ここから本文です

今年30%も値上がりしたJ-REIT、依然として視界良好で不安なし!

12月7日(土)9時15分配信 モーニングスター

提供:モーニングスター社
拡大写真
提供:モーニングスター社
 2019年の年間リターンで、最も優れたパフォーマンスを残した資産クラスは昨年に続いて「国内REIT」になりそうだ。しかも、昨年の年率リターンが6.7%だったが、今年は11月末までの1年リターンがカテゴリーで25.57%と、大幅に昨年実績を上回る好パフォーマンスになりそうだ。さらに、「国内REIT」は、リスク当たりのリターンを示すシャープレシオがカテゴリー平均(1年)で3.11を示す(11月末基準)。絶好調なパフォーマンスの後には、得てして市場が崩れるものだが、国内REITに不安はないのだろうか? 公募投信で最大の国内REITファンドを運用している三井住友トラスト・アセットマネジメント(三井住友TAM)のリートチームに国内REITの現状と見通しについて聞いた。
 
 三井住友TAMが運用する「J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)」は、純資産額が3650億円を超える。11月末の運用成績もトータルリターン28.39%(1年)、シャープレシオは3.32(1年)と、いずれもカテゴリー平均を上回る優れた成績を残している。リートチームは、長年にわたって不動産の評価・投資を行ってきた信託銀行の伝統を引き継ぎ、「物件評価は、現地に足を運ばないとできない」(アクティブ運用部リート運用ユニット リートチーム運用執行役の太田素資氏)という徹底した実地主義だという。J-REITが保有する全4101物件の80%、金額ベース(約18.94兆円)では90%に相当する物件を実地調査している。J-REITの現状把握においては、並ぶものがいないほどの存在だ。
 
 そのような調査の裏付けを背景に、太田氏は「現在のJ-REIT市場に不安要素は見当たらない」という。同社の予想する来期の業績であれば、東証REIT指数(12月6日現在で2183ポイント)が2500ポイント程度に上昇しても「過熱感は感じられないだろう」と語る。そもそも、東証REIT指数は、2012年や13年には連続で30%超のパフォーマンスだった実績もあり、30%程度の値上がりは特別ではない。そして、過去に東証REIT指数がピークアウトした13年3月、15年2月、16年4月などの局面では、配当利回りが3.02%~3.20%程度にまで低下してピークを付けたが、現在の配当利回りは3.5%程度と依然として過熱感はないという。
 
 むしろ、「2017年に投信市場であった『毎月分配金ファンド批判』によって、J-REITファンドが悪玉となり、17年から18年にかけてファンドから資金流出することがあった。現在のJ-REIT市場では投信のシェアが35%程度と大きく、投信からの買いが途絶え、売却するような動きになって市場のダメージが大きかった。実はこの間もJ-REIT各社の業績は堅調だったため、分配金利回りは4%を超えて高くなっていた。今年の値上がりは、2017年以降に需給要因で価格が下落して割安になってしまった分を取り戻す動きといえる」と解説する。同社の集計によると、J-REITの配当額指数は2016年1月を100とすると19年11月末に124.2まで上昇したが、東証REIT指数は119.6で、配当が増えた分ほど価格は上昇してはいない。
 
 また、都心5区のオフィス賃料指数が70カ月連続で上昇し、当面は下落する見通しになく、これがJ-REITの業績の好調さの裏付けになる。太田氏は、「都心のオフィス需要は、働き方改革などで起きている構造的な変化を背景にしている」として、景気の変動などで簡単に崩れるものではないとみている。「残業時間を減らすことを求められた企業は、従業員を増やしており、これが都心のオフィス需要を押し上げている。そもそも日本の産業が3次産業にシフトする中、郊外にあった工場が海外に移り、そこで勤務していた人たちがオフィスワーカーとして都心で働き始めたところへ、働き方改革による人員増が重なったため、都心のオフィス需要は激増している。都内では多くの新しいビルが建っているがすぐにテナントが決まっている状況だ」という。さらには、現在では大阪のオフィス需要が東京を上回るほどに好調で、丁寧に物件を調べていくと、日本の不動産需要を巡る大きな構造変化が良く分かるという。
 
 一方、現在のJ-REIT市場は、日銀による購入によって支えられている部分もある。日銀による購入が止まったり、反対に売却するようなことになると、J-REIT市場が崩れる心配はないのだろうか? この点については、「日銀の買い入れは、価格を引き上げるような買い方はしていない。また、今年2月の東証REITの時価総額13.6兆円のうち、日銀の保有は5000億円弱。投信や外国人投資家に比べて、日銀買い入れの影響度は小さい。さらに、現在の物価の動きから量的緩和をすぐに止めるような環境ではない。J-REITは、ゼロ金利で調達した資金で年3.5%程度の配当利回りを得られて保有するメリットが大きいので、たとえ量的緩和を止めても慌てて売却するような必要もないとみられる」と、日銀の購入に関する心配はいらないという見方だ。むしろ、世界的な低金利で外国人投資家の間でもJ-REITの見直しが進み、投資需要は拡大する方向だという。
 
 このように、当面は視界良好で懸念材料が見当たらないJ-REITについて、投資家の活用の仕方を聞くと、三井住友TAMアクティブ運用部リート運用ユニットのリートチーム長である石田真澄氏は、「円建て資産のコアとして、資産形成のアンカーの役割を担える」と語る。円建てで年3%を超える分配金利回りが得られるJ-REITを持つことによって、国際分散投資の中での円建て資産をしっかり成長させることができる。たとえば、資産形成としてJ-REITを活用する場合は、分配金を払い出さない「J-REIT・リサーチ・オープン(年2回決算型)」など、分配金収入を再投資して資産の成長をめざすコースの活用が有効だ。
 
 太田氏は、「J-REITは優良な不動産物件の家賃収入を束ねて投資家に分配する仕組みで、投資家は手軽に大家さんになれる。J-REITファンドは、さらにJ-REITを束ねることによって、年2回の配当しかないものを、毎月分配できる仕組みにした。昔から、大家業は、物件の値上がりをめざすのではなく、長期に安定した家賃収入を得ることが目的だった。日本の100年企業などの資料をみると、100年以上続いている長寿企業で一番多いのは貸事務所業になっている。清酒の酒造や旅館などよりも大家業の方が多い。大家業はそれほど長期に繁栄できる事業といえる。大家業を営むつもりで、J-REITにも、長く付き合っていただきたい」と語っていた。(写真は、左が三井住友TAMアクティブ運用部リート運用ユニット リートチーム長の石田真澄氏、右が運用執行役の太田素資氏)
 
モーニングスター

最終更新:12月7日(土)9時20分

モーニングスター

 

【あわせて読みたい】

【PR】Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

【PR】Yahoo!ファイナンスからのお知らせ

ヘッドライン