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マンション全体のわずか1%……「長期優良住宅」はまだ割安か

12月6日(金)11時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:iStock.com/MarioGuti)
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(写真:iStock.com/MarioGuti)
居住用でも投資用でも、物件選びにあたって多くの人が「立地」と「価格」を重視することに変わりはない。居住用であれば都心部や郊外駅近などの物件は価格が高くなり、投資目的の場合は価格が大幅に安ければ不便なエリアでも魅力的になり得る。

一方、居住用と投資用で購入検討者の重視度合いが少し変わってくるのが、建物の「質」ではないだろうか。居住用であれば、自分が住む建物の質が高いかどうかは重要な判断基準になる。しかし投資目的で利回りや出口を考えた場合、「安いならば建物の質が多少低くなるのは仕方ない」「質を高めた分で値段が高くなっている物件は困る」といった捉え方になるケースもあるだろう。

長い目で見た時、建物の質は「資産価値」を大きく左右する要素になり、不動産投資家視点でも見極め方を知っておいて損はない。今回は住宅ジャーナリストの櫻井幸雄氏に、建物の「質」に関する考え方について聞いた。

■初期のマンションは45年で建て替え

昭和の時代、住宅の寿命は短かった。

昭和30、40年代につくられた住宅の寿命は、建売住宅で20、30年、鉄筋コンクリートのマンションでも40、50年とされた。これまでに建て替えられたマンションが築何年目に取り壊されたのか。私がこれまで取材したマンション建て替え事例では、判で押したように築45年前後だった。「築40年から50年の寿命」を証明している格好だ。

これには驚きの声が多かった。「マンションは半永久的に住み続けられるものだと思っていた」「そんなに、短命だったの?」―。さらには「ヨーロッパの集合住宅は500年前、1000年前のものがあるのに、あまりに短すぎる」という批判も出た。

しかし、これは的外れの意見。ヨーロッパで何百年もの寿命を保っている建物は、大理石やレンガを積んでつくった建物なので、それだけ長い耐久性があるのだ。地震が多い日本では使用しにくい工法だ。

■住宅に「超長寿命コンクリート」が使われることはない

これに対し、日本のマンションに用いられるコンクリートは、砂と小石をセメントペーストで固めたもの。年月の経過とともに砂と小石を固める力が弱まり、亀裂が生じやすくなって、表面剥離や崩壊などが起こりやすくなる。

現在は500年以上の寿命を持つコンクリートもつくられているが、そのような超長寿命コンクリートがマンションに使われることはない。費用が恐ろしく高くなるし、将来解体するときの費用も莫大になるからだ。そのため、何世紀にもわたって使い続けられる公共建造物などにしか採用されない。

住宅で、500年コンクリートが使われることはない。

しかし、昭和30、40年代に使われていた耐用年数40~50年のコンクリートよりは寿命が延びている。では、どれくらいの寿命があるのか。その答えは、「物件によって差がある」と言わざるを得ないのが実情。少々困った状況なのである。

■広まらなかった長寿マンション

短期間で壊しては作る(スクラップ&ビルド)の姿勢は資源の無駄遣いだし、環境への負荷も高いとして、日本では昭和後期から住宅の寿命を伸ばす動きが進んだ。

そのために行われたことは2つ。「寿命が長いコンクリートを使うこと」と、「住戸内の間取り変更や設備変更が簡単に行えるようにすること」だ。骨格は頑丈にして、内部は変更しやすくした。これで、長く使い続けることができる住宅を完成させたわけだ。

その成果として1985年、センチュリーハウジングシステム(CHS)の認定制度が生まれた。それは、センチュリー(世紀)の名前が示すとおり、100年の耐久性を目指すものだった。

最初に生まれたCHS認定マンションが、伊藤忠都市開発の「シーアイハイツ町田」と清水建設の「永福マンション」。しかし、今そのことを知っているのは一部の業界関係者のみ。一般には全くといっていいほど知られていない。

というのも、CHSの認定を受けたマンションはその後、10物件程度までしか増えなかったからだ。数があまりに少ないので、忘れ去られてしまったのである。

■つくっても「アピールできない」

数が増えなかった理由は、CHSの認定基準が厳しかったこと。床下に設ける空間が広すぎるなど、求められる基準レベルが高く、手間と費用がかかりすぎた。加えて、「100年の耐久性」を大きくアピールできなかったことも大きい。手間とお金をかけてよいものをつくっても、そのよさを具体的に宣伝できなかったので、つくり手がいなくなったのだ。

「100年の耐久性」を大きくアピールできなかった理由は、当時、センチュリーハウジングシステムを推進した建設省(現在の国土交通省)の関係者が「100年持つかどうかは、100年経たないと分からない」と発言したことがきっかけだったとされる。

つまり、「100年持ちますよ」とは言えなくなった。

一方で、手間とお金がかかるので、分譲価格は割高になった。購入者にとっては「価格が高いのに、理由はよく分からない」という物件になったので、当然、売れ行きは鈍る。それでは、不動産会社が及び腰になるのは当然だろう。

「長寿命住宅をつくっても、そのよさをアピールできないこと」。これはその後も、長寿命住宅のネックとなっている。

■「長期優良住宅」ならば200年の寿命

CHSは世の中に広まらなかった。

しかし、平成に入った頃からマンションに用いられるコンクリートの質は飛躍的に向上。21世紀に入った2001年頃からは、強度の高いコンクリートがマンションに採用されるようになり、マンション全体の寿命が延びた。ちなみに、強度の高いコンクリートのおかげで、超高層マンションの建設も容易になった、という事情もある。

2000年4月には「住宅の品質確保に関する法律(品確法)」が施行され、住宅性能表示で劣化対策等級が示されるなど、住宅の質の見極めもしやすくなった。

日本の住宅は全体的に長持ちするようになり、鉄筋コンクリート造のマンションであれば60年から80年、きちんとメンテナンスすれば100年程度の耐用性を持つと考えられるようになった。かつてCHSで目指した目標が、普通に達成できるようになったわけだ。

すると今度は、さらに長持ちする住宅をつくろうという動きが出た。2009年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」により、一定の基準を満たした住宅を所管行政庁(都道府県知事又は市町村長)が認定する制度だ。

長期優良住宅に認定されるのは、マンションだけでなく、一戸建て住宅も対象。しかし、「長期」の度合いが大きいのは、鉄筋コンクリート造のマンションのほうだろう。

なにしろ、目指しているのは「200年」という長い供用期間であるからだ。

■出所不明の情報で

建物に使用されるコンクリートは33ニュートン以上という強度をもち、計画供用期間は「少なくとも100年以上」とされ、実際には200年の耐久性が見込まれた。加えて「スケルトン・インフィル(S.I)工法」を採用し、中身となる間取りや設備(=インフィル)を更新しやすくしている。

建物の骨格(=スケルトン)が2世紀にもわたるほど長持ちしても、その間、同じ設備、同じ間取りで暮らし続けることはできない。排水管類の交換も必要だ。建物が頑丈で、内部の変更や更新が行いやすいように工夫されて、はじめて長期優良住宅と認められるわけだ。当然ながら、それらに加えてバリアフリーや省エネの工夫も求められている。

当初、長期優良住宅のことを説明するのに、新聞でも「200年住宅」という言葉が用いられた。一般の人に分かりやすい言葉を使ったわけだ。ところが、ここでも「200年持つかどうかは、200年経たなければ分からないだろう」という物言いが入った。発言の出所は、またもや国土交通省の役人だとされているが、真偽はわからない。

これに不動産業界、建設業界は過剰ともいえる反応を示し、以後「200年住宅」の説明は行われていない。せいぜい「少なくとも100年の耐久性をもつ」といわれるくらいだ。

■長期優良住宅認定マンションなら長く保有

長期優良住宅の認定を受けたマンションの数だが、こちらも残念ながら多くない。国土交通省が発表した「長期優良住宅の現状」によると、2009年6月から18年3月までに認定を受けた「共同住宅等」の数は1500戸程度とされる。「1500棟」ではなく「1500戸」なので、全200~300戸のマンションが5棟から8棟くらいか。取材している印象では、もう少し多いのでは、と思うのだが……。

たとえば、都心湾岸エリアは長期優良住宅認定マンションが集中している。住友不動産の「ドゥ・トゥール」や三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス 晴海タワーズ ティアロレジデンス クロノレジデンス」、三井不動産レジデンシャルの「パークタワー東雲」などがあり、都心部で三井不動産レジデンシャルが分譲した「パークコート六本木ヒルトップ」「パークコート赤坂檜町ザ タワー」、東急不動産の「ブランズ麻布狸穴町」も、長期優良住宅認定のマンションだ。

以上の総戸数を集計しただけで、ゆうに3000戸を超えるのだが、カウントの仕方が異なるのかもしれない。私の取材感では、長期優良住宅認定マンションはCHSよりも多く、その数はさらに増えている。

そのため、中古マンション購入で「長期優良住宅認定マンション」に出遭うことは少なくないはずだ。もし出遭ったら、それは通常のマンションよりはるかに長持ちすることを念頭に、長く保有する道を考えてもよいだろう。

■コンクリート強度から寿命を知る方法

中古マンションを購入するとき、それが「長期優良住宅」の認定を受けている物件だったら注目である。というのも、長持ちするマンションでありながら、今はまだ割高に売られることがないからだ。ただし先述したとおり数は少なく、マンション全体のうちのごく一部。1%にも満たない比率なので、出遭うことは希だろう。

そこで、その他、多くのマンションの寿命を見極めるための方法をお教えしよう。それは、使用されているコンクリートの強度を調べる方法だ。

コンクリート強度はニュートン(N/mm2)という単位で表され、この強度が高いとマンションの寿命も長くなると考えられる。日本建築学会が定めた耐久設計基準強度では、18ニュートンで30年、24ニュートンで65年、30ニュートンで100年の間、大規模修理が不要とされている。

昭和時代のマンションは18ニュートンまでのものが多く、それゆえ、耐用年数も40年~50年になりがちだった。

しかし、21世紀に入ったあたりから、分譲マンションに使用されるコンクリートの強度が上がり、大手不動産会社の物件であれば、24ニュートン以上が標準的仕様となっている。その上が27ニュートンで、さらに30ニュートン以上の3段階のマンションがつくられている。

■数値だけで計り知れない部分も

この強度により想定されている建物の寿命を推し量ると以下のようになる。

24ニュートン:60~80年
27ニュートン:80年以上
30ニュートン:100年以上

これが、一応の目安となる。このコンクリート強度は、分譲時のパンフレットに明記されていることが多い。

といっても、この強度だけでマンションの寿命が決まるというものでもない。水セメント比の問題など、複雑な要素も絡んでくる。実際、昭和30、40年代に建てられたマンションの中には、築後40、50年経ってもびくともしないものがある。たとえば昭和初期に都内各地に建設された「同潤会」のアパートは、築後70年も使用されていた。

よほど腕のよいコンクリート職人が打設を行ったのか、配合比率が絶妙だったのか、数値だけでは計り知れない部分がある。それもまた、鉄筋コンクリート造の特徴なのである。
櫻井 幸雄

最終更新:12月6日(金)11時00分

不動産投資の楽待

 

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不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

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