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保育士の処遇改善交付金、約7億円が賃金上乗せに使われず 不透明な経営実態明らかに

1月14日(火)19時30分配信 THE PAGE

 保育士の賃金を増やすために政府が支出した交付金のうち、7億円が賃金の上乗せに使われていないという実態が会計検査院の調査で明らかとなりました。保育施設の中には、官公庁から多額の交付金を受け取っていながら、経営実態を積極的に公表しないところもあり、一部から透明性について批判が出ていました。今回の調査報告はこうした状況を反映したものといってよいでしょう。

保育施設の利益を優先か

保育士と園児のイメージ(写真:アフロ)
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保育士と園児のイメージ(写真:アフロ)
 日本は急速な人口減少時代を迎えており、働きながら子どもを安心して預けられる環境を構築することは、もっとも優先順位の高い政策課題のひとつとなっています。しかしながら、保育士の年収は低く、慢性的な人手不足に悩まされているというのが現実です。こうした事態を打開するため政府は、保育士の勤続年数や役職に応じて加算を設ける制度を導入し、交付金を支払うことで保育士の賃金を上げる施策を導入しています。

 ところが会計検査院が全国の6000カ所の保育施設を調査したところ、660の施設で7億円以上の金額が賃金の上乗せに使われていないことが判明しました。

 保育施設というのは実質的に官公庁からの補助金や交付金で運営されており、私立の保育施設であっても限りなく公的な存在です。ところが、一部の保育施設は、誰が経営しているのか、どのような財政状況なのか積極的に情報公開しておらず、業を煮やした厚生労働省が2013年に財務諸表の公表を義務付けたものの、情報公開が十分に進んでいるとは言えない状況です。

 政府の規制改革会議に提出された資料によると、厚生労働省所轄の304法人の経常収支差額の事業収入に対する比率(民間の経常利益率に相当)は、民間の上場企業並みに高いという結果が得られており、一部の保育施設では、利益優先で保育士の待遇改善にお金を回していない可能性が指摘されていました。今回の調査によってこうした指摘が事実であることが明らかになったといってよいでしょう。

政府や自治体による徹底的な管理監督を

 保育施設の運営事業者の中には、保育施設が増えると競争が激しくなり利益が減ってしまうとの理由から、事もあろうに新規の保育施設の開設に強硬に反対しているところもあります。多くの政治家が保育施設の充実を政策に掲げているにもかかわらず、保育施設は一向に足りていないことの背景にはこうした事情も関係している可能性があります。

 日本の少子化問題は、国難ともいえる事態であり、のんきなことを言っていられる状況ではありません。保育施設の運営が限りなく公的なものである以上、政府や自治体による徹底的な管理監督が必要でしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:1月15日(水)20時57分

THE PAGE

 

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