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平均年収2000万超え! M&Aキャピタルパートナーズの年収はなぜ高いのか?

1月19日(日)6時01分配信 ダイヤモンド・オンライン

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 電通vs博報堂。ヤマト運輸vs佐川急便。アップルvsアマゾンetc.
有名企業の決算書を徹底分析! 「儲かっている」のはどっちだ?
本連載は、誰もが知っている有名企業の決算書を対比させることで、「仕事に効く会計知識」と「経営分析の基本」を一気に学ぶものだ。著者は、「監査法人」「証券会社」「ベンチャー企業」「会計コンサル」、4つの立場で「会計」に携わった経験を持つ川口宏之氏。近著に『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』がある。

● 財務諸表で徹底分析!

 本日は、平均年収2478万円を誇るM&Aキャピタルパートナーズを分析します。下記の画像(M&Aキャピタルパートナーズの決算書)を見てください。

 M&Aキャピタルパートナーズの平均年収は2478万円です。上場企業は、社員の平均年収を有価証券報告書に必ず記載しなければなりません。有価証券報告書の「第1 企業の概況 5.従業員の状況」が掲載場所です。

 財務諸表を分析していきましょう。2018年9月期のM&Aキャピタルパートナーズの営業利益率は49.1%、粗利益率は64.8%となっています。

 M&Aの仲介というサービスを提供する会社なので、「売上原価があまりかからない」のは納得のいくところです。

 実際にM&Aキャピタルパートナーズの売上原価の内訳を「売上原価明細書」で確認してみると、驚くべきことがわかります。
● 原価のほとんどは社員への給料

 なんと売上原価に占める人件費の割合は75.5%もあります。つまり原価のほとんどが社員に対する給料ということです。下記の画像を見てください。

 裏を返せば、それ以外はコストがほとんどかからない儲けやすいビジネスといえます。だからこそ、社員に高額の給料を支払っても高い利益率を維持できるのです。

 世の中にあまたあるM&A仲介会社の中で、M&Aキャピタルパートナーズの特徴は着手金無料という点です。

 一般的には、着手金が支払われてから譲渡先候補を選定するのが普通です。会社の譲渡(売却)を考えている中小企業経営者にとっては、買い手が見つかるとも限らないのに、事前に報酬を支払うのは抵抗があるでしょう。

 そこで、着手金を無料にし、譲渡先企業との基本合意がなされて初めて報酬が発生するというスキームにしたのです。

 つまり、成功報酬型にすることで、譲渡を考えているオーナーの心理的ハードルを下げ、たくさんのM&A案件を抱えることに成功しました。

  M&A仲介のようなマッチングビジネスは、顧客(売り手と買い手双方)をたくさん抱えている仲介会社に依頼が集まるのが通常です。顧客が少ない仲介会社よりマッチング率が高まるからです。

 さらに興味深いのが、人件費の内訳です。
● 人件費の大半は賞与

 下記の画像を見てください。

 内訳も売上原価明細書に注記されているのですが、なんと人件費の約4分の3は賞与なのです。

 それに比べて給料手当(おそらく固定給)は17%にすぎません。わかりやすく1人当たりの金額で計算してみましょう。M&Aキャピタルパートナーズのコンサルタントは期末時点で64人です(残りは管理部門の人たちの人件費で、これは売上原価には計上されず、販売費及び一般管理費に計上されます)。

 この人数で計算すると、基本給は約450万円、賞与は約2000万円という数字が現れました。冒頭で触れた2478万円とほぼ同じ数字になります。

 M&Aキャピタルパートナーズのベースの固定給450万円は、一般的なサラリーマンの平均年収の400万円とさほど違いはありません。しかし高額なボーナスによって、高い平均年収がもたらされているのです。

 M&Aキャピタルパートナーズが顧客から受けとる金額が成功報酬、社員に支払う給与もほとんどが賞与(インセンティブ給や業績連動給与)。ゆえに、売上高の増減に伴って、人件費も増減するローリスクなコスト構造といえます。下記のイメージ画像を見てください。

 中小企業の社長の高齢化と後継者不足により、事業承継に悩む中小企業の経営者が増えています。二代目社長がいないからといって、せっかく育てた会社を畳んでしまうのは、もったいないことですし、日本経済全体にとっても損失です。

 そこで、自社を信頼できる会社に売却するというM&Aの手法が、中小企業の間で脚光を浴びています。このような時流に乗り、同社のM&Aの成約件数や売上高は年々増え、これに伴って人件費(社員の平均年収)も増えているのです。

 (本原稿は『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』第2章からの抜粋です)

 関連記事『キーエンスはなぜ高年収なのか? 財務諸表で徹底分析!』
川口宏之(かわぐち・ひろゆき) 公認会計士
1975年栃木県生まれ。2000年より監査法人トーマツにて、主に上場企業の会計監査業務に従事。2006年、みずほ証券にて、主に新規上場における引受審査業務に従事する。2008年、これまでの経験を活かし、ITベンチャー企業の取締役兼CFOに就任。ベンチャーキャピタルからの資金調達、株式交換による企業買収などで成果を上げた。現在は会計コンサルとしてIFRS導入コンサルティング業務や決算支援業務、各種研修・セミナーの講師等を担当する。「監査法人・証券会社・ベンチャー企業・会計コンサル」。4つの視点で会計に携わった数少ない公認会計士。研修・セミナーでは「生きた数字」を感じてほしいという思いから、「実在企業の財務諸表を分析する」コーナーを設け、大きな支持を得ている。指導実績は1万人を超え、受講満足度は5段階評価で平均4.8を誇る。
川口宏之

最終更新:1月19日(日)6時01分

ダイヤモンド・オンライン

 

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