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「ベンチャー投資減税」で企業の内部留保は投資に回る?

1月15日(水)11時40分配信 THE PAGE

 2020年度の税制改正大綱に、企業によるベンチャー投資を促す減税措置が盛り込まれました。大企業などがため込む内部留保を投資に回すことが目的ですが、果たして効果はあるのでしょうか。

内部留保は470兆 設備投資すら控える企業も

東京・丸の内のオフィス街(写真:アフロ)
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東京・丸の内のオフィス街(写真:アフロ)
 大企業は経済の見通しが明るくないことから積極的な投資を控えており、2019年9月末時点で471兆821億円もの内部留保をため込んでいます。安倍政権は企業がお金を使わないことをたびたび問題視しており、この資金を設備投資などに充当するよう要請していますが、企業側の動きは鈍いというのが現実です。

 こうした状況を打開するため、2019年12月に閣議決定された2020年度税制改正大綱には減税措置によって企業のベンチャー投資を促す制度が盛り込まれました。

 この施策は、大企業などがベンチャー企業に一定額以上出資した場合、出資額の25%を課税所得から差し引くというものです。出資先のベンチャー企業は設立後10年未満の非上場企業で、大企業のグループに属していないことが条件となります。

 ベンチャー投資を実施すれば減税になりますから、企業は積極的にベンチャー企業に出資するようになるという仕組みですが、現実は簡単ではなさそうです。

高リスクのベンチャー投資 減税措置の効果は?

 例えば1億円をベンチャー企業に出資した場合、2500万円が所得から控除されます。課税所得が10億円だった場合、控除後の課税所得は9億7500万円となり、法人税を580万円節約することができます(法人税率を23.2%と仮定)。一方、ベンチャー投資はリスクが高く、出資した金額が100倍になって返ってくる可能性もありますが、全額が損失となることも十分にあり得ます。1億円を失う可能性がある出資ですから、仮に減税で580万円の利益が出ても、それだけでベンチャー投資を増やすという決断にはなりにくいでしょう。

 企業体力のある一部の大手企業は積極的にベンチャー投資を実施していますが、こうした企業は減税措置があってもなくても出資を決めますから、やはり減税措置が影響を及ぼす可能性は低いと思われます。もっとも、当初から出資を検討しており、躊躇していたというケースなどにおいては、決断を後押しするという役割を果たすかもしれません。

 日本企業が内部留保をため込んでいるのは、将来に対する見通しが暗いことが原因であり、通常の設備投資すら控えている状況です。ましてや極めてリスクが高いベンチャー投資には消極的にならざるを得ませんから、大きな効果は期待しない方がよいでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:1月15日(水)11時40分

THE PAGE

 

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