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アサヒビール、ビール類販売数量の公表取りやめ 「数を追う経営からの脱却」という理由は本当?

1月24日(金)11時50分配信 THE PAGE

 ビール業界最大手のアサヒビールが2020年からビール類の販売数量の公表を取りやめると発表したことで、業界には波紋が広がっています。これまで数字を公表していた企業がそれを取りやめる時というのは、企業側にとって都合が悪い事情が存在するケースがほとんどです。なぜアサヒは数量公表を取りやめるのでしょうか。

業界内部から批判

東京・墨田区のアサヒビール本社(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)
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東京・墨田区のアサヒビール本社(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)
 同社は昨年12月、ビール類全体の販売数量について、2020年から公表しない方針を明らかにしました。これまでビール各社は自社の販売数量を公表し、それに基づいて業界ではシェアの状況を把握するとともに、各社に投資する投資ファンドなども販売数量のデータを使って経営状態を分析してきました。販売数量が伸びているにもかかわらず、売上高があまり伸びていない場合には、価格を引き下げている可能性がありますし、その逆もあり得ます。販売数量のデータは、企業分析になくてはならないものといってよいでしょう。

 各社が正しい統計を発表することは、健全な競争市場の育成につながりますし、市場からの信頼性も高まり、業界全体によい効果をもたらします。自動車業界はその典型ですが、社会的信頼の高い業界ほど、統計情報の公開に積極的です。

 ところが業界トップのアサヒが非公表の方針を打ち出したことで、業界内部から批判の声が出ているほか、市場関係者も懸念している状況です。

主力商品は販売数量を公表する方針

 アサヒとしては、数量を追うビジネスから脱却するという目的があるとのことですが、これは表向きの理由でしょう。なぜなら、数量を追うのはやめると主張する一方で、スーパードライなど売れている主力商品については引き続き販売数量を公表する方針だからです。

 数字というのは不思議なもので、シェア争いで勝っている企業にとっては、格好の宣伝材料となりますが、負けている企業にとってはあまり触れて欲しくない対象となります。かつてビール業界は、キリンが圧倒的な首位でした。その後、アサヒが猛烈な営業攻勢をかけてシェアを逆転したという歴史があり、当時のアサヒは首位になったことを強調していました。業界関係者の中には、キリンに再度シェアを逆転されそうなので、公表停止に踏み切ったと考える人も多いようです。

 ビジネスにはよい時も悪い時もありますから、都合のよい時だけ数字を使うというのは、業界全体に対してあまりよい結果をもたらしません。アサヒが本当に数を追う経営から脱却できたのかは、今後の業績が示すことになるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:1月24日(金)11時50分

THE PAGE

 

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