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日本株のスイートスポット近づく? 半導体市況を先読み

8月28日(水)16時30分配信 THE PAGE

[グラフ1]PMI・世界半導体売上高
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[グラフ1]PMI・世界半導体売上高
 米中貿易戦争が世界経済の不透明感を増幅する中、幾つかの経済指標は日本株のスイートスポット(上昇期)が近づきつつあることを示唆しています。筆者が注目するのは現在の世界経済を下押ししている(広義の)半導体セクターです。世界の企業景況感(PMI)と世界半導体売上高は密接に連動していますから、この元凶である半導体市況が改善すれば、景気見通しは明るくなると考えることができます。(第一生命経済研究所主任エコノミスト・藤代宏一)

2年おきに増減、次の反転期は今年末

 半導体市況を先読みするには、出荷と在庫のバランスに注目することが重要です。半導体は新製品のサイクルが早く、需要の変動も大きいことから、メーカーは適切な在庫管理に苦労する傾向があります。IT技術の発展によって企業はリアルタイムで在庫管理ができるようになったと言われて久しいものの、売上を予想するのは相変わらず難しいいようです。

 そのため、在庫は概ね2年おきに増加・減少(往復4年)を繰り返しています。ひとたび過剰在庫が発生してしまえば、当然のことながら生産を抑制する必要性が生じるため、そのこと自体が景気を減速させます。これを「シリコンサイクル」といい、現在は2017年末をピークとする下降局面に位置していると考えられます。過去の経験則にもとづけば、下降開始から2年が経過する2019年末頃にこのサイクルが反転することになるのですが、今回もそうしたサイクルを描くのでしょうか。

最悪期を脱しつつある2つの指標

 それを見定めるにあたっては、在庫調整の完了時期を予測することが重要となります。そこで(世界の半導体市況を映し出す)日本の鉱工業生産統計で「電子部品・デバイス工業」の出荷と在庫をみると、好転の兆候が確認できます。出荷と在庫の前年比伸び率の差をとった出荷・在庫バランスは2018年末頃に底打ちし、現在も改善を続けています。在庫は2018年後半に40%近く増加した後、直近6月の値は▲9.6%と遂に減少に転じました。依然として出荷が伸び悩んでいるため、生産が増加に転じるまでには時間がかかりそうですが、過剰な在庫がはけつつあることは確かです。

 またこうした半導体市況の好転を先取りするように半導体製造装置の輸出(特に米国向け)が底打ちしつつあることも好材料です。直近7月の数値は前年比10%超の減少でしたが、それまでの数ヶ月より下落ペースは和らいでいます。これら2つの指標は、目下の世界経済減速を主導している半導体不況が最悪期を脱しつつあることを物語っているようです。

2016年は急落後に底打ち、反転上昇

[グラフ2]OECD景気先行指数
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[グラフ2]OECD景気先行指数
 また、半導体需要に着目する観点からOECD景気先行指数(OECD=経済協力開発機構)に目を向けると、こちらも最悪期脱出の兆候が確認できます。世界経済の先行指標として名高いこの指標は2018年入り後から足もとに至るまで一貫して低下を続け、現在の景気減速を象徴する存在となっていますが、グラフをよくみると、その低下ペースが緩くなっていることに気づきます。
[グラフ3]OECD景気先行指数の循環図
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[グラフ3]OECD景気先行指数の循環図
 そこでもう少し可視的に分かるよう、縦軸に長期平均からのかい離、横軸に6か月前比とった循環図を作図すると、その傾向がはっきりと浮かび上がります。グラフ上の線は反時計周りに動き、現在は右方向へとシフトしています。これは低下のモメンタムが弱くなっていることを意味していますから、これが右側の領域に到達する頃には、指数そのものが反転している可能性が高いといえます。
[グラフ4]日経平均の推移
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[グラフ4]日経平均の推移
 現在、(1)グローバル製造業PMI、(2)世界半導体売上高、(3)OECD景気先行指数の3つはいずれも下向きのカーブを描いていますが、一方でこれに先立つ形で幾つかのデータは好転の兆候が確認されています。冒頭で筆者が日本株のスイートスポットが近いと言及したのは、前回(1)~(3)の指標が反転上昇した2016年半ば頃の展開が再現される可能性が高いと考えているからです。日本株は2016年前半に急落した後、16年半ばに底打ち、16年後半から上昇しました。
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※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

最終更新:8月28日(水)16時30分

THE PAGE

 

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