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【不動産市場】今年の国内不動産市場は、高値安定推移がメインシナリオ

1月12日(日)15時30分配信 週刊 金融財政事情

AAAコンサルティング 副社長 COO(不動産鑑定士・CMA) 賀藤 浩徳
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AAAコンサルティング 副社長 COO(不動産鑑定士・CMA) 賀藤 浩徳
〔図表〕不動産投資家投資意欲と期待利回り
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〔図表〕不動産投資家投資意欲と期待利回り
 年初にあたり、2020年の国内不動産市場を見通してみる。不動産価格は、NOI(注1)÷期待利回り(注2)で計算されるが、この式の各項の変動予想で今年の市場を占ってみたい。
 まずNOIと期待成長率の推移は、20年の経済動向などに関する市場のコンセンサスを見る限り、足もととあまり変化はないと判断される。なぜならば、経済予想は「世界経済は緩やかに回復し、日本の実質GDP成長率は0.5%程度」、国内オフィス市場に関する各種調査機関の予想は「空室率・賃料の双方ともやや上昇」と概括されるからである。
 「東京五輪後の低迷」がしばしば懸念されるが、過去の先進国において、「五輪後」を理由として景気低迷や不動産価格下落につながったという明確なエビデンスは見当たらない。また、昨年の消費増税に伴う不動産の駆け込み需要は目立っておらず、今後の反動減も少ないことが予想される。さらに、日本不動産研究所による直近の不動産投資家調査に基づけば、今後について回答者の大半が積極投資意欲を示しており、かつ過去のトレンドよりも盛り上がりを見せているようだ(図表)。
 次にリスクフリーレート(国債利回り)とリスクプレミアムの動向について見てみる。これらは日銀の金融政策によって大きく動くが、日銀の金融政策に最も大きく影響を与える米金利の今年の主な変動要因を考えると、米大統領選と米中貿易摩擦となろう。
 トランプ米大統領の外交は、年初のイラク空爆のように、突拍子もない政策が取られ、リスクオフ(リスクプレミアム拡大)につながる可能性が高い。しかし、選挙対策で打ち出す諸施策は、基本的には経済や株価にプラス(=リスクオン、リスクプレミアム縮小)とされる。米大統領選の結果について、トランプ大統領再選でリスクオン(企業、経済、株価優先)、民主党候補の勝利でリスクオフといわれ、前者で景気好調を見越して金利上昇、後者では逆に金利低下が予想される。米中貿易摩擦も、小康状態を保てば金利上昇、激化すれば金利低下となろう。ここで注意すべきは、「金利上昇」と「リスクオン(リスクプレミアム縮小)」、「金利低下」と「リスクオフ(同拡大)」がセットとなることから、できあがりの期待利回りへの影響は相対的に小さいことである。
 以上から、20年の国内不動産市場は、NOI、期待利回りとも大きくネガティブに動くことは想定されず、逆に多少のイベント発生の影響は消化しつつ、高い価格水準を維持しながら緩やかに上昇を続けるという動きがメインシナリオとなろう。(「週刊金融財政事情」2020年1月13日号より転載)

(注)1 ネットオペレーティングインカム。賃料収入から管理費や固定資産税などの諸費用を差し引いた純収益をいう。
2 期待利回り=リスクフリーレート+リスクプレミアム-期待成長率
AAAコンサルティング 副社長 COO(不動産鑑定士・CMA) 賀藤 浩徳

最終更新:1月12日(日)15時30分

週刊 金融財政事情

 

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