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【新興国経済】家計消費が伸び悩み、成長率が一段と鈍化するインド経済

12月8日(日)15時30分配信 週刊 金融財政事情

第一生命経済研究所 主席エコノミスト 西濵 徹
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第一生命経済研究所 主席エコノミスト 西濵 徹
〔図表〕インドの実質GDP成長率(前年比)の推移
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〔図表〕インドの実質GDP成長率(前年比)の推移
 インドで今春行われた5年に1度の総選挙では、モディ政権を支える与党インド人民党(BJP)が2回連続で単独過半数となる議席を獲得するなど、文字どおりの地滑り的な大勝利を収めるかたちでモディ政権は2期目のスタートを切った。なお、政権1期目末期においては総選挙を意識したばらまき姿勢の強い財政政策のほか、外交政策面でも隣国パキスタンに対する空爆の実施など内向き姿勢の極めて強い政策運営が行われた。
 総選挙を経てモディ政権に対する信認の高さが確認されたことから、その後はこうした姿勢が転換されるとの期待も見られた。しかし、現実には、先月開催された東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)首脳会合では、インドが「壁」になるかたちで合意妥結に至らず、さらに協定からの離脱を示唆する姿勢を示すなど、内向きの姿勢を強めているのが実情だ。
 こうした背景には、足もとのインド経済をとりまく環境が厳しさを増していることがある。2019年7~9月の実質GDP成長率は前年比4.5%増となり、6年半ぶりに4%台に鈍化するなど経済は急速に勢いを失っている。足もとのインフレ率は目標の範囲内で推移し、落ち着いてはいるものの、経済成長の牽引役として期待された家計消費の伸び悩みが足を引っ張る展開が続く。しかし、インド中央銀行は年明け以降断続的な利下げを通じた内需喚起を図ってきたとはいえ、国有銀行を中心とする銀行セクターの不良債権比率の高さが市中金利の高止まりを招き、利下げ効果との相殺が家計消費の重しになっている。
 政府は、今年度本予算での銀行セクターへの公的資金の注入を実施するほか、その後も法人税減税などを柱とする景気刺激策を発表するなど、景気下支えに躍起になっている。こうした動きを背景に、金融市場では主要株式指数(ムンバイSENSEX)が最高値を更新するなど活況を呈するが、実体経済は青息吐息の状態にあるといえる。
 一連の景気刺激策などの効果発現により、先行きの景気は底打ちが期待されるものの、銀行セクターを巡る問題は一朝一夕に解消できる類いのものではなく、引き続き内需の足かせとなる可能性は高い。一方の外需についても、最大の輸出相手である欧州の景気は減速状態にあるうえ、中東・アフリカ諸国もひところの勢いを欠いているなど、景気回復の原動力にはなりにくい。
 一時は中国に代わる世界経済の牽引役として期待されたインドだが、19~20年度の経済成長率は、中国を下回る5%台への鈍化は避けられない。来年度も、回復力に乏しい厳しい展開が続く可能性も十分に予想される。
第一生命経済研究所 主席エコノミスト 西濵 徹

最終更新:12月8日(日)15時30分

週刊 金融財政事情

 

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