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「バイトテロ」予防にも効果的な“4つの声かけ”

8月26日(月)8時00分配信 東洋経済オンライン

”バイトテロ”や外国人スタッフの増加。多くの現場が抱える悩みを軽減するコツとは?(写真:mits / PIXTA)
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”バイトテロ”や外国人スタッフの増加。多くの現場が抱える悩みを軽減するコツとは?(写真:mits / PIXTA)
増え続ける外国人スタッフ。現場では、「どう教えたらいいのかわからない」「コミュニケーションがうまく取れない」と戸惑っている人も多いのではないでしょうか。
ポイントは、「業務の教え方」だけでなく「接触回数」にあるというのは『行動科学を使ってできる人が育つ!  教える技術 外国人と働く編』の著者で行動科学マネジメントの第一人者である石田淳氏。日本人スタッフによる「バイトテロ」にも有効だという“4つの声掛け”を教えてもらいました。
■「バイトテロ」の背景にコミュニケーションの問題

 外国人労働者の受け入れ拡大についての政策が話題となっていますが、人手不足の日本で働く外国人労働者の数は、さらに増え続けることは確実です。

 現場で、外国人スタッフに“教える立場”となる人は、少なからず戸惑いを感じるかもしれません。そもそも、日本人であっても新人を一から育てるのは簡単なことではありませんから、日本語が堪能ではない外国人スタッフに仕事を教えるのはことさら難しいことでしょう。
 ですが、うまくいくカギは、業務の教え方ももちろんですが、「接触回数」にあると私は考えています。

 これは、基本中の基本であり、外国人スタッフ・日本人スタッフに共通する非常に大切なポイントです。

 例えば、「バイトテロ」の問題。

 ここ数年、飲食店やコンビニのバイト従業員が、店内やバックヤードで悪ふざけをした写真や動画を自らのSNSに投稿し、それが爆発的な勢いで拡散される事態が頻発しています。今年はじめに続出した、悪ふざけの動画が社会問題にまで発展した事例は記憶に新しいところです。
 こうした事態を受け、各企業の経営者や管理部門の人たちは「うちでも、こんなことが起きたら大変だ!」と戦々恐々としています。

 この「バイトテロ」こそ、“店長とバイト従業員の間のコミュニケーションの欠如”が如実に表れた事例だと感じます。“バイト従業員を1人の人間として認めず、ただの労働力として扱うことの危険性”がここに集約されているように思われてなりません。

 店長や上司が日常的にスタッフと“接触”し、要所要所で仕事ぶりをきちんと認めていたら、たとえ店長が不在の時間であっても、あのような行為をすることはかなり減らせるのではないでしょうか。
■シンプルな声掛けからスタート

 では、“従業員との接触”はどのようにすればいいのでしょうか。といっても、とくに難しいことは必要ありません。まずは、

 「今日の仕事はどうだった?」

 「キミのあいさつは明るくていいね」

 「今日も1日ご苦労さま!」

 といったシンプルな声掛けをすることからスタートしましょう。

 以前、話を聞いたあるコンビニエンスストアの店長さんは、どのスタッフにも必ず1日に1回、声を掛けることを実践されていました。
 「基本的には、休憩中の従業員のところへ行って『お疲れさま。仕事で何か困っていることはない?』と聞くだけ。何もないようなら『じゃ、休憩明けもがんばってね!』と声を掛けてすぐに控え室を出ます。習慣にしてしまえば、何ということはありません」

 また、別の店長さんは、まだ店に不慣れな外国人従業員や、店を辞めそうな気配のあるバイト従業員への、電話でのフォローが見事でした。

 「直接声を掛けるのがいちばんいいのでしょうが、シフトの関係で会えない日がありますよね。そういうときは、その従業員が帰り支度をする時間を見計らって店に電話を掛け、『お疲れさま。今日はどうだった?』と聞くようにしています」
 ちなみにこのお店では、大学や日本語学校の卒業を機に店を辞める学生は、日本人も留学生も、後継者として後輩の学生や留学生を紹介してくれるのだそうです。

 後輩にバイト先を紹介するのは、その店で働くことに満足していた証拠ですね。店長が意識的に声掛けをすることで信頼関係を築くことができる、という好例だと思います。

 上司と部下が接触する回数や時間を増やすと、2つの大きな効果があります。

 まず、部下や後輩から上司や先輩、マネジャーへの報告が増えるということ。そして、それと同時に仕事を教える機会も増える。そうすると、望ましい行動が増え、上司が部下の行動をほめたり認めたりする場面も増加します。
 今の若い人たちは、怒られて動く世代ではありません。誉められて動く世代です。

 ですから、「望ましい行動」を上司に誉めてもらえたら、さらにその行動を繰り返すようになり、自ずとどんどん仕事を覚え、成果も上がるようになります。

 もう1つの効果は、お互いの関係がよくなっていくこと。

 これは職場だけでなく、人間関係全般に対して言えるでしょう。人間は会話を交わす機会が増えれば増えるほど、相手に話がしやすくなります。
 そうなると今度は上司に相談し始めます。「この場合、どうしたらいいですか?」と。

 「部下の業績が上がったこと以上に、相談してくれるようになったことがうれしかった」。接触回数を増やすことを実践した何人かのマネジャーから、こんな感想をいただきました。

 接触の機会を増やしたいからといって、何も、無理やり飲みに連れていく必要はありません。

 ちょっとした工夫をすれば、日々の業務時間の中だけで、着実に接触時間を増やせ、しかもそれを成果へとつなげることができるでしょう。
■4種類の声掛けから始めるコミュニケーションの強化

 接触する機会を増やすと、よい効果が現れることはご理解いただけたと思います。ここではその具体的な接触の方法をお伝えしましょう。

 「どうやって接触したらいいかわからない」という方のために、‟声掛けの見本メニュー“をつくりました。まずはこのような「4種類の声掛け」を毎日続けることから始めましょう。

 これは日本人スタッフも同じです。

 掛ける言葉は、このようにごく簡単なものでオーケー。
1「〇〇さん、おはよう」
2「今日は何する予定?」
3「今日はどうだった?」
4「明日はどうする?」
(状況に合わせて2番以降のセリフは自由にアレンジしてください)
 初日は「◯◯さん、おはよう」というあいさつさえできれば合格。名前を呼ぶこと(呼ばれること)は“承認”を意味するので、とてもシンプルな方法ですが、関係づくりにはものすごく効果的です。

 上司やマネジャーのみなさんは「あいさつは部下や後輩のほうからするもの」と考えがちで、自分から(しかも名前を呼びながら)あいさつすることには、少し抵抗があるかもしれませんが、実際にやってみるととても気持ちのいいものですよ。
 「◯◯さん、おはよう」がスムーズに言えるようになったら、そのまま「今日は何する予定?」と続けてみてはどうでしょう。これで、1日1回確実にコミュニケーションがとれるようになりました。

 それが言えるようになったら、夕方から終業時間の間に「今日どうだった?」と一言。

 この「今日どうだった?」と声掛けするタイミングが上手に見つけられるようになったあたりからは「明日はどうする?」と、質問をもう1つ増やします。
 なお、見本メニューの声掛けの場合、着実にコミュニケーションがとれるだけでなく、毎日「その日の振り返り」と「今日(明日)の予定の確認」ができます。

 これは、そのスタッフの動きが把握できるようになると同時に、あなたの下につく当人のほうも「考える」「振り返る」「先を見通す」という習慣と力が身につくのでおすすめです。

 「今日(明日)の予定」を聞いて、わけのわからない答えが返ってきても、怒るのは厳禁。

 「こういうことをやったらどう?」「こういう方法もあるよね」と、具体的な表現でアドバイスしてください。
 とくに慣れない土地で働く外国人スタッフの人は、ただでさえ心細いもの。積極的な声掛けによって相手の不安を払拭し、信頼関係を構築していきましょう。
石田 淳 :社団法人行動科学マネジメント研究所所長

最終更新:8月26日(月)8時00分

東洋経済オンライン

 

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