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メルペイが「巣鴨地蔵通り」を占拠した真意

9月16日(月)5時00分配信 東洋経済オンライン

巣鴨地蔵通り商店街ではメルペイのロゴや「メルペイ通り」と書かれた旗が見られる(記者撮影)
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巣鴨地蔵通り商店街ではメルペイのロゴや「メルペイ通り」と書かれた旗が見られる(記者撮影)
 「おばあちゃんの原宿」こと、東京・巣鴨。そのメインストリートである巣鴨地蔵通り商店街が今、スマートフォン決済の「メルペイ」とタッグを組んだキャンペーンを展開している。シニアが行き交う通りに若者の定番フリーマーケットアプリ「メルカリ」のロゴが入ったフラッグがはためくのは、一見不思議な光景にも映る。

 同社はこれまでも「竹下メルペイ通り」(原宿の竹下通り商店街)、「高円寺メルペイ通り」(高円寺商店街)と、2度にわたり商店街をメルペイで占拠する企画を行ってきた。いずれもメルカリのメイン顧客である若年層へメルペイを訴求するのが目的だった。だが今回は初めて、巣鴨のキャンペーンで明確にシニア層をターゲットに定めた。
■シニア層や初心者向けの講座を開催

 今回のキャンペーン「巣鴨メルペイ通り」では、9月26日までの期間中、商店街内の対象8店舗でメルペイを使った利用者に、対象商品を200円値引く特典を付与する。また、友達紹介で1000ポイントを付与する、店頭でメルペイの導入サポートや使い方の説明を行う「すすメルすぽっと」を設置するなども同時に行われている(一部はすでに終了)。

 キャンペーン初日の9月12日には、商店街にある店舗の一角でメルペイ社が主催するメルカリ・メルペイ講座が行われた。60代以上のメルカリの利用者や、巣鴨近辺のメルカリを使っていない住民を対象に募集を行い、7人が参加。参加者からは講座の冒頭、「息子がメルカリを使いこなしているが、自分はさっぱり」「メルカリは使っているが、出品情報の入力に時間がかかりすぎて困っている」など、さまざまな悩みが聞かれた。
 講座はまずメルカリの特徴や出品・配送方法の説明に始まり、その後メルペイ編へと移行。講義の途中には体験コーナーも複数回あり、メルペイ社員がサポートしながらQRコード決済を行ってみる場面もあった。

 「以前シニア向けの講座を行った際、実際に触って動かしてみないと覚えられないという声がたくさんあり、その点を意識した」(メルペイ広報)

 メルカリの取扱高は年間4900億円(2019年6月期)と、前年度に比べ4割増えた。月間利用者数も1350万人を超えたが(2019年4~6月の平均、前年比2.6割増)、とりわけ50代以上の利用者は6割増と、顕著な伸びを示している。今回のキャンペーンも、こうした実績を踏まえてのものといえる。
■生前整理をきっかけにハマるシニア層

 メルカリが定期的に行っている利用者同士の交流イベント「メルカリサロン」では、昨年末から60歳以上限定の会を開催している。約20人という定員に対し、第1回の東京では180人、第2回の大阪では300人を超える応募があった。両サロンとも、参加者のほとんどが100件以上の取引経験を持つツワモノだ。

 どのようなものを売っているのか。趣味で手作りしている小物といったケースもあるものの、圧倒的に多いのは生前整理を入り口にハマるケースだ。
 「ブランド品や大事に使ってきたモノでも、リサイクルショップに持っていくと、まとめて数百円とかにしかならない。メルカリなら欲しいと思ってくれる人に自分の納得した価格で譲れる」(メルカリサロン参加者の60代女性)。長年愛用してきたモノを処分する生前整理においてはとくに、こうした感覚を持つシニアも多いだろう。

 スマホに慣れ親しむシニアが増えているとはいえ、メルカリを使いこなす層はまだ少数派。同社は今年、ヘビーユーザー向けのサロンとは別に、終活関連の展示会などで初心者向けのセミナーを積極的に行っていく計画だ。冒頭の講座もまさにその取り組みの1つである。
 メルカリでモノを売って得た売上金は、メルカリ内で買い物するのに使えるだけでなく、スマホ決済のメルペイを通じコンビニや飲食店でも利用できる。

 メルカリ社にとっては、メルカリユーザーを増やすことはそのまま、メルペイユーザー予備軍を増やすことにもなる。国内では足元で最も注力するメルペイ事業を伸ばすうえでも、全世代でメルカリの新規ユーザーを開拓していく意味は大きい。

■ペイペイは店頭活用によるサポートを強化
 他方、スマホ決済にはフリマとは違ったハードルもある。消費増税に合わせ国主導で始まるキャッシュレス決済へのポイント還元事業は、”現金派”だった消費者をスマホ決済へ引き込む呼び水にはなっている。

 だが、「すでにコンビニやスーパーが発行している電子マネーを使っており、新しい手段を増やすのは面倒」(巣鴨の講座に参加した70代女性)という意見も聞かれる。売上金をそのまま使えるというメルカリならではの強みに関しても、「『どこまでお金を貯められるかな?』というのが自身の楽しみなので、日常の買い物にこまごまと使うのには抵抗がある」(同じ70代女性)。
 スマホ決済のライバルに目を転じれば、ソフトバンク・ヤフー連合の「ペイペイ」も、全国ソフトバンクショップの店頭を活用した利用者サポートを強化。メールや電話だけの対応では不安を感じやすいシニア層にも広く訴求することを目指す。

 スマホ決済がある程度浸透し、各社のターゲットは確実に広がっている。シニアの開拓は決して容易ではないだろうが、国内の人口比率を鑑みても、各社が避けて通れない道といえるだろう。
長瀧 菜摘 :東洋経済 記者

最終更新:9月16日(月)5時00分

東洋経済オンライン

 

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