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「マリオメーカー2」YouTuberも熱狂する仕組み

8月25日(日)14時50分配信 東洋経済オンライン

「マリオメーカー2」YouTuberも熱狂する仕組み
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「マリオメーカー2」YouTuberも熱狂する仕組み
物心ついたときからゲームと付き合い続けてきた筆者が、その長いゲーム歴から最新作や過去の名作までを掘り起こして語り尽くす連載。今回のテーマはNintendo Switch専用ソフト『スーパーマリオメーカー2』。マリオが挑むコースを自由に創作できる同作を、筆者はどう遊んだのか? 
 1985年に発売され、ファミコン人気を牽引した伝説のゲーム、『スーパーマリオブラザーズ』。

 2Dアクションゲームの金字塔として親しまれ、今なお、世界中のゲームファンに愛され続けるゲームである。ゲーム好きはもちろん、ほとんどゲームを知らない人にさえ、その名前は知られている。
 そんな超有名ゲームのコースを自由気ままに自分で作って投稿し、ネットを通じて世界中の人たちに遊んでもらえるコース作成ツールが、今回紹介する『スーパーマリオメーカー2』である。

■楽しみは「コース」作り

 このゲームのメインはコースの作成である。その思想はタイトル画面からハッキリしており、「つくる」と「あそぶ」を選択する最初のカーソルは「つくる」に置かれている。

 「つくる」モードでは、Nintendo Switchの特徴でもあるタッチパネルなどを使って、自由に“スーパーマリオブラザーズ”のコースを作ることができる。
 作成内容を細かく紹介すればキリがないので、最も特徴的な要素「ゲームスキン」について説明したい。ゲームスキンはゲーム内容を、初代スーパーマリオブラザーズ、スーパーマリオブラザーズ3、スーパーマリオワールド、スーパーマリオブラザーズU。そして2から新登場のスーパーマリオ3Dワールドのいずれかに設定できるシステムである。

 ゲームスキンの設定により、同じコースでも、ブロックや敵キャラなどのグラフィックが異なる。初代マリオであればファミコンの懐かしくも味のある表現に、マリオワールドならスーパーファミコンの進化した表現に、マリオUであれば、WiiUの今どきでキレイな表現になる。
 ゲームスキンには互換性があり、コース作成途中に別のスキンに切り替えることも可能だが、3Dワールドのスキンだけは独立しており、ほかのスキンとの互換性がない。

 ゲームスキンの変更は、決して見た目だけの変更ではない。ゲームスキンが変更されると、マリオが行うことができるアクションが大きく変化するのである。

 例えば、初代マリオではノコノコの甲羅などを持つことができないが、マリオ3では持つことができる。マリオワールドではスピンジャンプができるし、マリオUではカベキックをすることができるといった違いが生まれる。アクションに違いがあることにより、同じコースでもスキンの違いで攻略方法に幅が出てくるのである。
 スキンによるアクションの変化は、一見、無駄な制約であるかのように思える。どんなスキンを使おうと、マリオや敵や地形の動作を自由に設定して、動かせるほうがいいのではないかと。

 しかし、そうではない。プレーヤーは、そのコースをひと目見たときに、初代マリオであればシンプルなジャンプアクションを要求するコースであり、3Dワールドであれば多様なアクションとさまざまなギミックを有する、工夫しがいのあるコースなのだろうと理解するのである。
 つまり、スキンの設定1つで、そのコースのコンセプトやどのようなプレイを要求するのかを、プレーヤーに伝えることができるのだ。

■「初心者にも優しい」モードも

 コース作成は重要だが、もちろん遊ぶ人がいなければ、せっかく作ったコースも宝の持ち腐れになってしまう。「あそぶ」を選択すれば、世界中の人達が作成したコースで遊ぶことができる。

 しかし中には「突然、みんなが作った難しいコースに挑戦するのは嫌だ」とか「2Dマリオを遊ぶのが久しぶりで、操作方法を忘れてしまった」なんて人もいるだろう。
 でも、心配はいらない。そうした人たちのために、任天堂が用意したコースを遊びながら、基本的な操作方法に慣れることができる「ストーリーモード」が用意されている。

 ストーリーモードでは、さまざまなスキンや数々のギミック、多くの敵キャラたちの特徴を活かして配置された、100以上のコースを楽しむことができ、プレイしながら自然とゲームに慣れることができる。

 中には攻略法を思いつかないようなコースがあるかもしれないが、ストーリーモードには、お助け機能がある。
 コースの中に足場がほしければブロックを。敵が倒したければファイアフラワーやスターなどを、自分で画面内の好きな場所に配置して利用することができる。それでもダメなら、自動でコースをクリアしてもらうことすらできる。

 お助け機能を使うことによるデメリットはないので、どうしてもクリアできないコースがあれば気軽に使えばいい。別のコースを遊んで、一通りプレイに慣れた後に戻ってきて、本来の解法を発見すればいいのである。
■世界中の新作コースが遊べる

 ストーリーモードを一通り堪能した人や、2Dマリオの操作に慣れている人は、早速、世界の人達が作ったコースを遊んでみよう。ランキングから人気のコースを選ぶこともできるし、毎秒のように大量に投稿される新作コースを遊ぶ最初の1人になることもできる。「どこまでマリオチャレンジ」で、難易度別ランダムに選ばれるコースを残機制限ありの緊張感の中で楽しむこともできる。

 さらに、コースにはそれぞれID番号が設定されるので、作成者はSNSなどでIDを告知すれば、自分の作ったコースを友達やフォロワーなどに遊んでもらうこともできる。
 そのように、作る側と遊ぶ側が交流を持つことで、コースが改良され、よりよいコースに生まれ変わるのである。

 前作『マリオメーカー』では、制限時間をクリアギリギリに設定し、ノンストップでアクションを繰り広げる「スピードラン」や、マリオをいっさい動かさずとも、マリオが敵や障害物の間をギリギリですり抜けてゴールする「オートマリオ」などといったコースが人気を博した。

 今作ではどのような楽しいコースジャンルが生まれるのだろうか? 
 さて、この『マリオメーカー2』。多くの人が発売を心待ちにしていたに違いないが、中でもより首を長くして待っていたのはYouTuberなどの動画投稿者だろう。

 なぜなら、初代『マリオメーカー』は数多くのコース投稿に恵まれ、それをプレイする実況動画は人気コンテンツとなり、長期に渡り多くの再生数を稼ぎ出していたからだ。

 ゲーム実況動画を見るような人なら誰でも知っているスーパーマリオブラザーズということで、ゲーム性が伝わりやすい。小気味よいアクションで、成功も失敗もわかりやすく盛り上がる。
 1回のプレイ時間が数分で終わり、テンポのいい動画作成が簡単などの理由から、初代『マリオメーカー』の動画は、動画投稿サイトで人気のコンテンツだった。

 かく言う僕も、1度マリオメーカー動画を見始めると、続けざまに見てしまうことが多かった。

■待望されていた「Switchでの発売」

 ところが、再生数を稼げるのに、マリオメーカー実況動画に手を出せない人たちがいた。それはマリオメーカーが発売されたハードが関係している。
 初代『マリオメーカー』は、WiiUと3DSの2機種で発売されたが、WiiUは売れ行きとしてはパッとせず、所有していない人も多かった。実況をしたくても「マリオメーカーのためだけにWiiUを買うのもなぁ」と躊躇する投稿者は多かったはずだ。

 逆に、3DSはゲーム実況を投稿するほどのゲーム好きならほとんどの人が所有しているが、携帯ゲーム機であることから映像を出力する外部端子がなく、ゲーム画面をパソコンに取り込む方法が公式には存在しなかった。
 中には3DS本体を改造することで、外部出力を実現する人もいたが、そのハードルはWiiUを買うよりも高い。

 そんなわけで、WiiUを持っていない投稿者は、有名投稿者の動画を指をくわえて眺めることしかできなかったのである。しかし、ようやく今回、爆発的にヒットしたNintendo Switchでの発売。発売直後から、動画サイトには大量の実況プレイ動画がアップされており、ゲームの高い人気を伝えてくれる。
 『マリオメーカー2』実況動画の盛況には、ハード的要因だけではなく、任天堂の動画配信に対する姿勢の影響も大きい。

 2018年11月、任天堂は自社のゲームソフト内容の動画配信に関する、新たなガイドラインを発表した。

 ざっくり説明すると、個人で非営利であることを前提に、実況や文字、編集といった創作性のある動画であれば、任天堂の許諾を得ずにユーザーが自由に動画投稿サイトにアップロードできるようになり、指定の動画サイトであれば収益化システムにも対応している。
 以前にも、任天堂にあらかじめ申請したうえで、動画を配信できるようなプログラムはあったのだ。しかし旧プログラムと比較して、多くの制限が撤廃された新たなガイドラインは、任天堂製ゲーム実況のほぼ全面的な解禁として、ゲーム実況動画投稿者たちに大いに歓迎された。

 動画投稿に理解ある任天堂の姿勢があればこそ、『マリオメーカー2』は発売直後からたくさんの動画が投稿されているのである。

■現在抱える「問題点」

 問題点も挙げておく。現状ではフレンドとの通信プレイが行えないのは寂しい。また、世界中の人達とバトルをする「みんなでバトル」では、バトル向きではないコースが選択されてしまうことがある。さらに、回線状況から発生するラグが酷いときもある。
 通信プレイをしなければ快適に遊べる『マリオメーカー2』であるが、通信関係はまだまだベータ版の印象が強い。今後のアップデートに期待したい。

 ただ、そんな問題点を差し引いても、Switchユーザーなら『マリオメーカー2』はマストアイテムである。ゲームを作る人とプレイする人がSNSなどでつながり、たくさんの遊びがいのある楽しいコースが生まれる。そして、そのプレイを実況動画などで見た視聴者が、楽しそうだと『マリオメーカー2』の世界に入ってくる。そして新しく入ってきた人達が新たなコースを作り、またプレイをする。
 こうして作り手と遊び手が結びつき、『スーパーマリオメーカー2』の世界は広がっている。なにせ、投稿されたコースは無限と言えるほどに多い。数カ月どころか、数年単位で遊び続けることができるとても幸せなゲームである。
赤木 智弘 :フリーライター

最終更新:8月25日(日)14時50分

東洋経済オンライン

 

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