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ゼネコン3社が最高益も五輪後に襲う「国内頼み」の寒風【決算報19秋】

11月14日(木)6時01分配信 ダイヤモンド・オンライン

Photo:Michael Heiman/gettyimages
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● 中間決算の純利益で 4社中3社が過去最高

 2020年3月期の中間決算で大手ゼネコン4社中、大林組、清水建設、大成建設の3社が純利益で過去最高(中間決算の公開開始以来)、増収増益となった。

 背景には、国内土木・建築事業で豊富な手持ち工事を消化したことにある。建築では2020年の東京五輪に向けた首都圏中心の大型ビル建築工事などが、土木では高速道路工事などの工事進捗が順調に進み、それらで追加工事の獲得があった。工期の終盤に追加される工事は利益性が高いものが多い。

 好調な大手の中で鹿島だけが唯一、過去最高益にはならなかった。営業減益となった理由の一つは、単体の土木事業の利益率の低下。通常、工事の終盤に向けて追加工事を獲得したり、熟練して生産性が上がったりすることで利益率が改善されるが、今回はそうした採算性をアップさせる工事が少なかった。

 また、人件費の増加と研究開発費の拡大が、販管費を増やしたことも理由になる。売上総利益(完成工事総利益)は前年同期並みだったものの、人件費は海外現地法人の業容拡大によって増えた。研究開発費は生産性向上のための技術開発や、米国西海岸に社員を送り込んでの先端技術の情報を収集する先行投資などがかさんだ。

 豪州の地元建設会社と進めている海外案件で、施工管理がうまくいかず、採算が悪化したことなども影響したが、通期の純利益では、当初予想の18%減(19年3月期比)から、約13%減(同)へと減益幅を約5%上方修正。見通し自体は明るいものだった。

 通期の純利益の予想は4社とも保守的な見方で前年を下回る。ただ、建設の工事完成時期は下期に集中しやすいため、ここで追加工事を行って利益率が改善したりするのがよくある展開。大成建設は中間期決算のタイミングで上方修正しており、総じて好調な流れは続くと見られる。他の大手も下期から期末にかけて上方修正を出す可能性がある。
● 国内土木に追い風 「ポスト五輪」の柱は?

 「ポスト五輪」で建設需要がひっ迫するのではと心配する声が出ているものの、当事者たちは「急激な落ち込みはないだろう」と見る。

 その根拠の一つが、国内土木が「追い風」となって受注が増加していくと見通していること。国土強靭化政策の下、インフラ改修の需要は続く。国土強靭化のための三カ年緊急対策の約7兆円の予算は、直近では地方のゼネコンに落ち、起きたばかりの自然災害への対処や早期復旧に充てられている。

 それが、今後は大手ゼネコンが手掛けるような堤防の補修、河川の整備、老朽化した道路やダムの補修など、大規模なインフラ再生に費やされていくと読んでいるのだ。

 国内建築の受注もまだ衰えないと見る。「再開発の集中は来年3月頃に一度踊り場を迎えるものの、ピークは23、24年頃になるだろう」(大手ゼネコン幹部)と言うように、首都圏を中心とした大型開発はまだまだ続き、加えて大阪万博やIRの付帯施設やホテル建設も期待できる。

 ただ、将来的な国内人口減少などを考えると、遅かれ遠かれ、いずれ国内建築が縮小することは見越している。だから大手は国内外での不動産開発や風力発電施設の建設事業などに投資を急いでいる。しかしそれらは、この中間期を見ても、まだ業績へ貢献するまでに至っていない。「宿題」であることは明らかだ。

 また、中長期的な流れとは別に足下で、大手幹部らはお客となる「製造業」の動向を不安視している。米中貿易摩擦の影響で製造業の業績が悪化し、設備投資を控えるマインドに変わるとゼネコンの建築事業があおりを受ける。

 これが冷たい「向かい風」になるかもしれず、過去最高益を出したからといって悠長に構えてはいられない。
ダイヤモンド編集部/松野友美

最終更新:11月14日(木)6時01分

ダイヤモンド・オンライン

 

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週刊ダイヤモンド

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