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【株式新聞・総力配信】ノーベル賞迫る、関連株を先取り(2)―伝説のあの相場、文学賞は“風物詩”?

9月30日(月)15時02分配信 モーニングスター

現在値
新日科 846 +18
小野薬 2,443 +36
カイオムB 192 ---
島津製 3,170 -25
J-TEC 857 -10
 今回の有力候補とその関連銘柄を探る前に、過去にノーベル賞が相場に及ぼしてきた影響を振り返りたい。

<島津製のターニングポイント>

 02年に化学賞を受賞したのが、当時、島津製作所 <7701> に勤務するいちエンジニアだった田中耕一氏(現・同社フェロー)だ。メディアも株式市場も完全にノーマークだっただけに、サプライズ感はひときわ大きかった。

 その功績は、たんぱく質などの「生体高分子」を分析する画期的な手法の開発。レーザーを当てると分解してしまうたんぱく質は、それまで重さを測ることが困難だった。田中氏は、グリセリンとコバルトの混合物を混ぜることでレーザーを照射してもたんぱく質が分解しないことを発見。生体高分子の質量分析に道を開いた。

 その年300円を下回っていた島津製の株価は、田中氏の受賞が公表されると一気に475円まで上昇。その後は過熱感からいったん調整を挟むも、翌年早々には高値を奪回。そのまま長期の上昇トレンドに入り、リーマン・ショック前年の07年8月には1443円まで駆け上がった。

 田中氏の受賞は、バブル崩壊後の最安値水準に低迷していた島津製にとっての大きなターニングポイントとなった。同社の株価は18年に、上場来高値の3670円を付けている。

<バイオ株ブーム呼んだ山中教授iPS細胞>

 12年には京都大学の山中伸弥教授が、iPS細胞の研究で生理学・医学賞を受賞した。iPS細胞は、細胞の培養によって人工的に作り出す多能性の幹細胞。山中教授が06年に世界で初めて作製に成功した。

 前年には東日本大震災が発生した。また、長引くデフレで閉塞(へいそく)感に包まれていた日本にとって山中教授の受賞は久しぶりの明るいニュース。再生医療を日本の成長戦略の柱に位置付けたことでも大きな意義を持った。


 株式市場では早速バイオ株が人気化。この時急騰した銘柄は、いずれも1年以内に10倍以上に値上がりしたカイオム・バイオサイエンス <4583> やジャパン・ティッシュ・エンジニアリング <7774> 、新日本科学 <2395> などだ。多くの投資家が「国策に売りなし」(相場格言)のバイオ株相場に魅せられた。

<小野薬、オプジーボ相場のその後>

 一方、ノーベル賞の受賞が必ず買い材料になるというわけではない。その例が、18年の本庶佑京大教授による生理学・医学賞の受賞だ。

 本庶教授は、「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれ、がん細胞特有の免疫にブレーキをかける働きを阻止し、免疫細胞ががんを攻撃できるようにする画期的な治療法の立役者。この仕組みを基に開発されたのが、小野薬品工業 <4528> のがん免疫治療薬「オプジーボ」だ。

 しかし、小野薬のオプジーボ相場は、その開発過程や上市が注目された14-16年に一山越えていた。そして、高額な治療費は特例的な薬価引き下げを余儀なくされ、同社の利益もピークアウトする。

 こうした中で、ノーベル賞の威力は限られた。本庶教授の受賞翌日こそ一時5%程度値上がりした小野薬の株価だが、すぐに下降線をたどり7カ月後にはほぼ半値に。また、特許収入の配分をめぐる本庶教授と小野薬側の対立も泥沼化した。

<文学賞とハルキ関連>

 作家・村上春樹ファンによるノーベル文学賞祈願はもはや秋の風物詩と言える。株式市場の心境もそんな「ハルキスト」たちと同じ。毎年この時期の大手書店チェーンの文教堂グループホールディングス <9978> の高騰(とその後の急落)はすっかり見慣れた光景となった。

 参考までに文教堂HDの値動きを追うと、初めてその特性を見せたのが14年。同年は文学賞の発表がある10月に2.4倍化すると、翌15年は夏ごろから早くも上げ足を速め、8-10月でほぼ2倍に上昇。上げ幅自体は約400円と14年(260円)を大きく凌駕(りょうが)した。


 同社株は16、17年も10月へ向けて年半ばから急伸した。そして18年は、選考団体の不祥事で受賞者発表が見送られたことで一貫して下落。18年分と合わせて2人の受賞者が出る今年、9月の上昇率は高値時点で約6割と上々。果たして満願は成就するのか。

*【株式新聞・総力配信】ノーベル賞迫る、関連株を先取り(3)に続く

提供:モーニングスター社

最終更新:9月30日(月)15時02分

モーニングスター

 

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