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パチスロ人気機種大型撤去目前。「撤去イベント」に潜むホール側の思惑と業界の未来

11月14日(木)8時33分配信 HARBOR BUSINESS Online

よっしー / PIXTA(ピクスタ)
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よっしー / PIXTA(ピクスタ)
◆人気機種の大型撤去、いよいよ目前

 パチンコ業界は年末の大型撤去に戦々恐々としている。

 2018年の規則等改正に伴い、「パチスロ モンスターハンター 月下雷鳴」、「バジリスク~甲賀忍法帖~絆」、「アナザーゴッドハーデス-奪われたZEUSver.」、「ハッピージャグラーVⅡ」等の設置期限がこの年末迄となるからだ。これらの機種は、パチスロユーザーから絶大な支持を得ている人気機種で、パチンコホールにとっても経営の柱となるものである。

 これらの機種の設置台数は全国で10万台以上に上り、みなし機等、他の機種と合わせれば、パチンコ業界全体で15万台を超える台数が撤去される事になる。

 このような状況下で、一部のパチンコホールでは、人気機種の「撤去イベント」が実施されている。その引き金になったのは、本サイトに寄稿した「全国のパチンコ店が、一斉に鹿目まどかの誕生日を祝った謎」でも紹介した「SLOT魔法少女まどか☆マギカ」(以下「まどか」)の撤去である。

 パチスロ「まどか」の設置期限は、一部地域を除いては先月10月の末であった。パチンコホール側は本機種の撤去を大々的に「宣伝」したし、多くのユーザーは「最後の遊技」を目的にパチンコホールに足を運んだ。全国的なデータを見ても、明らかに本機種の稼働は上昇したのだ。

 年末にかけて続々と撤去される人気機種。パチンコホールが間違いなく「実施」するであろう、これらの機種の「撤去イベント」。そこに潜むホール側の思惑について考える。

◆お客との「信頼感」作りに投資できる余裕があるか否か

 一般的な視点でパチンコホールの経営を考える時、撤去される機種に高設定を入れる理由は限りなくゼロに近い。いくら出玉を演出したり、機種の遊技性(面白み)をアピールしたりしたところで、撤去されてしまうのであれば、ユーザーの再来店に繋がらないし、単なる粗利を目減りさせるだけだからだ。

 しかし、昨今の業界事情を勘案したうえで、より大きな経営的視点から見れば、撤去機種に高設定を配分することは、パチンコホールにとって一概にマイナスとは言えない。撤去機種への高設定配分は、そのまま当該ホールへの、ユーザー達の「信頼感」に繋がる。

 信頼感とは即ち、「このホールは高設定を入れるお店」という認識である。

 新規則機であるパチスロ6号機の特徴の一つは、設定推測要素が豊富なことだ。仮に奇数設定示唆演出(※パチスロは1~6の6段階設定で、数字が高いほど出玉率も高い)が表示されたとして、そのホールに信頼感があれば、ユーザーは「設定5」かも知れないと期待感を膨らませるが、逆にユーザーの信頼感が薄ければ「どうせ設定1だろう」と諦められてしまう。ユーザーの信頼感は、そのままパチンコホールの売上に直結する。

 パチンコ業界は、冬の時代真っただ中である。

 パチンコホール数は減少に歯止めがかからず、ユーザー数も全盛期の3分の1以下になった。一方で遊技機の価格は上昇し続け(1台約45万円~50万円)、ホール内の付帯設備に対する投資も嵩む。それに加え、様々な依存症対策を講じざるを得ず、広告宣伝すらままならない状況である。

 そのような中、人気機種の「撤去イベント」は、ホール側のイベント示唆の要素も多分に含まれるが、しかしどちらかと言えばユーザー側がより盛り上がるイベントである。ユーザー側が発信する期待感に応えることで、パチンコホールは今後生き残るための信頼感を獲得するしかない。

 全国のパチンコホールを見渡せば、人気機種の撤去イベントからは、このような思惑が透けて見えるはずだ。

◆「黙っていても客がつく台に高設定など入れない」店も!?

 しかしどのパチンコホールでもこのような考えを持っている訳ではない。

 繰り返すが、今はパチンコホールにとって、生きるか死ぬかの瀬戸際である。今後2年~3年のうちに、3分の1のホールが閉店するとすら言われているのだ。現状1万店舗を切ったパチンコホールが6千店くらいまで減少するという事だ。

 企業として今後のビジョンを持ち、経営資源に一定以上の余裕があるパチンコホールでは、前述のような「撤去イベント」に呼応していく確率は高いが、一方で、経営資源に乏しく日々の営業に汲々としているパチンコホールでは単なるガセイベント化する可能性の方が高い。

 広告宣伝が厳しく規制されるなか、「撤去イベント」はパチンコホール側が大々的に宣伝する訳ではない。あくまでユーザー側がイベント化しているもの。「客が勝手に盛り上がって、勝手に打ってくれるだけ」、「黙っていても客が付く機種に高設定を入れる理由は無い」という考え方も確かにあるし、商売の発想で言えば、その方が自然な考え方でもある。そもそも背に腹は代えられない。例えばホール現場の店長が撤去機種に高設定を配分したくても、経営陣がそれを許さない場合も多い。

 全国には1年先の経営が見通せないパチンコホールが、実は多く存在しているのだ。

 本稿においては、「人気機種の撤去イベント」にフォーカスしたが、どちらにせよこの年末の一斉撤去がパチンコ業界全体に与える影響は甚大だ。

 機種が撤去されるのではなく、パチンコ店自体が「撤去」されてしまうかも知れない現状。人気機種の撤去は、業界の冬を厳冬に変えていく。いくつのパチンコホールが、春を迎えることが出来るのか。

<文/安達夕>

【安達夕】

Twitter:@yuu_adachi
ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:11月14日(木)8時33分

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