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山手線の新名所?「高輪ゲートウェイ」駅の全貌

11月18日(月)5時45分配信 東洋経済オンライン

大きな話題となった「高輪ゲートウェイ」の駅名標(撮影:大澤誠)
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大きな話題となった「高輪ゲートウェイ」の駅名標(撮影:大澤誠)
 山手線外回り(渋谷・新宿方面)と京浜東北線大宮方面の列車が、高輪ゲートウェイ駅のど真ん中をノンストップで突き抜ける。両側の車窓からは数カ月後の開業を待つホームの様子が手に取るように見える。期間限定の新名所というべきか。

 高輪ゲートウェイ駅は1971年の西日暮里駅以来、およそ50年ぶりとなる山手線の新駅だ。2020年春の暫定開業を目指し建設が急ピッチで進んでいる。JR東日本は11月16日未明から17日にかけて品川駅で線路切り替え工事を実施、山手線と京浜東北線大宮方面が高輪ゲートウェイ駅を経由するルートに変わった。山手線内回り(東京・上野方面)と京浜東北線大船方面の列車も片側の窓からホーム上を確認することができる。2020年春の開業後は得られない、今だけのワクワク感だ。
■巨大な屋根は「折り紙」をモチーフ

 高輪ゲートウェイは新国立競技場の設計で知られる隈研吾氏がデザインを担当し、2017年2月から工事が始まった。そして今回、品川駅の線路切り替え工事に合わせて、駅工事の進捗状況も報道陣に公開された。

 駅舎のシンボルは、隈氏が「日本の伝統的な折り紙をモチーフとした」という白い巨大な大屋根だ。工事用の足場が取り払われ、屋根だけ見れば完成形である。天井の膜材は光触媒をコーティングして防汚機能を高めているという優れものだ。東京駅八重洲口のグランルーフなどに使用されているが、駅舎の屋根に本格採用されたのは当駅が初めて。メンテナンスが格段に楽になるほか、この膜材は日射反射率が高く放射熱による屋根下の体感温度を低下させる効果もあるという。
 高さ30m、地上3階建てというスケールは、駅ビルがない駅舎としては山手線では異例。地方都市にでんと構える新幹線の拠点駅のような風格すら漂わせる。

 同社東京工事事務所の牧野俊司・品川プロジェクトセンター課長は、「工事は9割方終わっている」と話す。あとは内装と外装を完成させ、設備の整備を終えれば開業できるという。

 駅舎内に足を踏み入れると、外らからは折り紙のように見えた屋根は、縦横の細い桟(さん)に和紙が貼られた障子(しょうじ)のように見える。ガラスを多用した外壁から太陽光がさんさんと降り注ぐ。空港のターミナルビルのように開放感がある。
 木材が至るところに使用されているのはいかにも日本的である。さすがに床は木材ではなく、木目調タイルが使われているが、天井の梁や柱の覆いには、福島県や宮城県など東北産の杉材がふんだんに用いられている。

 木材を使った公共建築物は完成直後こそ美しいが、年月を経るうちに汚れが目立つようになりがちだ。そのため、木材にはガラスコーティングなどの処理を行い、汚れがつかないようにしている。美しさとメンテナンス効率の両方を追求した結果である。
■同一方向対面乗り換えはできない

 コンコースからホーム上に降りると、「高輪ゲートウェイ」という駅名標、ホームドア、コンコースと結ぶエスカレーターなどがすでに設置されている。駅名が長い分、ほかの駅と比べて駅名標の形は明らかに横長だ。駅名が注目を集めたこともあり、多数のカメラマンが駅名標を撮影していた。

 品川では山手線と京浜東北線は同一方向の対面乗り換えはできないが、田町、浜松町、新橋、有楽町、東京、神田、秋葉原、御徒町、上野、鶯谷、日暮里、西日暮里、田端の各駅で同一方向の対面乗り換えが可能な構造となっている。その理由は品川―田町間で京浜東北線の間に山手線が入り込むような構造になっているためだ。そのため、昼間に京浜東北線で快速が運転される時間帯は山手線と京浜東北線を乗り継いで目的地に早く向かうことができるし、山手線が車両点検などのトラブルで遅れた場合、京浜東北線で目的地に向かうといったことも可能となる。
 高輪ゲートウェイの2面4線のホームは1番線が山手線内回り、2番線が同・外回り、3番線が京浜東北線大宮方面、4番線が同・大船方面となっている。このため、同一方向の対面乗り換えができない。高輪ゲートウェイでの同一方向対面乗り換えは、「線路の構造上難しい」(JR東日本)という。なお、品川駅では2022年頃から京浜東北線の大宮方面と山手線内回りの対面乗り換えを可能にする計画だ。

 案内板には京急線や都営浅草線などのサインも示されている。高輪ゲートウェイのすぐそばには泉岳寺駅があり、京急線や都営浅草線に乗り換えることができるのだ。品川で京急線に乗り換えるよりも混雑度は小さいかもしれない。
 駅舎を出ると、駅前の広場にはひょうたんのような形をしたコンクリートの地盤がある。JR東日本によれば「これから建設する建物の基礎部分」だという。駅前はイベント広場として活用され、東京オリンピック・パラリンピックの期間中には競技のライブ中継などが予定されている。

 さらにその先に広大な土地が広がるが、工事用の資材や車両が置かれているだけ。今後オフィス、商業施設、ホテル、住宅などからなる巨大な街に生まれ変わる予定だ。高輪ゲートウェイは文字通り、新たな街のゲートウェイ(玄関口)となる。
■「世界で最も美しい駅」に仲間入り? 

 「世界で最も美しい駅ベスト○○」――。世界中のさまざまなマスメディアや旅行会社がこうしたランキングを発表し、旅情をかき立てる。オランダのアムステルダム中央駅やイギリスのセントパンクラス駅などが有名だが、日本では東京駅や金沢駅が「美しい駅」として紹介されることが多い。

 完成後の高輪ゲートウェイ駅は美しい駅の仲間入りを果たすか。こんな質問に対して、牧野課長は「隈先生のデザインの下、しっかりと進めてきた。(ランキング入りを)ぜひ目指したい」と、意気込む。今後オリンピック観戦などで訪れる訪日客には、「折り紙をモチーフとした4000平米の大屋根をぜひ見てほしい」。観光名所としての期待も高い。
 ついに姿を見せた新駅舎には、駅名に関する議論を吹き飛ばすだけの存在感がある。10年後、20年後には「昔、駅名が物議を醸したことがあったね」と笑い話になっているかもしれない。
大坂 直樹 :東洋経済 記者

最終更新:11月18日(月)5時45分

東洋経済オンライン

 

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