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【商品市場】歴史的な高値圏で推移する、金相場にさらなる上昇余地

8月25日(日)15時30分配信 週刊 金融財政事情

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
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楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
〔図表〕トランプ大統領の政策・方針と金価格上昇の関係図
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〔図表〕トランプ大統領の政策・方針と金価格上昇の関係図
 8月に入り、国内外の金価格の上昇が注目されている。世界の金価格の指標の一つ、ニューヨーク(NY)金先物価格は1トロイオンス=1,500ドルを超え、およそ6年4か月ぶりの高値圏で推移している。国内で取引されている金も、小売価格はおよそ40年ぶりの水準となり、先物価格は1982年3月の上場以来の高値水準で推移している。
 金相場の変動要因には、①地政学リスク、②中央銀行、③代替資産、④代替通貨の四つがある。現在はこの四つが同時に発生しており、金価格上昇の大きな原動力となっているとみられる。
 同時発生した四つの材料の共通点は「トランプ大統領」だ。トランプ大統領の政策・方針がきっかけで発生したか、それによりインパクトが強まったものだ。トランプ大統領は、中東情勢悪化の一因である対イラン制裁を強化し、米韓合同軍事演習を実施して北朝鮮のミサイル発射を誘発した(①)。トランプ大統領が対中貿易戦争をけしかけ、世界景気の先行き不透明性が高まったことで、ロシアやインドの中央銀行がリスク回避のため金の保有高を増やした(②)。米中貿易戦争激化により世界の株価指数の動きが不安定化し、投資家が代替資産を物色する機運が強まった(③)。トランプ大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを強く要求して実施させ、通貨安競争のきっかけをつくった(④)。
 トランプ大統領の任期中は、金価格が上昇する方向にあると筆者はみている。確かに、四つの材料の間で競合が発生することも考えられる。例えば、米国の利下げがきっかけで景気拡大期待が高まり、株価が大きく上昇した場合、利下げそのものは金相場にとって上昇要因だが、同時に発生した株高は金相場にとって下落要因となる。上昇要因と下落要因が同時に発生した場合、金相場が上下に大きく変動することが考えられる。
 しかし、トランプ大統領の存在によって、金相場は下支えされるだろう。2020年11月3日の米大統領選挙前まで、トランプ大統領が自身の施策を強く実行し続け、かつ前提に大きな変化がなければ、19年末ごろまでに、国内外の金相場は大きな変動を伴いつつ底値を切り上げる展開が予想される。NY金先物価格は1トロイオンス=1,600ドル程度を目指すと考えている。(「週刊金融財政事情」2019年8月26日号より転載)
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

最終更新:8月25日(日)15時30分

週刊 金融財政事情

 

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