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20億円の示談金を荒稼ぎ……訴訟大国アメリカの実態

11月13日(水)11時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
日米で不動産投資を行う石原博光さん。実は、米国で不動産仲介業者にあたる「リアルター(REALTOR)」としても活動しています。

今回は、そんな石原さんのリアルターとしての仕事や仲間との話をベースに、「米国の不動産事情」についてお話をいただきました。



こんにちは、石原博光です。僕は日本と米国で合わせて3棟43戸のアパートと6つの戸建て(自宅含む)を所有する不動産投資家ですが、実は2017年、米国の不動産仲介の資格である「リアルター」に合格しました。現在では、米国内で実需向け物件と投資物件の仲介も行っています。

そこで今回は、いつもと少し趣向を変えて、僕のリアルター活動や、仲間にインタビューしてきた内容などから、米国不動産にまつわる興味深い(?)エピソードをいくつかご紹介したいと思います。

■エピソード1:9回連続の買い付けキャンセル!

これは、僕がクライアントのマイホーム購入のお手伝いをしたときの話です。クライアントはアジア系のご夫婦だったのですが、日本人的な感覚からすると「優柔不断」という言葉が当てはまる方々でした。

物件を購入する時には、物件を案内してもらい、気に入ったら買い付けを入れますよね。この買付証明書なんですが、諸条件を細かく盛り込むので、米国では結構な量の資料になるんです。

カリフォルニアの場合は、基本的に15ページで構成されています。

気になる中身ですが、物件と売り主、買い主や双方のエージェントの情報、手付金の取り扱い方法、希望買受金額、決済金の調達方法、契約後に買い主が行う建物の各種検査や融資承認までの猶予期間、取引完了までの日数、環境調査を売り主負担で行う要求書、売り主側と買い主側の仲介を担う「第三者」であるエスクロー会社の選択権(通常は売り主)、エスクローの費用負担割合、建物設備の作動を保証する保険に関する売り主へのリクエストなどなど……。

このような内容を細かく定めて明記します。そして、買い主と売り主で双方合意すれば、そのままこの書類が契約書として機能することになります。

このクライアントのご夫婦も、案内した物件に買い付けを入れると言うので、僕も準備を頑張って買付証明書を作成しました。そしてさて提出、という時に「やっぱりキャンセルで」と言われました。それも、なんと9回連続で!

しかも全然悪びれた様子がないんですよね。キャンセルの理由はさまざまだったんですが、昼は夫婦そろって「いいね、ここに住もう!」と言っていたのに、夜、家に帰って話し合っていたら奥さんが「やっぱりいやだ」と言い出したとか、その逆のこともありました。インターネットで見た別の物件が気になったから、あの物件はキャンセルしてこっちも案内してほしいとか、そこを案内して買い付け寸前になったらやっぱりここもキャンセルとか。それが9回です。

最初の1、2回は僕も少しキリキリしていたのですが、途中からはちょっと面白くなってきました。僕自身のリアルターとしての経験値アップにもつながるし、買付証明書作成の能力も上がってきて、本当に良い経験になったな、と思います。

ちなみに、最終的に決めたのは線路わきの物件でした。それまでずっとキャンセルだったから、僕も「ここにする」と言われた時は「本当に?」と疑ってしまいました。しかも、いろんな理由でキャンセルしてきたのに、線路は気にならないんだ……と(笑)。今は音にも慣れて、問題なくお住まいのようです。

■エピソード2:セキュリティシステムに大慌て

物件の内見時、リアルターはカギを開けなくては案内ができません。そのカギを不動産会社に取りに行くことはまれで、基本的にはリアルター専用のロックボックスが現地に備え付けられています。これをリモコンキーで開けるか、もしくは携帯電話にアプリをダウンロードしておいて、そのアプリとキーボックスとをBluetoothで接続すると、カギが解除できる仕組みになっています。このシステムはセキュリティも厳しく、何月何日、誰が何時から何時までキーを開けたという記録もすべて残っています。

ある時、そんな風にして無事にカギを入手して玄関を開けることができて、さて物件の案内を開始しよう……という時に事件は起きました。

最近の物件は、高度なホームセキュリティシステムが導入されていることが多いのですが、「セキュリティを解除するコードを30秒以内に入力してください」とアナウンスが流れたのです。ほどなくして、家中で警報が鳴りだしたのですが、ものすごい音のサイレン。あの広いアメリカで、5軒先の家まで響きわたるくらいの大音量は、鼓膜が破れそうなほどで、会話も全く不可能な状況でした。その上、そのまま解除できなければ、警察が来る仕組みになっているようでした。

僕はセキュリティシステムを解除しなくてはいけないと知らず、ものすごく焦ってしまったのですが、リアルター用の指示書からコードを見つけ出し、なんとか、警察が到着するギリギリで解除ができました。

大音量で思考能力が奪われると何かで読んだことがありましたが、ああいう時ってどうしたらいいのかわからなくて、とにかく「どうしよう」とウロウロしてしまうんですね。そんな僕の姿を見て、クライアントは大笑いしていました。

この一件以来、カギの解除だけでなく、物件のシステムについては熟知してから案内するようにしています。

物件によっては、ゲーテッドコミュニティ(gated community、コミュニティを塀で囲い、門を設けること防犯性を高めたまち)でのゲートを解除するコードが必要な物件もあります。たまにコミュニティの中でも、さらにゲートで囲われたエリア(特別感満載です)に物件がある時もあって、事前に売主からゲートキーパーに連絡がないと入れなかったり、玄関が電子キーの場合はそのコードも入手したりと注意が必要です。

それから、空き家なのに売り主のペットが放し飼いにされていてびっくりすることも。家が売れるギリギリまで広い空間で伸び伸び飼うつもりなのかもしれませんが、子犬に散々に吠えられたり、猫が威嚇してきたりと、なかなか興味深い経験を積んでおります。

■エピソード3:丸ごとオートロックで締め出された

カギの話で言うと、家全体がオートロックで守られている物件もありました。僕はそのことを知らなくて、家の中からバックヤード(裏庭)にクライアントと一緒に出たところ、ドアが閉まってしまって、中に戻れなくなってしまったんです。突然の出来事に頭が真っ白になりましたが、玄関が電子キー方式だったことを思い出し、なんとか表にたどり着き、正面玄関から入り直しました(玄関の解除番号を覚えていたので……)。

締め出されたとわかった時も焦ったんですが、なんとこの物件、ありとあらゆるところにカメラが取り付けられていて、音声まで拾っていたんです。外に締め出された間抜けな姿や、焦ってオロオロしている様子など、外で何をしているか、丸見え、丸聞こえという状況で、さらに焦る羽目になってしまったことは言うに及びません……(笑)。

ちなみに、米国ならではかもしれませんが、売り主が隠しカメラや隠しマイクを物件に仕掛けていることもあります。クライアントやリアルターがどんな反応をしているのか、こっそりのぞかれているんです。もちろん全ての物件であるわけではありませんが、僕は常に見られているかもしれない、聞かれているかもしれない、という心構えで物件を訪れるようにしています。

■20億円の示談金稼ぎ!? 訴訟大国・アメリカの実態

僕の知人で、ロサンゼルスにある商業物件の管理を30年ほど行っている人がいます。先日、この人に興味深い話をいくつか聞いたので、こちらもあわせてお話したいと思います。

そのうちの1つが、訴訟の話です。彼によると裁判を起こしたり、起こされたりで「30年、訴訟が途切れたことがない」そうです。

どんな訴訟があるかというと、例えば、「敷地内の駐車場から車を出そうとしたらぶつかった。駐車場が狭いのが悪い」とか、「雨の後、水がたまって足が滑った。もっと傾斜を作るべきだった」とか、「掃除直後の床が乾いていないことを知らなかったので、滑った」とか、ありとあらゆることなんだそうです。日本だと「クレーマー」と呼ばれるような内容ですが、米国だととにかく裁判に訴える。

驚くべきことに、このように「訴えること」を仕事にしている人もいるんです。朝から晩までインターネットで情報収集をして、これはいける、と思えば訴訟を起こす。そのうちのどれかで和解金や賠償金をとることができて、それで生活をしているということです。少し前に駐車場整備に関する法律が変わったそうですが、新しい法律に対応していない小売店を狙い撃ちにして、わずか5年間で示談金を20億円近く稼いだ人もいるという話でした。

僕自身も、米国が訴訟大国だと言うことは知っていましたが、改めて、本当なんだな、と恐怖とともに実感しました。

こういったプロのクレーマーとでも言うべき人もいますし、悪知恵の働く人もいる。僕自身は管理会社に物件の管理を依頼しています。最初はあまりにも細かいことを指摘するので戸惑いましたが、今となってはその意味が痛いほど理解できます。

そして、法律を熟知していない限り、管理会社を通さずに大家をやるのはちょっと危ないな、と思っています。



僕自身はリアルターの勉強を通して、米国不動産を体系立てて学ぶことができたことに、とても感謝しています。おかげさまで、今ではプロとしての立場に加え、投資家としての視点も持って不動産をとらえることができるようになりました。スピーディに、気兼ねすることなく一次情報に触れられることも、大きな武器になっています。

今回は、いつもとは少し毛色の変わったお話になりました。業として物件に携わる経験や米国ならではの不動産事情、日本とはこういう部分が異なる……など、ちょっと肩の力が抜けるようなエピソードもあわせてお楽しみいただければ幸いです。
石原 博光

最終更新:11月13日(水)11時00分

不動産投資の楽待

 

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株式会社ファーストロジック

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