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SDGs達成への莫大な資金不足(UNCTAD「World Investment Report 2014」)

8月25日(日)15時30分配信 週刊 金融財政事情

大和総研 金融調査部SDGsコンサルティング室 主任研究員 依田 宏樹
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大和総研 金融調査部SDGsコンサルティング室 主任研究員 依田 宏樹
〔図表〕SDGs関連で開発途上国が必要とする金額
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〔図表〕SDGs関連で開発途上国が必要とする金額
 SDGs達成に向けた課題の一つとして、開発途上国における深刻な資金不足が指摘されている。国連貿易開発会議(UNCTAD)が公表した “World Investment Report 2014” という報告書によると、SDGsの達成には世界全体で年間5兆~7兆ドル、このうち開発途上国においては年間約3・2兆~4・5兆ドルの投資が必要になる(2015~30年)。しかし、現状での年間投資額は約1・4兆ドルにとどまり、投資不足額は年間約1・8兆~3兆ドルに上ると推計されている(図表)。
 投資不足額をセクター別に見ると、電力(発電・送電・配電など)が年間最大6,900億ドルと最大で、気候変動の緩和(関連インフラ、再生可能エネルギーの生成、技術開発など、最大6,800億ドル)、輸送(道路・空港・港湾・鉄道など、最大4,700億ドル)が続く。
 資金不足に対応するためには、公的部門からの投資のみではとうてい間に合わず、民間資金の活用が不可欠である。現状では民間部門の投資の割合は、開発途上国では大部分のセクターにおいて先進国と比べると低水準である。例えば、前述の報告書によると、電力では先進国で80~100%であるのに対して開発途上国では40~50%、気候変動の緩和では先進国で90%であるのに対して開発途上国では40%といった状況である。
 民間部門からSDGs達成への投資を促進する有効な手段としては、インパクト・インベストメントの活用が挙げられる。インパクト・インベストメントは、経済的な利益の追求と貧困支援や環境対策など社会的課題の解決との両立を目指す投資のことで、多くが開発途上国を対象とする。
 日本政府も16年5月に、安倍晋三首相を本部長とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置し、国内での推進体制を整備している。同年12月に公表した「持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための具体的施策(付表)」においては、優先課題の一つを「SDGs実施推進の体制と手段」として、国際協力におけるSDGsの主流化や途上国のSDGs実施体制支援のほか、社会貢献債(ソーシャルボンド)の発行による資金動員の重要性を挙げている。
 現状では、資金用途を環境問題の解決に資する事業に限定したグリーンボンドやソーシャルボンドの発行数・額は世界的に拡大傾向にあるものの、その規模は小さい。今後、さらなる拡大を通じて特に開発途上国での資金不足が緩和され、SDGsのさまざまな目標達成を通じて持続可能な社会が実現することが望まれる。(「週刊金融財政事情」2019年8月26日号より転載)
大和総研 金融調査部SDGsコンサルティング室 主任研究員 依田 宏樹

最終更新:8月25日(日)15時30分

週刊 金融財政事情

 

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