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バズる文章を書く人と書けない人の致命的差

9月23日(月)16時00分配信 東洋経済オンライン

プライベートで文章を書くとき、ついビジネス調になっていませんか? 「いいね!」と思われる書き方のコツを紹介(写真:nonpii/PIXTA)  
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プライベートで文章を書くとき、ついビジネス調になっていませんか? 「いいね!」と思われる書き方のコツを紹介(写真:nonpii/PIXTA)  
SNSが普及し、誰でも手軽に文章を発信できるようになりました。しかし、爆発的に読まれていく「バズる」ような文章を書くのは難しいものです。自身のブログがバズったことをきっかけとして本を出版した話題の京大生ライター・三宅香帆さんは、新刊『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』で、人から“モテまくる文章”を書くにはどうすればいいかをまとめています。

そんな三宅さんに、今回はたくさんの人から「この人いいね!」と思われるためのプライベート文章の書き方を教えてもらいました。
(執筆・構成:國天俊治)
 私がネットを見ていて感じるのは、ビジネスマンの方々が書く文章の多くは“仕事調”になっているということです。おそらく、仕事もプライベートも同じ感覚で、文章を書いているのではないでしょうか。

 プライベートの文章をバズらせたいなら、まず、仕事の文章を持ち込まないようにすることをお勧めします。なぜなら、仕事で使う文章とプライベートの文章では、読み手へのアプローチが真逆だからです。
 仕事においては、「いかに時間を効率的に使うか」が重視されます。文章も結論を簡潔に表し、できるだけ相手に時間をとらせずに言いたいことを伝えなければいけません。また、結論の裏付けとなるエビデンスなどを併記し、相手に納得してもらう必要があります。

 一方、プライベートの文章は、「どうやって相手に読む時間をとってもらうか」を考えなければいけません。時には発言の裏付けも求められるでしょうが、それよりも最後まで読んでもらうために、相手を楽しませる、興味関心を刺激し続ける、ということを大切にする必要があります。
 これまで人気の作家さん、アイドル、インフルエンサーの文章に至るまで、バズる文章の法則を研究してきました。その詳細は拙著にまとめてありますが、ここでバズる文章を書くために重要な3つのルールをお伝えしましょう。

■バズる文書「3つのルール」

 ルール1:「どや顔」の文章を書かない

 SNSで多くの人がやってしまいがちなのが、いわゆる「どや顔」の文章を書くことです。仕事では、あえて自分を強く大きく見せて、相手の信頼を得るようなシーンもあるでしょう。しかしその感覚をプライベートに持ち込むと、文章も「私ってすごいでしょう」というアピールが前面に出た「どや顔」になります。
 ネットのヘビーユーザーである人ほど、自分をよく見せようとしている気配を敏感に察知します。そして、“どや顔”的な文章を特に嫌う傾向があります。

 ネットでは、あえて自分の弱み、失敗をさらけだすようなエピソードがよく読まれる傾向があります。ビジネスでの失敗談は弱さと取られかねませんが、プライベートでの失敗談は、愛すべきこととして受け取られ、好感を得やすいです。

 そうして自分の弱みを魅力的に表現し、共感を得るのが得意な作家の1人が、星野源さんです。例えば著書『そして生活はつづく』でつづられている私生活のワンシーンとして「どういうわけか洗面台がビシャビシャになる」という文章があります。
 しかしその理由は、明らかにされません。なぜなら、本人にもわからないからです。そこに描かれているのは、俳優と歌手をこなすスターとしての星野源さんではなく、ちょっとだらしのない、どこか抜けた1人の男性の私生活であり、くすっと笑いながら読むことができます。

■ナンシー関を真似するのは難しい

 ルール2:人を批判する文章は避ける

 誰しも、よくないと思うことや面白くない物事に対して何か意見を発信したくなることはあるでしょう。しかし実は、文章力や表現力が最も問われるのが、いわゆる「毒舌」です。
 個人を否定したり、傷つけたりする文章は、人が離れるもととなります。それをせずに、自分の中にある違和感をうまく表現して共感を得るのはとても難しいもの。もちろんそれをやってのける物書きの方々もいます。

 例えばナンシー関さんの毒舌的文章は、ありきたりの批判とは格が違います。武田鉄矢と題されたコラムでは、「武田鉄矢が人気者であると思うたび、私は日本という国が嫌になる。武田鉄矢を受け入れるというのが日本人の国民性だとするなら、私は日本人をやめたくなる」という一節があります。
 この文章をよく見れば、「武田鉄矢が嫌いだ」とは言っていません。「武田鉄矢を受け入れる国民性が嫌いだ」と主張しているだけです。また、このコラム全体を見ると、武田鉄矢さんというアイコンを通し、実際は日本人の国民性や感情について批判する文章になっています。だからこの文章は、ただの悪口として終わらず、人の目を引く毒舌として成立しているのです。

 毒舌というのは、「どこまで踏み込んで言うか」の塩梅が本当に難しいもの。そして失敗すればただの悪口になってしまいますから、文章に自信がないなら、書かないほうがいいでしょう。
 ルール3:大多数に「ウケよう」としない

 仕事の感覚だと、ブランディングやマーケティングの視点から「いかに多くの人の関心を引くか」に意識がいきがちです。しかし、ネットに関心の高い層は目が肥えていて、作為的なものはすぐ見破られ、拒否されてしまいます。いきなり「大多数にウケる文章を書こう」とは思わないほうがいいようです。

 逆説的になりますが、「1人の読者に届けよう」という発想で書いた文章のほうが、結果的にバズりやすいと感じます。文章とは本来、「自分1人」と「誰か1人」をつなぐもの。不特定多数の顔のない集団に向けて書くよりも、届けたい誰かをできるだけ具体的に思い描きながら書くと、言いたいことや表現したい内容が明確になりやすいです。
■友人の顔を思い浮かべて書く

 ブロガーのはあちゅうさんが、「自分のブログは、最近会っていない友人に対し、近況報告のつもりで書いている」とおっしゃっていたのを聞いたことがありますが、ブログを書くときはこのような距離感が最適なのではないかと思います。

 友人でも、妹でも、実家の犬でもいいですから、「おそらく自分のことを好きでいてくれるであろう相手」を思い浮かべ、そこに向けて文章を書くのがお勧めです。

 ビジネスで使う文章で自分の個性や趣味趣向を表現するのは難しいですが、プライベートなら遠慮なく、自分が好きなものや関心のある物事について発信できます。
 そうして発信を続けていくと、同じ感性を持った仲間ができたり、仕事以外の部分で人から評価されたりして、人生がより豊かになっていきます。どうか楽しみながら、文章を書き続けていってほしいと思います。

 (執筆・構成:國天俊治)
三宅 香帆 :文筆家

最終更新:9月23日(月)16時00分

東洋経済オンライン

 

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