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秋の日本株、個人投資家の「黄金時代」がやってくる

10月1日(火)8時00分配信 マネー現代

日本株が強い

写真:現代ビジネス
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(文 大川 智宏) 9月に入ってから、妙に日本株市場が強含んでいる。

 今までが弱すぎたことによる反動である可能性は高いが、それでも日本株市場にたずさわる投資家、特に夏場からの強い下落相場で塩漬け銘柄が大量発生していた個人投資家にとっては決して悪くない流れだろう。

 ただ、対米国株で見れば、日本株は直近で急激に戻しているものの、過去の強烈な負けっぷりを考えればこのくらいは戻ってもらわないと話にならない、といったレベルではある。

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図:日米相対株価(TOPIX÷S&P500)
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 この急反転は、いわゆるリターン・リバーサルと呼ばれるもので、今まで下がっていた資産が買われ、上がっていた資産が利益確定で売られることによって発生する現象だ。

 そして、これが世界規模で発生すると、今まで上昇し続けて世界の株式市場を牽引していた米国株が弱含み、その反面で日本株が相対的に強くなるという事態になる。

 じつはこの現象は日本株市場内でも同様で、あらゆる切り口で株価パフォーマンスの逆転現象が発生している。

 まずは、いくつか具体的な事例を紹介したい。

資金が流入

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 象徴的な例としては、昨今頻繁に話題に上がることの多い「NT倍率」の潮目の変化だろう。

 これは、日経平均株価をTOPIXで割ったもので、値が大きくなるほど日経平均株価が強く、下がるほどTOPIXが優位ということになる。意味合いとしては、日本を代表する225銘柄で構成される日経平均株価と、東証一部全体をカバーするTOPIXのどちらがパフォーマンス上で優位にあるかを見るテクニカル指標だ。

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図:NT倍率
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 NT倍率は、米中貿易摩擦懸念が顕在化した2018年以降、淡々とその格差を拡大してきた。一般に、日経平均株価は、前述のように日本の優良銘柄を集めたいわゆる「ブルーチップ指数」である。

 それが東証一部全体と比較してアウトパフォームを続けてきたのは、世界的に景気が不安定化する中で質の高い優良銘柄を個別物色の結果として資金が向けられていたことに他ならない。

 もちろん、NT倍率が反転下落に向かうのは今回だけではなく、2018年末にも同様の動きは見られたが、今回は日本株の反転上昇とセットになっている点が異なる。

 言い換えれば、日本株市場全体へと資金が流入していることの表れだろう。

 そして、これと絡んで見ておきたいのは、日本株のサイズ効果の変化である。

中小型株が大復活へ

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 ここで以下の図をご覧いただきたい。

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図:サイズ効果(小型株効果)
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 上図は、TOPIX Small(小型株指数)をTOPIX100(大型株指数)で割ったものだ。こちらは、値が大きくなれば小型株優位、小さくなれば大型株優位ということになる。

 こちらも、足元で急に小型株が優位になり始めている。

 小型株投資を主戦場とすることの多い個人投資家にとっては、待ちに待った地合と言えるだろう。ちなみに、TOPIX Mid400(中型株)で同様に効果を計測しても強い反転が見られるため、いわゆる「中小型株」が全般的に大型に対してアウトパフォームしていると考えられる。

 加えて、過去1ヵ月程度で発生しているリバーサルを、過去リターンの期間別に分けて効果を計測すると、大型、中小型などのサイズを問わず12ヵ月リターン・リバーサルが最もマグニチュードが強い。

 大型株はTOPIXの時価総額上位20%、中小型は同20%~40%を母集団としている。リバーサル効果の計測は4分位のロングショート(母集団内の過去リターン下位25%をロング、上位25%をショート)だ。

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図:過去リターン期間別 サイズ別 リバーサル効果の比較
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 これも、単純に事実のみを理解すれば、短期的に下がった銘柄よりも、むしろ1年近くにわたって長期的に放置され続けた銘柄に資金が集中しやすい傾向にあることを示している。

継続的な「買い」

 以上までの結果をまとめると、国単位のリバーサルとして対米国株に対する日本株のアウトパフォームが見られ、そして日本株市場内を見ても個別株物色ではなく市場全体に資金が入ってきていること、中小型株がアウトパフォームしていること、そして特に長期的に低迷してきたが今回の逆回転、リバーサル相場の特徴であるといえる。

 そして、これらは相互に独立したものではなく、根本では1つにつながりつつ反転を見せていると考えられる。

 まず、国単位で日本株が買われ、個別株というよりも市場全体に資金が入ってくるというのは、おそらくグローバル株式系のパッシブ(各国の株式指数の重みづけの違いによってパフォーマンスを得るスタイル)系の主体の動きの典型である。

 これに加えて、長期低迷している中小型株が強い、という点も見逃せない。

 仮に、TOPIX構成銘柄すべてを指数のウエイトに沿って購入した場合、個々の株価にどういった影響が起こりうるか。単純に、基準となる構成ウエイトに対して流動性が低い銘柄が、他の銘柄よりも強く上昇することになる。

 特に小型株は、一日を通してほとんど出来高が無いような銘柄も多い。それがさらに長期低迷していれば、日経平均株価で2万2000円を超える株高の現在では放置され続けていることと同義で、当然流動性へのインパクトも他の銘柄とは比較にならないほど大きいだろう。

 無論、米中貿易交渉の進展期待などで今まで長期的に売られてきた銘柄に買いが入ったという要因も大きいはずだが、それだけでは日米相対株価の急反転やサイズ効果といったマクロ感応度と関連性の薄い現象の説明がつかない。

 どちらかといえば、そういったマクロイベントは今回の反転のきっかけであって、継続的なパッシブ買いが今回のリバーサル相場の大枠にあるという前提を置けば、論理的に矛盾がなくすっきりと説明することができるようになる。

 各国の株式指数間でもリバーサルが起こっていることを考えれば、おそらくは海外投資家主体のパッシブの動きだろうと思われる。長くなるのでここでは詳しくは述べないが、事実として、ここ数年にわたって日米相対株価とサイズ効果は海外投資家の売買動向とそれぞれ類似したトレンドを描くことが分かっている。

狙い目の「銘柄」はこれだ

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 仮に、米中問題やマクロ経済の各種懸念事項がさらに改善へと進み、このトレンドが一定期間継続するならば、取りうる投資戦略はシンプルだ。単純に、中小型株で長期低迷していた銘柄を保有しておけばいい、ということになる。

 久々に訪れた中小型株優位の反転相場であるが、個人投資家にとっては、売られて安くなった中小型株をじっくり仕込む好機ではないだろうか。

 参考までに、過去12ヵ月リターンが低迷している中小型株の一例を以下に示した。TOPIX構成銘柄のうちでTOPIX100、および日経平均株価構成銘柄を除外し、かつ現実的な投資場面を想定して時価総額500億円未満の銘柄も除外した銘柄群から選定している。

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図:過去12ヵ月低リターン銘柄(除くTOPIX100、日経平均構成銘柄)の例
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大川 智宏

最終更新:10月1日(火)8時00分

マネー現代

 

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