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前代未聞「山手線運休」、品川駅工事の一部始終

11月17日(日)6時01分配信 東洋経済オンライン

11月16日未明、品川駅で行われた線路切り替え工事の様子(撮影:大澤誠)
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11月16日未明、品川駅で行われた線路切り替え工事の様子(撮影:大澤誠)
 東京の大動脈、山手線の約3分の1に及ぶ区間を半日以上ストップさせての大工事――。JR東日本は11月16日未明から17日の始発にかけて、来春の「高輪ゲートウェイ」駅開業に向け、品川駅などで大規模な線路の切り替え工事を行った。

 山手線は上野―大崎間が16日の始発から夕方まで、京浜東北線は品川―田町間で終日運休。山手線を止めての工事はJR東日本の発足以来初めてだった。

 高輪ゲートウェイ駅は、山手線・京浜東北線の田町―品川間に開業する新駅。今回の工事は、山手線内回り・外回りと京浜東北線の北行(大宮方面行き)の計3本の線路を、同駅を通る新しい線路につなぎ替えるために実施した。品川駅構内など3カ所で線路を切り換え、合わせて同駅の京浜東北線大宮方面行きホームも3番線から4番線に移した。
■総勢2000人が作業

 16日午前2時過ぎ、ラッシュ時の喧噪がうそのように静まりかえった品川駅のコンコース。その下を通る山手線の線路周辺では、大勢の作業員や線路上と道路の両方を走行できる工事用車両「軌陸車」が所狭しと動き回り、つい数時間ほど前まで多くの電車が行き交っていた線路の撤去を着々と進めていた。

 同駅の田町寄りで行われたのは、従来の山手線内回り・外回りの線路を高輪ゲートウェイ駅へと通じる線路につなぎ替える工事。従来の線路を撤去したうえで、内回りは約44m、外回りは約39mの線路を新たに敷き、すでに完成している高輪ゲートウェイ駅への線路につなぐ作業だ。
 従来の線路に敷かれたバラスト(砂利)は、撤去しやすいよう工事の約1カ月前に袋詰めしたものに交換してあったといい、作業は素早く進む。新たに敷設する線路は、事前にレールと枕木を組み合わせた「軌きょう」と呼ばれる状態で現場近くに置いてあり、これを所定の位置に運んで設置する形だ。

 ただ、従来の線路や枕木の撤去には軌陸車が活躍するものの、新しい線路を移動するのは基本的に人力だ。「山越器(やまこしき)」と呼ばれる、レールを吊り上げて移動させる門形の小型クレーンのような機材を使い、人海戦術で敷設する場所まで運んでいく。
 今回、3カ所の切り替え工事現場で作業に携わったのは約2000人。JR東日本建設工事部の担当者によると、今回の工事の施工計画は1年ほど前からスタートした。「施工計画が決まらないと、作業に必要な人数や運休の時間も決められない」。現場を何度も確認しつつ、新たに敷設する線路を仮置きするスペースや移動方法などを検討したという。

 実際の工事手順についても、作業員のグループごとに机上でのシミュレーションや現地での勉強会を何度も繰り返した。担当者は「実際に夜間に現場に入って、山越器の置き場や線路のバラストを入れた袋を置く場所などもすべて確認し、極力作業時間を短くするという共通認識を持って取り組めるようにした」と語る。
■ラグビーW杯の日程も考慮

 JR東日本始まって以来という、山手線をストップさせての大工事。同社建設工事部大規模開発プロジェクトチームの関啓充課長は「ここまで大々的に、しかも狭い場所で山手線の線路を動かす形になると、軌道、電車線(架線)、信号の工事をそれぞれの作業終了後に行わなければならず、運休せざるを得なかった」と説明する。工事の日程は、ラグビーW杯の開催時期など大きなイベントを極力避けるよう考慮して決めたという。
 今回の工事の特徴は、山手線をストップさせたこと以外にもある。山手線内回り・外回りと京浜東北線の北行(大宮方面)という3線を同時に切り換えたことだ。

 関課長によると、線路の切り換え工事は通常1線ずつ行う。高輪ゲートウェイ駅関連でも、2018年6月に京浜東北線の南行(大船方面)の線路切り換え工事を行ったが、このときは1線のみで、運休期間も工事日の午前中のみで済んでいる。

 ただ、今回は特殊事情があった。「京浜東北線と山手線は(田町―品川間で)立体交差しており、その関係上どうしても1線ずつの工事ができなかった」(関課長)。京浜東北線北行と山手線は、品川駅と田町駅の間で線路がクロスし、位置関係が入れ替わる。このため、3線同時でないと移設できなかったという。
 山手線の運休が16日夕方までだったのに対し、京浜東北線が終日運休したのもこの点が関係している。高輪ゲートウェイ駅より田町駅寄りの工事箇所では、同線の新しい線路が従来の山手線内回り・外回りの線路跡を横切る形となる。「山手線を移設してからでないと、京浜東北線の線路を動かせない。そのため、どうしても京浜東北線が最後にならざるを得なかった」と工事担当者は説明する。

■山手線ストップはまたある? 

 東京の大動脈、山手線をストップさせ、影響人員は約56万人に及んだとみられる大工事。だが、山手・京浜東北両線の線路移設が完了したことで、高輪ゲートウェイ駅関連の工事はヤマ場を超えた。
 駅名には今も賛否両論あるものの、来年春には1971年開業の西日暮里駅以来、49年ぶりとなる山手線の新駅が誕生することになる。

 山手線では高輪ゲートウェイ駅新設のほかに、渋谷駅でも大規模な改良工事が進む。同駅の工事に関しても「検討中だが、山手線を運休して工事を行う可能性もないわけではない」と関課長は語る。

 「首都の顔」をストップさせての大工事は、東京という都市が大きな変化を遂げている最中であることの象徴かもしれない。
小佐野 景寿 :東洋経済 記者

最終更新:11月17日(日)9時35分

東洋経済オンライン

 

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