◆1997年は2871万円だったのに2018年は1788万円までダウン!
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終身雇用を基本としてきた日本の企業で働く会社員にとって、現役時代はさまざまな苦労があっても退職時には一時金、その後も企業年金を受け取ることができるなど、リタイア後も会社を頼りにできることは、会社員を続けるモチベーションのひとつでもありました。
ところが、厚生労働省「就労条件総合調査」によると、退職金と企業年金を合わせた退職給付の額は1997年をピークに右肩下がり。最新の2018年調査では1788万円となり、なんと1083万円もダウンしているという事実がわかりました。
▼退職給付額の推移
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◆退職給付額は企業規模や勤続年数によって大きな差がある
「就労条件総合調査」では、退職給付額を左右する大きな要素である「企業規模」「勤続年数」についての調査結果も公表されています。それをグラフ化したのが図です。
▼企業規模別の退職給付制度の有無
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▼勤続年数ごとの平均退職給付額
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これらのことから、減っているとはいえある程度まとまった退職給付金を受け取ることができるのは、300人以上の企業規模の会社に35年以上勤務した人。会社員といえども、退職給付金を老後資金のアテにできる人は限られているという現実が見えてきます。
◆退職給付制度の内容は、これから大きく変わっていく?
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これまで終身雇用を基調としてきた日本企業では当たり前のように思われてきた退職給付制度ですが、これは法律で規定されたものではないため企業の判断で廃止しても違法ではありません。
特に退職一時金が支払われるのは世界的にみると珍しいことのようですし、企業年金も日本銀行のマイナス金利政策など運用状況が厳しいため、確定給付型から確定拠出型へ移行するなど図のように制度を見直す傾向にあります。
退職給付制度の変化は、日本企業がグローバル化していることも理由のひとつ。海外でも活動する企業にとって、日本人だけに有利な雇用条件は許されなくなってきています。
また退職金や企業年金は、将来、社員に支払う債務として扱われるためなるため企業にとって会計上の負担となります。
もはや退職一時金や確定給付企業年金といった会社が準備してくれるお金を老後資金の当てにできる時代は、終わりを迎えようとしているのかもしれません。
鈴木 弥生(マネーガイド)
最終更新:12月4日(水)18時30分
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