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新旧が共存するホテルオークラの不易流行-新ブランドできょう開業

9月12日(木)14時01分配信 Bloomberg

Okura Tokyo hotel Prestige Tower lobby. Photographer: Akio Kon/Bloomberg
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Okura Tokyo hotel Prestige Tower lobby. Photographer: Akio Kon/Bloomberg
(ブルームバーグ): 老朽化のため開業から53年の歴史に幕を閉じて2015年に建て替え工事が始まったホテルオークラ東京本館。約1100億円を投じて跡地に完成した「オークラ東京」が12日に開業した。ジャパニーズ・モダンの傑作として取り壊しの反対運動まで起きたオークラが進めたのは、新しい建物の中に旧本館ロビーを再現するという不易流行の取り組みだった。
総支配人の梅原真次氏はブルームバーグのインタビューで、「一番のこだわりはロビーをどう再現するかだった」と話した。15年8月末にホテルの営業を終えてから解体を開始するまでの1カ月間にロビーの採寸や凝らされた意匠の工法、注ぎ込む光の量やロビー内の音の響き方などを調査し、すべて再現した。
ロビーの雰囲気を構成する重要な要素となっているつり下げ式照明「オークラ・ランターン」も、デザインはそのままに電球を白熱球からLEDライトに変更した。電球が変わっても光の風合いや雰囲気が変わらないよう試行錯誤したという。
建築家には旧本館ロビーの設計を担当した谷口吉郎氏の長男、谷口吉生氏を起用。同氏はニューヨーク近代美術館や銀座の大型複合施設「GINZA SIX(銀座シックス)」を設計したことでも知られている。
梅原氏は学生時代に、ジョン・レノンも通ったバー「ハイランダー」でアルバイトを経験。その後、ベルボーイとしてオークラでのホテルマン・キャリアをスタートさせた。建て替え計画では、ロビーを再現しつつ50年超の間に厳格化された法令をどうクリアするかが「非常に難しかった」と振り返った。
米国大使館に隣接するオークラには、建て替え中に就任したトランプ大統領を除く旧本館開業後に就任したすべての米国大統領が宿泊した。英国の故サッチャー元首相や米アップルの共同創業者兼前最高経営責任者の故スティーブ・ジョブス氏なども利用した。各界の著名人に愛されたオークラの建て替えを巡っては国内外で反対運動が起きた。
当時イタリアのファッションブランド、ボッテガ・ヴェネタのクリエーティブディレクターだったトーマス・マイヤー氏や英ライフスタイル誌「モノクル」編集長のタイラー・ブリュレ氏などが中心となり保存活動が繰り広げられた。
ブリュレ氏はブルームバーグの取材に対し「われわれの取り組みが一定の成果を生んだと受け止めている」と評価。往時のオークラのロビーに足を踏み入れることは、「光の質感、少しかび臭いような湿った空気、たばこの匂い」などさまざまなもの影響し「昔の時代に連れ戻されるような不思議な感覚だった」と語った。
旧本館は1964年開催の東京オリンピックを目前にした62年に開業。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が節目となり建て替えを進めた。支配人の梅原氏は、新たに完成した部分全体を国際オリンピック委員会(IOC)に提供していることから、五輪開催期間中はIOC関係者が宿泊することになると話した。
2ブランドのホテル
新たに完成したオークラ東京は、41階建ての「プレステージタワー」と17階建ての「ヘリテージウイング」で構成され、それぞれ異なるレセプションを持つ別ブランドのホテルとして営業する。プレステージタワーの8-25階部分はオフィスフロアとなる。
ヘリテージは今回新たに創設されたオークラの最上位ブランドで、30年までに東京を含め5カ所程度の開業を目指している。具体的な候補地は未定だが、ニューヨークやロンドン、パリのような大都市を想定しているという。
梅原氏によるとヘリテージの内装は和のイメージを意識。廊下や客室の床材に無垢(むく)のオーク、バスルームに御影石を多用し、白木と黒のコントラストが特徴となる。照明のスイッチやコンセントにも特注の黒い製品を使い、その雰囲気を壊さないようドライヤーやポットも既存のラインナップにない黒色の製品を依頼したという。
都心のホテルには珍しく客室にバルコニーが設置されたヘリテージは、最も小さい53平方メートルの部屋の室料が10万円。プレステージでは同7万円(47平方メートル)からとなっている。プレステージには730平方メートルの「インペリアルスイート」も設けた。道を隔てた隣接地に建つホテルオークラ東京別館は従来ブランドのまま営業を続ける。
カナダの商業用不動産サービス会社コリアーズ・インターナショナル・グループの熊谷真理リサーチ部長は、オークラは現在複数の再開発計画が進む虎ノ門エリアで象徴的な存在だと指摘。「ホテルは景気変動の影響を受けやすいため、この規模の事業で全てをホテルの客室として計画するのは現実的ではない」と話した。
オークラ単独でオフィス部分にトップクラスのテナントを集めるのは難しいものの、オフィス賃貸事業で一定の収益は見込めることから、建て替えは理にかなったものとの見方を示した。
熊谷氏は、東京五輪開催前に近隣に日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ」駅が開業するほか、森ビルのプロジェクトを始め虎ノ門地区全域で再開発が複数計画されていることなどが奏功し、同地域の賃料相場は今後上昇する可能性があるとみている。
(c)2019 Bloomberg L.P.
Yuji Okada, Reed Stevenson

最終更新:9月12日(木)14時01分

Bloomberg

 

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