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「絶対に破綻しない方法」を貫く不動産投資家の戦略《楽待新聞》

10月17日(木)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
実績のある不動産投資家は、果たしてどのように投資を行い、規模を拡大してきたのか。その手法にインタビューで迫る。今回話を聞いたのは、「埼玉サラリーマン大家」さん。資産を築いた独自の手法とはどのようなものか。どのような考え方で不動産投資を行っているのか。

■「繰り上げ返済」駆使する独自手法

―埼玉サラリーマン大家さんは、独自の手法で不動産投資を行っていますよね。

基本的には、「1棟ごとに繰り上げ返済を行い、完済後に次の物件を買う」というやり方をしています。もちろん、返済と購入が多少かぶっていることもありますが。

でも、これが不動産投資の手法だと思ってやってきてないんですよ。私は不動産投資の本を読んだこともなかったし、セミナーにも行ったことがない。大家の会にも参加してきませんでした。ただ「大家になりたい」と思っていたので、1棟買って、返済して、お金ができたから次の物件を買おうと。絶対に破綻しないようなやり方をとってきただけです。

―大家になりたい、という思いがあったんですね。

大家さんにあこがれがありました。幼少期はすごく貧乏な生活を送っていたんですが、その時からの夢だったんです。

それとは別に、就職してからは企業ホームページを作ったりというネット系の副業も始めたんですが、その分の稼ぎを不動産に転換したいと思いました。もし副業がだめになっても、稼いでくれるものが残るので。

―1棟目を買ったのはいつですか?

今から18年ほど前です。今みたいにポータルサイトがないので、不動産会社さんをまわって物件を探して、やり取りも電話とFAXで。大変ではありましたが、その分安い物件も多かったと思います。

■4000万円の中古アパートで夢の大家に

―ご自身が書かれたコラムでは、1棟目を「難あり物件」と紹介されていますね。

4000万円くらいの、木造中古アパートです。お墓の隣という立地の単身者向け物件でした。運が良かったのか、ほとんど満室経営が続いていますが、客付けする側に言わせると「なんで満室なのかわからない」らしいです(笑)。

―4000万円は1棟目としてはなかなかの金額ですね。どきどきしませんでしたか?

したと思いますよ。でも、当時は勝負に出たんでしょうね。1棟目は一番リスクが高い時です。失敗したらヤバい。

もし、今自分が読者さんから相談に乗っていたとしたら、「最初は1500万円のアパートとか、500万円の戸建てとかの方がいいんじゃないですか」って答えると思います。いきなり4000万円はちょっと高すぎたと自分でも思います。

―1棟目を買って、ようやく夢がかなった時には、どのような気持ちでしたか?

いえ、借金を返し終えるまでは夢がかなったとは思っていませんでした。だから、頑張って返済をしたんです。

―完済までにはどのくらいかかりましたか?

4、5年だったと思います。

―その時、ようやく夢がかなったと言えたわけですね。どんな気持ちでしたか?

(返済が)終わった、という感じですね(笑)。

■繰り上げ返済は金融機関に嫌われる

―基本的には、自己資金を2~3割入れて融資を引いていらっしゃるんですよね?

そうですね。ただ、そうすると貯金する期間が必要になります。例えば、今この時が買い時の相場で、5年後には買い時ではないかもしれない。だから今すぐ買いたい…と言う人には、ちょっと難しい。

―1棟目の時に、融資を引くのに苦労はされなかったですか?

もちろん融資には困りましたよ。何行もまわって、話を聞いてくれて、信じてくれたところと今もお付き合いをしています。基本的には、地元の信用金庫にお願いをしています。

―1棟目の時から、繰り上げ返済をするつもりだと明らかにしていたんですか?

きちんと話していました。都銀には全然相手にされませんでしたね。

―繰り上げ返済は金融機関に嫌われると聞きますが……。

嫌いだと思いますよ。いつも謝りながら返済しています。「これを返したらまた次買うので、ごめんなさい」と言いながら、関係を維持してもらっていますね。

―融資付けに困っている方は多いと思うんですが、どうしたら融資が引けるんですか?

私は皆さんが望むようなフルローンを引いているわけではないから、あまり参考にならないと思いますが…(笑)。

私がやっていたのは、貸してくれそうな金融機関が見つかったら、そこで積立預金を申し込んで、「一見さん」ではなく、関係性をコツコツ作ることでしょうか。毎月貯金をして、その実績を見せるという当たり前のことをやってきただけです。

■勝負に出た5棟目

―今の所有物件数や、年間家賃収入を教えてください。

今買う寸前の物件もありますが、今(2019年9月末現在)は、7棟65室です。年間家賃収入だと、3000万円くらいになります。手残りは、税引き前で2400万円くらいです。繰り上げ返済のおかげで、今の7棟は完全無借金になっています。あ、でも最近は大規模修繕で毎年200万円くらい使っているので、2200万円くらいかな。

―所有物件の平均的な利回りはどのくらいなんでしょうか?

最初の4棟目までは、13~15%くらいで見てきました。そうじゃないと、お金がないのでまわらないんです。5棟目からは資産性を重視して、利回り10%でもいいのかな、と思い始めましたね。

―5棟目というと、都内の物件ですね。初めて1億円を超えた物件だとか…。

そうです。実は、5棟目からはずっと都内の物件を買っていこうと思っていたくらいなんですが、ちょうど高騰相場が来て、都内の物件は諦めざるを得ず…6、7棟目は埼玉に戻ってしまいました(笑)。基本的には、東京に近い埼玉県の物件を検討しています。

―これから高騰相場が来る、というところで1億円の物件を買ったんですね。

だからこその勝負でした。買うチャンスは今しかない、と思ったので、確かにリスクもありましたが、結局は4年で完済できました。

■「買わなきゃよかった」とは思わない

―7棟の中で、一番思い出深い物件はありますか?

東京の物件(5棟目)は、やっぱりうれしかったですね。ここまで来たのか、と感慨深いものがありました。でも、どれも印象深くて、売りたくなくなっちゃうからダメですね(笑)。

―売却は考えていないんですか?

基本的にはしないです。ただ、資産の入れ替えをしたほうがいいのかな、と悩んで、2棟目の物件を売ったらいくらになるかな、と検討はしています。今は切羽詰まっていないので、すぐに、というわけではないですが。もっと大きな勝負をしたくなった時に、売却して現金を作るかもしれません。

―いちばん失敗したな、という経験はありますか?

買わなきゃよかった、という物件はないです。そういう意味での失敗はありません。確かに、今のスキルを持ったまま当時に戻ったら、あの1棟目の物件は買っていないと思いますが(笑)、1棟目も2棟目も、買った金額以上にお金を稼いでくれているので、失敗ではないと思いますね。

小さい失敗ならいくつもありますよ。手付金の800万円をファミレスに置いてきちゃったとか。あれはめちゃくちゃ焦りました。

―えっ! それは見つかったんですか?

見つかりました。見つかったから、「小さい」失敗なんです。無くなっていたらヤバかったです(笑)。

■満室経営のための立地選び

―ほとんど満室を維持できているんですよね?

そうですね。ちょっとボロボロで、3点ユニットで、狭い単身者向けという物件が多いながら、空室率5%以下がずっと続いています。こういうあんまりイケてない物件にしては、そこそこではないでしょうか。

―すごいと思います! 秘訣はなんでしょうか?

やはり立地は重視しています。とりあえずがんばれば需要がある、というエリアなら努力もできますが、どうがんばっても…という難しい場所も存在するので、努力で埋められそうなエリアに買うというのは前提です。あとは、力の強い管理会社を探してお願いしています。

だから、自分の力で埋めているなんて言いません。私にできるのは、共用部を綺麗にしたり、内装をある程度おしゃれにしたりということだけ。少しホームステージングもしますが、それで客付けできている、と胸を張って言うほどではありません。

―立地の需要は、どのように把握しているんでしょうか?

自分の土地勘が第一。あとは人口予測と、人が歩いている数と、お店が撤退した後にすぐに次の店が決まる地域がどうかは見ていますね。例えばコンビニが撤退して、ずっと空いたままなのか、それとも1カ月以内に新しい店が入るような賑わいのあるエリアなのか。それと、子供向けのチェーン店があるかどうかも確認します。子供がいるエリアは、おそらく発展するので。

でも、結局は感覚ですね。私が買うのは土地値か土地値以下のアパートばかりなので、10年持っていれば大丈夫なんです。最悪でも10年持てる自信がある場所なら負けません。

■破綻しないために「安全圏」を見極め

―今後の目標はありますか?

特には定めていません。サラリーマンはよく「ゴールの数字を決めて、そこから逆算して今何をすべきか考える」ことをすると思うんですが、私は、不動産投資に限っては、数字のゴールを決めていないんです。どちらかというと、「どこまで安全圏か」を数字で把握していて、その安全圏の中でいい物件を見つけて買う、という感じです。だから、特に目標は定めていなくて、気づいたら大きくなっている。デキる投資家はCF○○億円とか、物件数○○棟、っていう「攻め」の目標を立てるのかもしれませんが、私は「絶対に破綻しないこと」が目標ですかね。

―「安全圏」はどのように考えているんですか?

例えばですが、今は完全無借金で物件が7棟あって、空室率5%以下で運営ができています。これが空室率30%になったとしたら、収入がいくらになって、自分が稼ぐお金がどのくらいあって、支払うお金がいくらで、だから余裕の資金がこのくらいだ。だから、新しく買うアパートの入居がたとえ0だったとしても赤字にはならないな、という風に考えていくんです。それで、いくらまでの物件なら絶対に安全だ、と検討していく。

1棟目とか2棟目なら「入居が0でも大丈夫」っていうのは絶対に無理ですから、それなら20%なら? 50%なら? と安全圏のラインはその都度変わっていきますが、考え方は一緒です。規模が拡大していくにつれ、安全圏も拡大してきています。やれることが増えてきているので、楽しいですね。

―次に買いたい物件の構想はありますか?

儲かる物件を買いたいですが、今までと同じ土地値の物件は見つけやすいんです。今まで培ってきたスキルがありますから。でも、同じようなものばかりだとリスク分散の面で不安もあるので、築浅物件とか、遠くの立地を見たほうがいいのかな、と検討はしています。でも、結局は「儲かるかどうか」で見ていると、目に留まるのは今までと同じような物件なんですよね。悩みどころです。

今の物件を壊してそこに新築建てる方が得なのか、売却して築浅物件を買ったほうがいいのか、とシミュレーションをする段階になってきました。今のところ、どうやっても損はしないので、どうやったら得なのかを考えています。

―今所有されているのはアパートですね。いろいろ物件種別はあると思いますが、なぜアパートなんでしょうか。

なんででしょう。アパートの大家になりたかったからかな。安全に行くなら戸建てだとは思いますが、戸建てはやはり拡大のスピードが遅いですしね。

―マンションはどうですか?

鉄骨なら考えますが、RCは考えていません。私は土地の価値を重視しているんですが、RCだと杭を抜くのにお金がかかったり、解体費用が高額だったりして、土地の価値が下がってしまう。長期で考えれば、木造の方が儲かると思うんです。

まあ、自分が生きていない時代のことにまで考えを巡らせているので、そこまで考える必要あるか? とも思いますが(笑)。

東京都内など、土地の価値が高いところで、上に高いRCマンションを建てるのはアリですね。埼玉の、坪50、60万円という場所でRCを建てるメリットは、私にはあまりわからないです。

■クレーム対応を自分で手配するようになったワケ

―管理会社に依頼もしつつ、入居者からのクレームなどには、ご自身でも対応されていますね。大変ではないですか?

大変ではないですよ。入居者から何かが壊れた、という依頼が来ても対処してくれる業者さんに連絡して、向かってもらうだけです。その体制が整うまでは、関係づくりは確かに大変ですが。

―どのように業者さんを見つけてきたんですか?

ネットでも探しましたし、建築系の団体から紹介もしてもらいましたし、タウンページも使って片っ端からあたりました。それで依頼してみて、腕と金額を検討して、残っている人が残っている、という感じです。

相見積もりは基本的にはしないようにしています。零細大家から、小さい依頼なのに相見積もり取られたら嫌じゃないですか。だから、連絡をしたらそこにお願いをするようにしています。で、ダメだったら次から依頼はしない。もちろん、外壁塗装とか、金額が大きいものは相見積もりをとっていますよ。

―そういう業者さんにご自身で手配をするんですね。でも、なぜ管理会社に全てお任せしないんですか?

1棟目の途中までは、完全にお任せしていました。でも、明細をもらって、やっぱり経費が高くて。もちろん管理会社側も人件費などがかかっているので、それでも妥当な金額だったと思うんです。でも、当時はとにかく早く繰り上げ返済したかったので、経費率を下げるためにやり始めました。

―実際、どのくらい削減ができたんですか?

5%くらいじゃないでしょうか。だから、正直に言えば今はその5%分を払っても儲かります。150万円くらいということですから。その150万円を捨てて楽をするか、その150万円のために自分の労力をかけるか。そこは自分の考え方次第で、(管理会社に任せて)楽をしてもいいと思います。

―入居者トラブルなどの経験はありますか?

騒音トラブルはあって、入居者同士でケンカになってしまったことがあります。でも、本当に大変なのは数年に1、2回程度ですよ。

―騒音トラブルはどのように解決したんですか?

こういう時には大家が入るとこじれる可能性があるので、管理会社に間に入ってもらっています。管理会社にヒアリングをしてもらって、どちらが原因なのかを突き止めてもらいます。その報告を聞いて、どちらに退去してもらうか、どのように伝えるのか、という判断を下します。違約金なしでもいいから、原因となった方に退去してもらわないと、また繰り返される可能性もあります。この判断は、一番大変な作業かもしれません。

■「すぐお金持ちになりたいなら、不動産投資は楽しくない」

―不動産投資の楽しさは、どのようなところにあるんでしょうか?

資産が増えていくところですかね。ただ、結局いつまでたっても贅沢はできません。お金じゃなくて資産が増えていく。物件を買って資産を増やしていくので、ずっと節約生活です。

不動産投資を止めた時に贅沢ができるようになりますが、贅沢がしたい人、お金が使いたい人、すぐにお金持ちになりたい人には不動産投資は楽しくないと思います。

―不動産投資を止める時期は考えているんですか?

特には考えていません。物件を買うことが楽しくなくなった、お金を使う方が楽しくなったら止めるかもしれませんが、今のところは物件を増やしていくのが楽しいので。

―これまでたくさんの方の相談に乗ってきたと思いますが、投資家になりたい、と言う方へのアドバイスをお願いします。

私は不動産投資をしていて楽しいし、好きです。こういう話をいろんなところで聞いて、やりたくなる気持ちもわかります。ですが、危険もあるので、失敗しないように気を付けてほしいと思います。金額が大きいですから、失敗した時の痛手も大きい。結婚している人なら、一家が危うくなることすらあります。

「この物件どう思いますか」という相談のメールもいただくのですが、その物件についての自分なりのリスクをお話しても、もう返事がないことも多い。きっと、「良い物件だから自信を持って買ってください」と背中を押してほしいだけなんでしょう。でも、さまざまなリスクがあることは、きちんと認識してほしいです。

○プロフィール・埼玉サラリーマン大家

約18年前に1棟目を購入し、夢だった「大家さん」の道へ。融資を引いて1棟購入し、完済後に次の物件を購入するという「繰り上げ返済」を駆使して規模拡大し、現在は7棟65室のオーナー。年間家賃収入は約3000万円、税引き前CFは約2400万円。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:10月17日(木)20時00分

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株式会社ファーストロジック

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