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「イクメン」進次郎、安倍後継レースから脱落か

1月18日(土)5時20分配信 東洋経済オンライン

環境相の会議で育児休暇の取得を表明する小泉進次郎環境相(左端、写真:時事)
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環境相の会議で育児休暇の取得を表明する小泉進次郎環境相(左端、写真:時事)
 「自民党のプリンス」と呼ばれる小泉進次郎環境相が、「ポスト安倍」の有力候補者リストから消えつつある。

 環境相としての初入閣から4カ月が過ぎたが、政界での評価は低迷が目立つ。国民の間では「将来の首相候補」としてなお高い人気を維持しているが、与党内では「まずは閣僚としての経験と実績を積むのが先」との声が支配的だ。

■育休取得宣言に「芸能人気取り」の声

 1月17日未明には妻でフリーアナウンサーの滝川クリステルさんが第一子を出産した。それに先立つ15日に育休取得を宣言し、「久しぶりの進次郎劇場復活」(自民幹部)となった。ただ、これまでと違ってネットには「芸能人気取り」などと批判的なコメントがあふれている。
 2009年の初当選以来、政界随一の人気者として順風満帆だった小泉氏にとって、環境相就任直後の国際会議などでのいわゆる「セクシー発言」や「ポエム発言」がつまづきの始まりだった。国内外で「具体性に欠け、意味不明の言動」(閣僚経験者)との批判が吹き出したからだ。

 その後の臨時国会でも、それまで厳しく批判してきた森友学園問題での公文書改ざんなどについての野党の質問には、「担当外で答弁は控える」など、答弁メモの棒読みに終始。閣僚会見やインタビューなどでも、閣僚就任前のメリハリのある発言は影を潜めている。
 閣僚は内閣の方針に従うのが義務ではあるが、担当外の問題について政治家として意見を表明することまでは制限されていない。にもかかわらず「逃げやはぐらかしの答弁ばかりが目立つ」(自民幹部)ことで好感度も薄れ、ポスト安倍候補をめぐる各種世論調査での人気度も、数字的にはピーク時から半減という状況となっている。

 これに追い打ちをかけるように、一部週刊誌が独身時代の既婚女性との不倫疑惑やそれに絡む政治資金疑惑を報じた。小泉氏は「(政治資金は)法令にのっとって適正に処理していると認識している」と答える一方、不倫疑惑には「個人の事柄については話さない」とダンマリを決め込んだ。
 入閣前の小泉氏は、政権の不祥事などについて気の利いた表現で辛口の意見を発信し続けてきただけに、「小泉さん、あなたもか」(週刊誌記者)と失望の声が上がっている。

■長男誕生で「イクメン宣言」

 その小泉氏が久しぶりに華やかなスポットライト浴びたのが待望の長男誕生と、それに伴うイクメン宣言だ。出産に立ち会ったという小泉氏は、17日午前の閣議後、「とてもうれしく安心した。母子とも元気なことが何より」と満面の笑顔で喜びを語った。これに先立ち、15日午前の環境省の働き方改革関連会合で、第一子出産に合わせて育児休暇を取得する意向を表明した。
 具体的には生後3カ月までの間に、合計2週間程度を育児に充てるという。国会議員や閣僚には育児休業の規定がなく、現職閣僚が育休を取得するのは「きわめて異例」(政府筋)のこと。小泉氏は「大臣としての職務上、一般の会社員のようにまとまった期間を休むのは困難だ」として、国会や閣議出席などの公務を最優先し、閣僚としての仕事に支障が出ない範囲で育休取得や時短勤務などを実施する考えだ。

 これに関し、イクメン知事として育休問題の相談相手となってきた三重県の鈴木英敬知事は15日、小泉氏とのメールのやり取りの中で「育休中は子供のお風呂担当になるとの報告があった」と明かした。
 菅義偉官房長官は15日の記者会見で「小泉環境相の取り組みが、官民を問わない男性の育児参加促進によい影響を及ぼすことを期待したい」と好意的に評価した。その一方、自民党の森山裕国対委員長は「人それぞれの考えだと思うので、特にコメントしない」と突き放し、山口那津男公明党代表も「環境相という重要な責任を持つ立場。よく配慮し、各方面の理解を得たうえで、最終的な判断をしてもらいたい。まずは職員が育児休暇を安んじてとれる環境を整えるのがやるべき仕事では」とくぎを刺した。
 野党側からは「勤務時間が定まっていない閣僚は、時間をやりくりすればいいだけなので、(育休宣言は)的外れだ」「不倫疑惑などの週刊誌報道から目をそらすのが目的では」などの厳しい声が上がった。ネット上では「#小泉進次郎 育休」のスレッドが立ち、育休制度がない国会議員は休んでも歳費が満額支給されることも踏まえて、「育休中のサラリーマンに100%の給与保障はないのに」などと炎上した。

 小泉氏は環境相として「本業の環境行政では目立った実績をあげていない」(政府筋)のは否定できない。2019年12月の第25回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP25)では、地球温暖化対策を妨げているとして国際環境NGOが日本に期間中2度、化石賞を授与したが、 その理由は小泉環境相がCOP25の場で「地球温暖化対策での石炭火力削減策では思い切った提案をできなかった」からだとされる。
 その小泉氏は仕事始めの1月7日、テレビ電話を通じて環境省職員らに年頭の訓示を行った。職員の移動や待機時間を省くため、小泉氏の発案で実現したもので、与党内からは「これが環境相として初の実績」(閣僚経験者)との声も出た。

 小泉氏は訓示の中で、業務効率化の重要性を強調し、「打ち合わせなどにはテレビ会議やメールを最大限活用するとともに、副大臣や政務官に代わりに公務に出席してもらうことも検討している」と語ったが、これも「育休宣言の布石」(自民幹部)と揶揄されている。
■結婚後は「妻ファースト」の毎日

 そうした中、イギリスのタイムズ紙は1月2日付の「2020年の世界をつくる『注目株の20人』」の1人に小泉氏を選んだ。ただ同紙は、「(小泉氏は)自信に満ちた態度で、いかにもお金をかけていそうな髪形をし、華やかな結婚相手がいる」との紹介と合わせて、「リベラル志向のクールなオーラを維持しながら、保守的な政権で権力を握った抜け目ない政治家」などと皮肉交じりに評し、「今年は彼が試される1年になる」と結んでいる。
 2019年夏の結婚後から小泉夫妻の日常生活を追い続ける有力週刊誌などは「小泉氏にとっては、妻ファーストの日々だ」(編集幹部)と指摘する。小泉氏は結婚後も基本的には東京・赤坂の議員宿舎住まいだが、いわゆる新婚生活は妻の滝川さんが独身時代から暮らすマンションが中心とされる。議員宿舎は動物の飼育が禁止されているため、毎日愛犬の世話をしている滝川さんと過ごすには妻の自宅しかないからだ。

 さらに、横須賀の実家への出入りも、「年末年始は極めて限られていた」(関係者)とされる。「『横須賀には住まない』という滝川さんの意向を尊重した」(同)のが理由とみられている。大臣として初の年越しも妻の自宅で、「滝川さんの家族に囲まれた、マスオさん状態の大晦日」(同)などと報道されている。
 こうしてみると、小泉氏への注目度はまだまだ高く、「取り上げれば視聴率も稼げる」(民放テレビ幹部)。ただ、入閣前と違って「『政治家・小泉』ではなく、『タレント・小泉』としての言動ばかりが取材対象となっている」(小泉氏周辺)のも事実。政界での口さがない向きは「今の状態は、結婚や出産を切り売りしている芸能人と同じ」(閣僚経験者)と突き放す。

 たしかに、ここにきて中央紙などが小泉氏の言動を報道する際は、政治面ではなく、社会面などでの囲み記事が多い。「メディアは小泉氏の環境行政での活動にはあまり興味がない証拠」(自民長老)で、「当面注目されるのは、閣僚としてのイクメンぶり」(同)となることも間違いない。それだけに、小泉氏に課せられた「ポスト安倍もにらんでの天才子役から成熟した大人の政治家への脱皮」(自民幹部)という道筋は、簡単にはひらけそうもない。
泉 宏 :政治ジャーナリスト

最終更新:1月18日(土)5時20分

東洋経済オンライン

 

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