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郵便局の不適切販売と営業実績水増し、アフラックのがん保険でも発覚

8月22日(木)6時01分配信 ダイヤモンド・オンライン

郵便局におけるがん保険の積極的な 営業を、日本郵便とアフラックは果 たしてどこまで貫けるか Photo:DW
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郵便局におけるがん保険の積極的な 営業を、日本郵便とアフラックは果 たしてどこまで貫けるか Photo:DW
 「かんぽ不正問題」で揺れる郵便局。生命保険では唯一、現在も自粛せず販売継続しているアフラック生命保険のがん保険でも、顧客に不適切な販売をしている実態が浮かび上がってきた。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)

 アフラック生命保険が全国約2万の郵便局に販売委託しているがん保険を巡って、不適切な販売が一部で横行していることが分かった。

 がん保険は保険料を月払いにした場合、顧客からの払い込みが1度しかないまま失効や解約になったときは、販売実績が消滅する仕組みになっている。一方で、保険料の払い込みが最低でも2回あれば、その後解約になったとしても、郵便局員の販売実績は消滅せず、そのまま年換算保険料として実績に反映されることになる。

 複数の郵便局関係者によると、そうした実績評価の仕組みを逆手に取り、顧客が2回目の保険料を払ったら解約してもらい、その後理由を付けてまた契約させるということを繰り返す郵便局員がいるという。

 そうして短期間で契約を転がしながら、販売実績を水増しする手法は「局員の間で『ニコロ』と呼ばれ、ひそかに共有されている」(郵便局関係者)という。

 ただ、このような抜け穴を突いた手法は、郵便局員自身の収入増には一切つながらない。契約から6カ月以内の早期解約の場合は、受け取った販売手数料を全額戻す規定になっているからだ。
 実入りがゼロにもかかわらず、一体なぜそうまでして販売実績を上げる必要があるのか。それは、営業目標という名で本部から課される事実上のノルマが、郵便局長や局員に想像以上に重くのしかかっているからにほかならない。

 保険営業をしている局員は、ノルマを下回ることが続くと「管理者からの激しい叱責や、営業の推進遅延を厳しく問い詰められる『実績向上期待社員研修』が待っている」(同)という。

 それを回避したいがために、郵便局を信頼し疑いを持たない顧客を何とか言いくるめ、契約を転がしているわけだ。

 そもそもがん保険には、がんの自覚症状が出てから慌てて保険に入るといった悪用を防ぐため、契約日から3カ月間は保障を受けられない免責期間(待ち期間)が存在する。

 先のように、2回目の保険料を払ってすぐに解約するようなことを繰り返す場合は、顧客をずっと保障が受けられない「無保険状態」に置くことになり、大きな不利益を与えることになる。

 その一方で、がん保険の場合、商品の改定などによって保障内容がより充実した保険に入り直すというのは一般的に行われている。契約したもののやはり不要だった、と言って解約する顧客が一定数いるのも確かだ。

 そのため、早期解約が郵便局員の販売実績の水増しのために顧客にさせたものなのかどうかは、すぐには判別しにくい。

 ただ、販売実績目的の早期解約がボリュームとして大きくなると、手数料の戻入が多いにもかかわらず、販売実績だけは上がっているという現象がどうしても起きるため、調査をする手掛かりにはなりそうだ。

 日本郵便はダイヤモンド編集部の取材に対し、「早期の解約等が発生した場合には、事情の確認や管理者による指導を実施する態勢は整えている。全体的な状況については、アフラックからモニタリング結果として報告を定期的に受けているが、指摘のような事実(販売実績のために短期間で契約を転がす不適切な事例)は把握していない」との見解を示している。
● 足元で崩れ始めた アフラック商品の販売継続ロジック

 このような不適切販売の事例が、全国でどこまでまん延しているのかは、郵便局を統括する日本郵便もアフラックも現時点では把握できていない。

 問題なのは、そうした状況にもかかわらず、今なおがん保険の積極的な営業をするよう現場の局員に号令を掛けているということだ。

 7月にかんぽ生命保険の不適切販売が発覚して以降、郵便局では「顧客対応を優先する」という名目で、かんぽ商品をはじめ多くの販売受託商品で新規営業の自粛を決めたが、生命保険の中でアフラックのがん保険だけは唯一、販売継続としてきた。

 その理由についてアフラック側は、かんぽ商品のように「解約と新規契約の間隔を募集人(郵便局員)が意図的に操作したとしても、募集人の評価は変わらない」「解約の意向がある場合(中略)顧客から直接コールセンターに連絡してもらう仕組みとしている」とし、故に「がん保険は(中略)不適切な募集(販売)活動が生じないような仕組みとなっている」ためとこれまで説明している。

 しかし、がん保険の販売に伴う実績評価の仕組みに、不適切な募集を許してしまう抜け穴があることは明白だ。

 解約の手続きについても、かんぽ商品のように郵便局員が受け付けることはできず、意図的に時期を操作できないなどとしているが、「ニコロをするときは、顧客にこの日以降にアフラックのコールセンターに電話してくれなどと、うまく誘導する場合がある」(同)のが実態という。

 がん保険で今なお不適切な販売が起こり得る状況で、郵便局員に積極的な営業を果たしてさせるべきなのかどうか。両社の企業としての姿勢が厳しく問われそうだ。
ダイヤモンド編集部/中村正毅

最終更新:8月22日(木)10時10分

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