もはや生活の一部とも言えるエレベーターの安全な稼働の裏には彼らプロフェッショナル達の情熱と努力があることを、覚えておいてほしい。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:1月25日(土)11時00分

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