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研究開発目覚ましい「自動運転」SFが描く未来像 日産が短編集

1月13日(月)20時05分配信 THE PAGE

[イメージ写真]自動運転車に乗る男性(アフロ)
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[イメージ写真]自動運転車に乗る男性(アフロ)
 自動車業界はいま、100年に一度という大変革期を迎えている。とりわけ近年の自動運転に向けた技術開発や研究の進展は目覚ましい。自動運転は交通事故の低減、渋滞の解消や緩和、少子高齢化対策に効果がもたらされることが期待されており、国内外の自動車メーカーのみならず、GAFA(ガーファ=Google、Amazon、Facebook、Apple)など世界的なプラットフォーム企業なども巻き込んだグローバルな大競争になっている。

メーカーや地域で進む自動運転プロジェクト

 日本でも昨年2019年は自動運転の動きが多く展開された年だった。実用化に向けた実証実験が業界横断的に行われたほか、関連する技術を搭載した車なども発売された。ソフトバンク系のSBドライブは、ハンドルのない自律走行バスの走行実験を各地で行っているほか、秋田県上小阿仁(かみこあに)村では、地元のNPO法人が道の駅を中心に自動運転の車で料金を徴収して人を運ぶ商用サービス(走行延長3.2キロ)を始めた。

 さらに2020年の年明けには大きなニュースが飛び込んできた。トヨタ自動車はさまざまなモノやサービスがITなどでつながる「コネクティッド・シティ」を、2020年末に閉鎖する東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に新設すると発表した。自動運転や情報技術を用いた移動の新概念「MaaS」(マース=Mobility as a Service:移動のサービス化)の研究、人工知能(AI)技術などの実証実験などを行って新たなビジネス展開を目指すという。ここでも自動運転は柱の一つになっている。

 技術レベルや実証実験の水準が年々上がる中、自動車メーカー各社による自動運転対応車種の開発ピッチも上がっている。日産自動車は先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を搭載した新型スカイラインを昨年発表したほか、トヨタ自動車は今年夏の東京五輪・パラリンピックの選手村という限定領域で自動運転システムを可能にする「e-Palette」(イーパレット)を提供する。日本政府も力を入れており、今年中をめどに高速道路での自動運転(レベル3)のほか、限定地域での無人自動運転移動サービス(レベル4)の実用化(※)を目指している。

自動運転の未来はどんな社会になる?

 技術面の進展に注目があたる中で、自動運転が実現したら消費者の感覚ではどんな世界が見えてくるのか? そうした利用者サイドの視点に立って、SF作家や人気作家が未来像を短編小説で表現するユニークな試みも行われている。「日産未来文庫『答え合わせは、未来で。』」という期間限定の小説販売だ。日本SF大賞を受賞したSF作家らが描く全19話のショートストリーである。

 作品はそれぞれ、日常の生活の中で車を使う場面を切り取って、自動運転社会になった未来にどんな風景がみえてくるかということを予想している。自動化によって見えてくるであろうさまざまな生活の場面が、笑いあり、どっきりもありで、描かれている。「なるほどAI時代になるとそんなことができて、そんなおもしろいことも起こりうるんだ」という雰囲気に包まれた物語の数々が紹介される。作品は電子書籍「Kindle」ストアで購入できる。発売期間は20年1月30日まで。

 日産の担当者は「技術の目線でなく、技術開発の先にある安全でワクワクする自動運転社会の未来を考える機会を作り、いつか答え合わせができたらと考えて企画した」と話す。どれがぴったりあたるか“コンテスト”の雰囲気もある。昨年11月下旬の発売以来、読者の反応も上々だという。

 作家の一人で、「次の信号まで、持つよ」を書いたカツセマサヒコ氏は、「どれだけテクノロジーが発達しても、人と人との会話や、そこから生まれる感情の揺らぎは変わらない。そう信じて、できるだけ平穏な会話劇になることを意識して書いた」という。

 自動運転をめぐっては、技術や制度設計の面で不備がないようにするのは当然だ。その一方で、自動運転車に乗るのは人間であり、使う側にとって快適だったり、無理のない仕組みであったりすることもまた重要である。小説で先回りして、将来のあるべき姿を考えてみるというアプローチは、一つの賢明な方法なのかもしれない。

(3Nアソシエイツ)

(※)【自動運転のレベル】…国土交通省によると、「レベル1」から「レベル5」までの5段階に定義されている。「レベル1」と「レベル2」は、ドライバーが主体で運転する運転支援。「レベル1」では加減速または左右の車両制御のいずれかを自動で行うが、「レベル2」では加減速と左右の車両制御を自動で行う。主な例としては、「レベル1」は自動ブレーキや車線維持の支援、レベル2は高速道路の走行中に自動で追い越す、などを想定している。

 続いて、限られた範囲や条件下でシステムが自動運転するのが「レベル3」と「レベル4」。違いは「レベル3」ではシステムによる運転が困難な場合はドライバーが対応する必要であるのに対し、「レベル4」ではそういった場合でもシステムだけで走行を継続する点。最も難易度の高い「レベル5」は完全自動運転で、どのような環境下においてもすべてシステムが運転する。そのため「レベル4」以降は無人運転になる。

 記事中の上小阿仁村での事例は「レベル2」に一部「レベル4」の区間が混じる内容の実証実験だった。

最終更新:1月13日(月)20時20分

THE PAGE

 

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