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日経平均は懐疑の中で2万4448円を超えていく

10月21日(月)6時00分配信 東洋経済オンライン

ファンド筋も、個人投資家も「相場は再び下落する」と思っている人が多いようだ(写真:ロイター/アフロ)
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ファンド筋も、個人投資家も「相場は再び下落する」と思っている人が多いようだ(写真:ロイター/アフロ)
 8月9日の安値(取引時間中の価格は2万0110円)から約2000円高となった日経平均株価。1000円ほどの調整を入れた後、2段上げに入り、ようやく年初来高値を更新してきた。

■売り方は、まだ「これから相場が下がる」と思っている

 「能天気な強気」と揶揄されながら、めげずに強気を貫いてきた筆者としては納得した展開だ。ところがいよいよ「大踏み上げ」(買い戻し)が入るかと思いきや、買い転換した売り方は極めて少ない。
 もちろん「持たざるリスク」などという話は、全く聞こえてこない。特にファンド筋の基本的相場観は「ファンダメンタルズから言って買えない」であり、ロスカットで自動的に踏みまくって(買い戻して)いるのに、従来の方針通り、高ければ高いほど売りを増やしているようだ。昨年10月につけた日経平均27年ぶりの高値(同2万4448円)以来、戻り売りが日常茶飯事の投資行為であったためか、すっかり売ることに慣れ、空売りが史上最高水準に積みあがっていることに気付いていないようだ。
 個人投資家も、逆張りの域を出ない。戻りに入った10月第2週はすかさず売り越しとなり、信用取引の売り残も高水準のままだ。15日連続の逆日歩の後いったん解消されたが、レバレッジETF(上場投資信託)の逆日歩は、再び継続的に付き始めた。

 評価損益は確定したものではなく、相場付きによっては「損失」が「利益」に一瞬で変わること(逆も)もある。だが、逆日歩は売り方にとってはいわば「確定した損失」であり、投資意欲を確実に減退させるはずだが、とにかくどこを取材しても圧倒的な弱気論ばかりだ。
 市場の先安観の象徴である裁定取引ネット買い残(買い残―売り残)の異常とも言える1兆円以上のマイナス状態は今年6月から今でも続いており、機関投資家の先安見通しは腰が据わっている。今年の世界の諸事情を考えると、株式市場が年初来高値になること自体が有り得ないのに、この不思議な現象を突き止めるようともしていないようだ。株価が上がるということは、単純に買いが多いということだが、弱気一色にもかかわらず、なぜ買いが多いのか。売り方は「不思議」と思わないのだろうか。
 さて、今週の24日(木)にはECB(欧州中央銀行)理事会があり、今月末で任期が終わるマリオ・ドラギ総裁の最後の定例記者会見がある。11月からの 国債買い入れ再開を前にしてどんな会見になるか。FRB(米連邦準備制度理事会)も、2年間続いていた資産縮小を止め、資産再拡大を言明した。ジェローム・パウエルFRB議長はあくまで「量的緩和ではない」と言い張るが、ドラギ総裁は何と言うか、楽しみだ。

 さらに、今週はアメリカ企業の第3四半期決算発表がピークを迎える。日本でも日本電産、信越化学といった、今後の趨勢を決めるような大物企業が先陣を切って決算を発表する。アメリカはこれまでの発表では圧倒的に上方修正が多いが、日本ではどうか。
 筆者は「下方修正が続出するのでは?」という下馬評をひっくり返すような結果が、日本でも出てくるのではないかと思っている。前回、日経平均の予想EPS(1株利益)は1750円が底ではないかと書いたが、1752円(7日)を底に、18日現在では1775円と、すでに切り返している。

 「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」(著名投資家のJ・テンプルトン)と言われる。今回の相場は、アメリカの景気後退や「EU崩壊危機」という悲観の中で生まれ(売り過ぎ)、懐疑の中で育ち(買い戻し)つつあるが、余りにも懐疑心が強い現在、今回の相場は楽観や幸福感まで行かず「懐疑の中で消えていく」のではないかとも言われる。
■懐疑を乗り越えた先に大相場が待ち受ける

 「悲観の中で生まれ、懐疑の中で消えていく」・・・それが今の相場観の大勢観のようだが、だからこそここを乗り越えた時、大相場が待っているように思える。仮に懐疑の中だけで消える相場であっても、懐疑の中の高値だけでも2万7000円はあると見ている。もしこれが、楽観の世界に入ったらどこまで行くのだろうか。それはまだ、ここでは言わないとしよう。どうせまた能天気と言われるからだ。言われないレベルまで上がってきてから言うとしよう。
 実際、楽観の世界では、懐疑の世界では考えられないことが起こる。例えば米中対立の完全解決はないという懐疑心は根強い。確かに、「社会資本主義」(中国)と「自由資本主義」(米)は相いれないものがあり、米ソ対立の冷戦時代とは違った難しさがあるが、「共産党が支配しようが共和・民主党が支配しようが、同じ資本主義ではないか。いずれ資本の原理が妥協点を見つけ完全解決に至る」というのも、楽観論の1つだ。

 冒頭の通り、すでに日経平均は、1段上げの後、半値近くの押しを入れた。日経平均1300円幅の2段上げもそうなってもおかしくないが、下落したとしても、2万2000円はもう切らないのではないか。これらを総合して、今週の日経平均の予想レンジは2万2000円~2万2800円とする。無理をせず、ゆっくり懐疑の相場を行けばよいと思っている。
平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

最終更新:10月21日(月)6時00分

東洋経済オンライン

 

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