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米中「部分合意」で日本株が大幅続伸 この勢いは本物か?

10月17日(木)10時35分配信 THE PAGE

 日本株が大幅続伸しています。16日の東京株式市場は2万2000円台半ばの値をつけ、年初来高値を更新しました。この勢いは本物なのか。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストが、世界の半導体売り上げに着目して考察します。

世界のIT関連財の市況好転を期待させる動き

[グラフ]PMI・半導体売上高
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[グラフ]PMI・半導体売上高
 米中貿易協議が「部分的合意」に至ったことなどを好感して10月15日の日経平均株価は2万2000円台を回復しました。11日まで行われた協議の結果、10月15日から上乗せされるはずだった対中関税は先送りされ、金融市場に安心感が広がった形です。ここだけで判断すると、米中の政治動向が日本株の趨勢を決めているように思えてしまいますが、筆者は日経株上昇のより本質的な理由として、世界的な製造業の景気底打ち感が大きいと考えています。この見方が正しければ、日本株上昇は一過性のものではなく、持続的なものになると思われます。

 製造業の景気といえば、9月の米ISM製造業景況指数が非常に弱い内容だったことから、底打ちはまだ先との見方も多い様子ですが、一方でIHS Markit社が国ごとに作成・公表する製造業PMI(購買担当者景気指数)は米国や中国などで上向いており、グローバル製造業は2か月連続で改善しています。グローバル製造業PMIは7月の49.3をボトムに9月は49.7まで水準を切り上げ、製造業セクターが最悪期を脱したことを示唆しています。

 この動きと整合的に世界半導体売上高の減少に歯止めがかかりつつあるのは朗報です。8月の世界半導体売上高は前年比▲15.9%と、依然リーマンショック以降で最大級の落ち込みを示していますが、細かくみると6月の▲16.5%をボトムに底打ちしつつあり、半導体を中心とするIT関連財の市況好転を期待させる動きになっています。IT関連財はシリコンサイクルと呼ばれる4年サイクル(上昇2年・下降2年)を持つことが知られていますが、今回の底打ちは2017年末頃をピークとする下降局面が終わりに近付いていることを示唆しているようです。

半導体メーカーが増産に備えて設備投資始める?

[グラフ]電子計算機等(機械受注)・日経平均
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[グラフ]電子計算機等(機械受注)・日経平均
 このようにIT関連財市況が底打ちするとの期待が芽生えるなか、日本のマクロデータに復調の兆しが散見されます。たとえば、鉱工業生産統計では「電子部品・デバイス工業」(※IT関連財と読み替えて差し支えありません)という業種で在庫の減少が確認されています。IT関連財市況が悪化していた2018年後半に電子部品・デバイス工業(に分類される企業)は前年比で40%強の在庫を抱えていましたが、その後の生産抑制などによって、直近の在庫は減少に転じ、在庫調整が進展していることをうかがわせる動きになっています。依然、出荷が伸び悩む状況は続いていますが、さらなる減産のリスクが低いという点において明るいデータです。

 このように過剰在庫が解消する下、それに呼応するように機械受注統計をみると、半導体製造装置を含む「電子計算機等」の受注が上向いています。受注高は1-3月期に前年比2桁のマイナスを記録した後、直近ではっきりとプラス圏に浮上しました。こうした動きは、半導体メーカーが将来の増産に備えて設備投資を開始したことを物語っており、IT関連市況の好転を意識させます。来年に稼動が予定されている5G(次世代通信規格)対応製品の増産や、IOTのさらなる浸透によって、高性能電子部品及びそれを作るための装置の需要が増加している模様です。

 最後に、「電子計算機等」の受注と日経平均株価を同じグラフに描くと、両者の連動性が確認できます。このことはIT関連財市況が日本株(日本経済)にとって如何に重要であるかを物語っています。
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※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

最終更新:10月17日(木)10時35分

THE PAGE

 

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