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単価にこだわる会社の売り上げが伸びない理由

11月23日(土)5時50分配信 東洋経済オンライン

「売り上げの正体」を知らない限り、成功は一生訪れません(写真:freeangle/PIXTA)
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「売り上げの正体」を知らない限り、成功は一生訪れません(写真:freeangle/PIXTA)
会社の売り上げを伸ばすにはどうしたらいいか――。楽天のECサイト「楽天市場」の元プロデューサーで、『4000万人の購買データからわかった!  売れない時代にすぐ売る技術』の著者、大原昌人氏が解説する。

 AI時代に突入し、ビジネスシーンでもデータが不可欠になっています。しかし、なんのためにデータを収集し、活用するのか、いま一つピンときていない人も多いことと思います。平たくいえば、データを活用する目的は「売り上げ」をアップさせることです。そのためには、
① 売り上げを構成する3大要素のデータを集める
② 公式に当てはめて分析する
 という2つのステップが必要になります。そして4000万人の購買データを見続けてきた私は、ネットショップかリアル店舗かを問わず、売り上げは3大要素から成る次のような公式で求められることを確信しました。

売り上げ=訪問数×転換率(コンバージョン)×客単価

■そもそも「売り上げの正体」とは

 この「売り上げの正体」を知らない限りは、どんなに売り上げを上げようともがいても、そのがむしゃらな努力のほとんどは正確に売り上げに反映されずに終わってしまうことでしょう。
 各要素について簡単に説明すると、訪問数とは、店を訪れて商品を見てくれたお客の数を指します。ネットショップならそのショップにアクセスした人数、リアル店舗なら実際に店に足を踏み入れた人をカウントします。

 転換率とは、商品を見たお客(訪問数)のうち何人が買ってくれたかという確率で、100人のうち3人が購入したなら転換率は3%(0.03)になります。飲食店の場合は、店に入った人はほぼ全員が注文するでしょうから、ここは100%(1.0)とみなして構いません。客単価は、お客が払う平均単価のことです。
 3人のお客のうち1人が3000円、1人が5000円、1人が7000円使ったとすると、客単価は、

(3000+5000+7000)÷3=5000円
 となります。ですから、例えばある日の訪問数が100人、そのうち実際に商品を購入した人が5人(転換率5%)、客単価が3000円だとすると、その日の売り上げは、

100×0.05×3000=1万5000円
 ということがわかります。「わざわざそんな公式を持ち出さなくても、その日に売れた金額を合計すれば売り上げなんてすぐにわかるじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。確かに、それはそのとおりなのですが、この公式を使う目的は、売り上げがいくらになったかを計算することではありません。その店の「強み」と「弱み」をハッキリとさせるための公式なのです。
 やや極端な例を挙げて説明すると……。

<A店>
訪問数100人×転換率5%(0.05)×客単価3000円=売り上げ1万5000円

<B店>
訪問数2人×転換率50%(0.5)×客単価1万5000円=売り上げ1万5000円

■売り上げを分析すれば「問題点」と「対策」がわかる

 どうでしょうか。A店とB店の売り上げはどちらも1万5000円ですが、その内訳はまるで異なります。A店がよくも悪くも平均的であるのに対して、B店ではごく少数のお客が高確率で高価な商品を買っています。また、A店では翌日も同じくらいの売り上げを見込めそうですが、偏った商売をしているB店の売り上げは予測しにくく、ゼロになっても倍増してもおかしくありません。
 このように、売り上げをドンブリ勘定で把握するのではなく「訪問数」「転換率」「客単価」の“3大要素”に分解して考えてみると、その店が抱える問題点や、今なすべき対策が見えてきます。訪問数が少ないなら訪問数を増やすための、転換率が悪いなら転換率を高めるための、客単価が低いなら客単価を上げるための施策が売り上げを確実に、かつ劇的に上げるためには必要というわけです。

 公式に当てはめて分析すれば自明のことなのに、実際にこのことを理解して経営に役立てている店(会社)は決して多くありません。たいていの「売れていない店」は、そもそもの訪問数が少ないのに客単価を上げようと四苦八苦するなど、まるで見当違いの努力をしているのです。会社の商品を売って営業成績を上げる場合も同じです。
売り上げ=訪問数×成約率×単価
 ネットで売るにしてもリアルで売るにしても、公式に当てはめて考えることで、必ず成功への対策が見えてくるのです。

 モノやサービスが売れていないときは、売り上げを構成する3大要素のどこかに必ず問題が潜んでいます。言い換えるなら、売り上げが低迷する原因は……。

① 「訪問数」
② 「転換率」
③ 「客単価」
 の3つしかないのです。①の訪問数が少なければ、商品のよさを伝えることができません。たとえ最高級のダイヤモンドが10円で売られていたとしても、訪問数がゼロなら決して買われることはないのです。
 十分な訪問数があったとしても、訪問した人が「ほしい」と思ってくれなければ商品は売れません。例えば、ダイヤモンドが10円で売られていても、「本物」である証拠や説明、その価値が書かれていなければ怪しさが勝り、買う人はいないでしょう。つまり、②の転換率が低いということは、商品の魅力やよさを伝えきれていないことを意味します。

 訪問数や転換率が優秀で、一見めちゃめちゃ売れているような店でも、③客単価が安ければ売り上げは伸びません。たとえ10万人が買ってくれても、客単価が10円では売り上げは100万円にとどまります。これでは10万人のお客をさばく労力に見合った利益を確保するのは難しいでしょう。
 業績が芳しくない店(会社)は、この①~③のいずれか、または複数に問題があります。転換率だけが悪い店もあれば、訪問数と客単価がイマイチという店もあるし、3大要素がすべて平均以下ということもあります。

■重要度が断トツ1位なのは「転換率」だと心得よ

 ただし、3大要素はそれぞれ独立した問題であって、「訪問数が少ないと転換率も悪くなる」「転換率が上がると客単価も上がる」などというように互いに影響を及ぼし合うことはありません。訪問数や転換率が上がった、つまり人気が出たことによって客単価を上げられるというケースは考えられますが、それは戦略的に値上げをしているのであって、片方が上がれば自動的にもう片方も上がる、という関係ではありません。
 では、仮に3大要素のすべてに等しく問題があったとしたら、まずはどこから改善すべきだと思いますか? 

 答えは、訪問数です。

 ネットでもリアルでも、開業した人が最初にぶち当たるのが、この訪問数の壁だといわれています。せっかく素敵な商品やおいしい料理を用意したのに、そもそも人が来てくれないという状態です。この状態で転換率や客単価を気にしても意味がないので、訪問数が目標に達していない場合は、まずは広告を出してお店の存在をPRするといった対策が必要になります。
 ある程度の訪問数を確保できるようになったら、次は転換率の改善に着手しましょう。転換率は、着手する順番としては2番目ですが、重要度でいえば3大要素のうち断トツの1位です。費用対効果もいいので、転換率は貪欲に高めていきましょう。

■「品質」で勝負するのではなく「イメージ」で勝負する

 客単価は、3大要素のなかでは比較的さまつな問題といえます。そもそもモノの値段には相場があるので、大間違いのしようがない。
 例えばコーヒーならせいぜい1杯100~2000円の範囲で提供するものであって、いきなり10円とか1万円とかいう極端な値段をつけようという発想は、よほどの勝算がない限り生まれにくいでしょう。ですから客単価について考えるのは、訪問数と転換率の問題を解決してからでも大丈夫です。

 なお、3大要素以外の要因として「商品そのものの品質に問題があるのでは?」と考える人が多いようですが、これは失敗に陥りやすいパターンです。
 モノやサービスは実際に買って使ってみるまでは、本当の善しあしはわかりません。ネットでもリアルでも、消費者は実際の品質ではなく「イメージ」で買うかどうかを決めています。

 そして、その「イメージ」が正しく伝わっているかどうかは、訪問数や転換率を分析することで明らかになります。明らかになりさえすれば、あとはノウハウに従ってその「原因」を改善するだけ。売り上げを上げることは、驚くほど簡単にできることなのです。
大原 昌人 :ダニエルズアーク代表取締役、元「楽天市場」プロデューサー

最終更新:11月23日(土)5時50分

東洋経済オンライン

 

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