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【為替市場】半年以内に1ドル=112円半ばまで上昇する可能性

11月17日(日)15時30分配信 週刊 金融財政事情

JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長 佐々木 融
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JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長 佐々木 融
〔図表〕過去2回と今回の「予防的利下げ」終了前後の米10年債利回りの推移
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〔図表〕過去2回と今回の「予防的利下げ」終了前後の米10年債利回りの推移
 米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年までの継続的な利上げのあと、今年7月31日には逆に利下げを開始し、9月18日、10月30日と合計3回の利下げを実施した。米国経済はそれほど悪化しているわけでもなく、失業率は数十年ぶりの低水準で推移しているなか、これらの利下げは、トランプ米大統領からのプレッシャーに屈したようにも見える。もっとも、米国債のイールドカーブが一時逆イールドになるなど、先行きのリセッション入りに対する懸念もないわけではなかったため、利下げは「予防的利下げ」といわれてきた。しかし、こうした「予防的利下げ」も、10月30日分で終了したと考えられている。
 FRBは1995~96年と98年に2回、同じような「予防的利下げ」を行ったことがある。つまり、利下げを行ったあと、米国経済がリセッションに陥らず、利下げが短期間で終了している。これら双方のケースでも利下げ回数は3回だった。今回も、米国経済がリセッションに陥らず、追加利下げが行われることなく、利下げが本当に3回で終了するならば、90年代の2回の「予防的利下げ」と同様のケースとなる。
 過去2回の「予防的利下げ」終了時点を中心に、その前後半年間の各市場のうち、最も明確な傾向を見せているのが米10年債利回りの動きだ。過去2回のケースでは、利下げ終了までの半年間で、米10年債利回りは80bpほど低下し(ここまでは今回も同様の動き)、利下げ終了後半年以内に下げたぶんを完全に取り戻す上昇を見せている(図表)。
 これを今回のケースに当てはめると、米10年債利回りは今後半年のうちに2.5%まで上昇することになる。こうした見方は当社グループの公式な見解ではないが、仮に現在の日米10年債利回り差と米ドル/円の相関が維持されたとすると、ドル円相場は1ドル=112円台半ばまで上昇する計算となる。2019年のドル円相場の高値は112.40円だが、年末までにそれを更新する可能性もある。
 過去のFRBの「予防的利下げ」終了後のその他の市場の特徴も見てみると、米株価は利下げ終了後の半年間で2回とも10~20%程度上昇している。日本の株価もおおむね同様に上昇している。原油価格はどちらのケースも比較的大きく上昇し、金価格はどちらも小幅下落となっている。
 米中通商交渉の第一段階の合意が何らかのかたちで成立すること、12月12日に行われる英国の総選挙で保守党が優位に立つこと、今後の米経済指標が際立って悪化しないことは、それほど高いハードルではないと考えられる。それを越えられるようならば、今回も、これまでの「予防的利下げ」終了後の市場の動きと同様の動きが見られる可能性は十分にあるのではないかと思われる。
JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長 佐々木 融

最終更新:11月17日(日)15時30分

週刊 金融財政事情

 

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