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「リトルインディア」西葛西にインド人が集まるワケ

8月26日(月)11時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
人口減少が続き、将来の労働力不足が既定路線となる中、日本における在留外国人の重要度も高まりつつある。不動産投資家にとっても、今後増加する外国人は有力な「入居者候補」となるはすだ。一方、「外国人」と言っても、出身国によって国民性や文化は違うし、どんなエリアに住みたいかといったニーズも異なる。外国人を入居者として「受け入れる側」である投資家も、彼らのことを理解しておくに越したことはない。

フリーライターとして活動する傍ら、外国人不動産アドバイザーとして100人以上の外国人の内見に立ち会ってきた佐野真広氏が、特定の国の出身者が集まる首都圏のエリアを探訪。彼らがなぜそこに集まり、どんな暮らしを求めているのかを伝えてもらう。今回は江戸川区・西葛西エリアのインド人街を取り上げる。

■「2000年問題」を機にインド人が増加

「リトルインディア」という言葉を聞いたことがあるだろうか。多くのインド人が住む東京・江戸川区の西葛西駅周辺を指し、こう呼ばれている。

官公庁が集まる東京・大手町駅から東西線でおよそ15分。江戸川区南西部に位置するこの街には、インド国籍の人が大勢暮らしている。江戸川区の公式サイトによると、2014年に1959人だった区内のインド国籍人口は、2018年には3758人に急増。5年でおよそ2倍に膨れ上がった。

「西葛西にインド国籍の住人が住み始めたのは1990年代後半から。コンピューターの『2000年問題』(西暦の上2桁が変わることで、システムに誤作動が起こる可能性があるとされた問題)に対応するため、インドから多数のIT技術者が来日したのがきっかけです」と話すのは、地元で20年以上賃貸業を営む不動産業者のA氏。官公庁の集まる大手町や証券会社が多い茅場町で働く利便性を考え、この地に住み着いたのだという。

この流れを受け、2000年ごろからインド雑貨店や料理店も次々にオープン。来日したインド人が日本の住みやすさを気に入り、知人、親類などを呼び寄せたこと、また日本はインドに比べIT系技術者の給与が高いこと、そうして充実していった西葛西のインド人街の充実が、インド人の来日増加に拍車をかけ今に至っているようだ。

もともと江戸川区は東京23区内でも家賃相場が安い。ワンルームであれば月額6~7万円程度、夫婦や家族で住む2DK、2LDKタイプの部屋でも駅近でなければ月10万円ほどで借りられる物件もある。

「西葛西駅周辺には礼金や仲介手数料がなく、外国人でも住めるUR賃貸住宅が複数あることも大きいでしょう。総戸数が1000戸を超える巨大なものもあります。そうした物件にインド国籍の方が暮らしているんです」(前出のA氏)

彼らの日本での滞在期間は勤務先のIT企業のプロジェクト期間によって決まり、基本的に短期間、長くても2年ぐらいだ。普通の賃貸では短期解約違約金を求められてしまうことがあるため、UR賃貸住宅を選ぶのだという。

■「インド国籍」が約4割の巨大団地

実際に駅周辺を歩いてみた。まず駅北側。タクシーが連なるロータリーを超え、大通りに沿って3分ほど歩くと、目の前に地域随一と言われるUR賃貸住宅の団地群が現れる。総戸数は1500戸以上。前出のA氏によれば「このうち30~40%の世帯がインド国籍」というから驚く。

団地1階の踊り場には、団地の住人のインド人男性が。なぜ、この団地にはインド人が多く暮らしているのか。尋ねてみると笑顔を見せ、流ちょうな日本語でこう話してくれた。

「インド人は基本的にフレンドリーで話し好き。だから1つの団地にまとまって住むのを好む。それにこの周辺は激安スーパーや大規模な公園も多い。川も近くにあって、どこかインドにいるような感じにさせてくれるのも魅力。周りに仲間がたくさんいるので、口コミで色々な情報が入ってくるメリットもある」

例えば部屋探しもその1つだという。来日直後のインド人は言葉の壁もあり、仲間の紹介やUR賃貸に頼らざるを得ない。その後、定住したり、稼げるようになるとより高級なマンションを探すことになるが、とりあえずこの周辺に住んでいれば、べつの物件に転居する際、不動産屋に行かなくても「あのマンションは外国人が住める」というような情報が得られる。実際に団地周辺にはそうした物件も多いそうだ。

団地から北西に5分ほど歩けば、都内屈指の無料動物園と言われる「江戸川区自然公園」を要する行船公園があり、隣接する宇喜多公園には緑も多い。さらにその奥には首都圏の水資源を支える一級河川「荒川」が流れる。前出の住人によると、インド人にとって川は生活に密着した重要な存在で、地方では現在も川で洗濯しているエリアがあるのだという。彼らにとって居心地のいい場所であることは納得できる。

駅の南側はどうか。こちらも徒歩数分圏内にUR賃貸住宅が乱立。親水公園など大小の公園群と、住宅地が東京湾に隣接する葛西臨海公園、ディズニーランドのある浦安周辺にまで広がる。

「西葛西駅から葛西臨海公園に至る江戸川区南側エリアは緑や公園が多いため、日本人のファミリー層に人気がある。これはインド人にとっても同様で、定住を希望するインド国籍の方がこのエリアに中古マンションや中古戸建を買うケースがここ数年見受けられます」(前出不動産業者A氏)

収入が増えても港区や品川区には行かず、インド人街が形成されて暮らしやすい西葛西で物件を探すということのようだ。

もっとも、最近はこの周辺も東京五輪特需で人気が高まり、売りに出る好条件の物件が少ない。この影響からか、これまで西葛西に集中していたインド人が隣駅の葛西駅周辺や東西線の北側を並行して走る都営新宿線沿線方面に移動。「インド人街」は年々拡大しつつあるとA氏は言う。

「西葛西駅に点在していたインド料理店、雑貨店が今では葛西駅、船堀駅周辺にも増えていますからね。現在は3駅周辺で合わせて15店舗以上あると言われています。日本で今後少子高齢化が進むと、郊外よりも便利な都心に住む日本人が増えると言われています。そうなれば、それを避ける形で今後ますます葛西の北側、東側に住むインド人が増えていくと思います」(A氏)

■富裕層の流入でマナーが向上

インド人の流入が加速傾向にある西葛西と葛西。では、日本人との共生はうまくいっているのか。20年以上前から西葛西に暮らし、周辺地域のインド人コミュニティーに詳しい関係者に話を聞くと「以前に比べればかなり改善されている」とこれまでの経緯をこう話す。

「2000年代の前半は日本特有の細かいゴミ出しルールが守れなかったり、インド人が料理に使う強烈なスパイスによる匂いの問題もあったりと、たびたび日本人とトラブルになっていたことは事実です。でも、2010年ごろからそういった問題は少なくなってきた。理由はインドの方々のマナー向上と、インドから優秀な人材が集まり始めたことで待遇が向上し、富裕層が増えたからでしょう」

日本にいる「先輩インド人」が増えれば、新たに来日したインド人も彼らから色々と教えてもらうことができる。地域のルールに理解を深め、共存を図ろうとするようになったのだろう。

前出の関係者によると、現在、西葛西周辺に住むインド人の多くは金銭的に余裕があり、年収1000万円以上の富裕層も大勢おり、複数の土地、自宅、マンションを保有するインド人もいるのだという。

「こうした人たちはとても礼儀正しく、港区や世田谷に住んでいてもおかしくない人たちばかり。身なりや礼儀、マナーについては、むしろ西葛西に住む地元の日本人よりうるさい人もいるほどです。富裕層の流入は他のインド国籍の人たちの水準を上げ、地域の治安や共生に貢献しているとも言われています。日本の不動産業界や投資家もこの流れに注目しているのか、ここ数年はこれまで敬遠していた外国人向けのアパートや住居が確実に増えています」

もともとこのエリアは売りに出される土地が少なく、大手不動産会社が土地を買い占めマンションを建てているのが現状だ。現在も空いた土地が出ると即座に買われ、住居用マンションが建つ。この結果、年々西葛西エリアの家賃は値上がりしている。インド人もこの傾向を知っており、東や北方面に移動しているということのようだ。



今後もインド人の流入が進むであろう西葛西エリア。周辺で物件を所有するなら、彼らのことを理解しておいたほうがよいだろう。特に、彼らが料理に使用するスパイスの問題。そのにおいが日本人の隣人とのトラブルの種になるので、この点を日本人入居者に理解してもらう必要がある。

また、インド人は基本的に彫りが深い顔で、日本人から見ると怖いイメージがあるかもしれない。しかし、一度仲良くなると日本人以上に情のある人が多い。だからこそ、一方的に「ここは日本だから」と上から目線で接し続けてしまえば、全く信用してもらえない。インド人は家族、親族をとても大事にするし、プライドも高い。そういった点もある程度理解しておく必要があるだろう。
佐野 真広

最終更新:8月26日(月)11時00分

不動産投資の楽待

 

情報提供元(外部サイト)

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不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

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