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「山手線1周」の切符はどうやって買えばいい?

9月23日(月)6時00分配信 東洋経済オンライン

山手線の新型車両E235系(撮影:風間仁一朗)
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山手線の新型車両E235系(撮影:風間仁一朗)
 東京の都心部をぐるりと回る山手線。1周約34.5km、ずっと乗っていれば出発地と同じ駅に戻ってくる。例えば東京駅から乗って東京駅で降りる、という形で1周乗ってみたいと思ったことのある人もいるのではないだろうか。

 だが、その場合に切符をどうするか。隣の駅でいったん降りて切符を買い直せば問題はないが、それでは「1周乗り通した」ことにはならない。

 では、山手線を1周する場合はどのように切符を買ったらいいのだろうか? 
■往復切符で乗れる? 

 一般的には、山手線1周という場合、乗る駅と隣駅との往復乗車券を買うように案内されるケースが多いという。

 なぜ、隣駅との往復乗車券で1周できるのか。

 乗車券を買う際には、一般的には乗るルートそのままを買わなくてはならない。しかし東京・仙台・新潟・大阪・福岡の「大都市近郊区間」内の場合、同じ駅を2回通らなければ、実際にはどんなルートを通っても運賃は最も安い経路で計算される。遠回りしても問題ないわけだ。
 つまり、新宿―代々木間の往復乗車券を買った場合、新宿から代々木までの「往路」は山手線外回りでぐるっと遠回りして向かい、代々木から新宿までの1駅が「復路」という考え方になる。これでルール上問題なく1周できるのだ。

 もちろん、交通系ICカードではそういった乗車はできない。そうなると、紙の切符を買わなければならないことになる。

 筆者は新宿から代々木までの往復切符を買って山手線を1周してみることにした。だが、券売機で切符を買おうとしても、表示は「金額」だけで「行先」は表示されていない。そして、往復切符も買うことができない。券売機をどういじっても、「代々木までの往復」を買うことはできないのだ。黒い色の多機能券売機でも同じことだ。
 普通の券売機では、駅名を指定した往復切符は買えないのではないか。そこで思い出したのが指定席券売機だ。特急に乗るための切符を買ったり、「えきねっと」などの予約サービスの受け取りをしたりするのに使う券売機だが、乗車券だけを買うこともできる。しかも、往復乗車券も購入可能だ。

 指定席券売機では、発駅は簡単に表示されるものの、着駅を50音順で検索しなければならない。「代々木」の「よよ」を入力して駅名を探し、乗車券の種類は「往復」を選択。支払いを済ませる。この券売機はクレジットカードの使用も可能で、領収書ももらうことができる。
■新宿から新宿へ

 これで山手線1周乗車が可能になった。最近は数が減ってきた、紙の切符を通すことが可能な自動改札機を通って駅構内に入る。選んだのは外回りだ。

 新宿駅15番ホームには新型のE235系がやってきた。13時40分発、山手線外回り。2号車に乗り、なんとか座ることができた。新宿を出ると湘南新宿ラインや西武新宿線の特急に追い抜かれる。高田馬場、池袋と乗降の多い駅では、どんどん乗客が入れ替わる。

 新宿からはおよそ北向き、池袋から東向きに進んできた山手線は、田端から南向きへと変わる。隣に京浜東北線が合流し、14時04分に上野着。日中は京浜東北線が快速運転のためそちらに乗る人が多く、山手線は空席が目立つ。
 東京駅で多少乗客が入れ替わり、14時25分ころ、将来の高輪ゲートウェイ駅となるであろう場所を通過する。工事の進捗状況が車窓からもよく見える。品川を出ると、進行方向は一気に北向きに変わる。車内は少しずつ混み合ってきた。

 新宿からずっと同じ席に座り続けていると、だんだん腰が痛くなってくる。途中での運転間隔調整などの影響で、渋谷を出た段階では5分遅れだった。

 14時45分ころに代々木到着。ここまでが「往路」で、ここから新宿までが「復路」だ。とはいうものの1駅であり、14時47分に新宿に着いた。
 改札を出る際に無効印を押してもらおうと駅係員に往復乗車券を提示したところ、最初は首をかしげたものの、事情を簡単に説明するとすぐに理解してもらい、穴を開けられ無効印が押された。これで「新宿発新宿行き」の山手線1周は終わった。

■大江戸線はどうすればいい? 

 東京にはもう1つ、路線図の上で円を描く路線がある。都営地下鉄大江戸線だ。だが、大江戸線は都庁前を起点にぐるりと回って1周し、そこから光が丘まで延びる「環状線プラスアルファ」の「6の字型」の路線である。このような路線の場合、出発地と目的地は異なるものの、同じ駅を2回通ることになるため通しの切符を買うことはできない。
 都営交通お客様センターに聞いてみると「『都営まるごときっぷ』などを買ってください」と言われた。これは都営地下鉄や都バスなど都営交通各線の1日乗車券だ。

 そこで一計を案じた。都営地下鉄の運賃は、乗車経路にかかわらず最短距離で計算することになっているので、都庁前から新宿への切符でぐるっと回っても問題ない。

 筆者は新宿からいったん都庁前まで行き、そこから大江戸線を1周する。最初に新宿で「新宿→光が丘」の切符を買っておき、都庁前で「都庁前→新宿」の切符を買えばぐるっと回れるのではないか、と考えた。念のため東京都交通局に確認すると、この方法で乗るのは問題ないという。
 ちなみに「東京都地下高速電車旅客営業規程」には、旅客運賃を計算する場合に「計算経路が環状線一周となるとき又は一部若しくは全部を重ねて乗車する(以下『復乗』という。)ときは、環状線一周となる駅又は復乗が開始される駅においてキロ程を打ち切つてそれぞれ別に計算する」とある。

 新宿駅で、まず都庁前まで行くための180円の切符と、新宿―光が丘間の270円の切符を購入した。都庁前で改札を出て、今度は新宿まで180円の切符を買う。これで大江戸線全線を乗り通すことができる、と思うと少しばかり感情が高ぶった。ただひたすら地下を走る大江戸線に乗り通すという機会はなかなかない。
 都庁前14時48分発の飯田橋・両国方面光が丘行きに乗車。しばらくの間は各駅で乗り降りが続くが、蔵前を出ると車内は空いてきた。門前仲町あたりから再び乗客が増え始め、六本木では大勢が乗り込み、車内は蒸し暑くなった。

 都庁前を出発して59分後の15時47分に新宿着。ここで1枚目の乗車券の区間は終わりだ。下車はしないが、ここからは2枚目の乗車券の区間になる。15時50分に都庁前着。これにて環状区間1周だ。
 乗車はまだ続く。都庁前を出てもしばらく車内は混み合っていたが、新江古田で大半の乗客が座れるようになり、練馬春日町からはガラガラになった。16時12分、ついに光が丘着。改札で2枚の乗車券に無効印を押してもらった。見ただけで事情がわかるためか、山手線の際と違いとくに何も聞かれなかった。

■やっぱり1日乗車券は便利

 光が丘から新宿へ戻ろうと改札を通り、運賃の計算をしてみると、この日に乗った都営大江戸線の運賃だけで900円(正確には、光が丘から新宿までの帰りは交通系ICカードを使ったので897円)かかった。都営交通お客様センターが案内した「都営まるごときっぷ」は700円だ。もし「都営まるごときっぷ」を買っていれば、全線乗り通しとその前後の移動で余計にお金を払わなくてもよかったことになる。
 環状線を1周乗り通すには、山手線の例で紹介したように往復切符を買えばいい。ただ、購入は少し手間取る。都営大江戸線のような環状線プラスアルファの路線ではもっと手間がかかる。実際には「都営まるごときっぷ」のような1日乗車券を買ったほうが安くて便利ではある。

 基本的には出発地と同じ駅に戻ってくることになる環状線1周。実用的には乗り通す機会はほとんどないであろうが、どのように切符を買うかを含め、やってみても面白いだろう。
小林 拓矢 :フリーライター

最終更新:9月23日(月)8時13分

東洋経済オンライン

 

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