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消費増税前に日本経済を総点検、10月以降の景気後退は回避できるか

8月21日(水)13時00分配信 ダイヤモンド・オンライン

GDP統計でみると日本経済は堅調に推移している。10月の消費増税を乗り越えられるか(写真はイメージです) Photo:PIXTA
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GDP統計でみると日本経済は堅調に推移している。10月の消費増税を乗り越えられるか(写真はイメージです) Photo:PIXTA
● 日本経済は3期連続のプラス成長 需給の改善続く

 2019年4-6月期の実質成長率は前期比年率プラス1.8%と、18年10-12月期(同プラス1.6%)、19年1-3月期(同プラス2.8%)に続き、3四半期連続のプラス成長を記録した。内閣府や日本銀行は、日本経済の平均的な供給力を示し、日本経済の「実力」とされる潜在成長率を年率1%前後と推計しており、過去3四半期の成長率は、潜在成長率を上回ったことになる。実際の成長率を需要の伸びと考えれば、日本経済における需要は平均的な供給力の増勢(潜在成長率)を上回っていることになり、経済全体の需給が改善しているといえる。

 19年4-6月期の実質GDPの内訳をみると、実質輸出が前期比で0.1%減少し、2四半期連続の減少となったが、内需では実質個人消費が同0.6%増となっているほか、実質企業設備投資は同1.5%増と大幅に増加している。個人消費については、1-3月期に天候要因により押し下げられた反動があるほか、改元に伴う「10連休」による押し上げ効果が出ていることが考えられ、その分を差し引いて判断する必要があるが、設備投資は3四半期連続で大幅に増加している。設備投資は、実質ベースではここ3四半期で4.7%(年率換算6.3%)伸びており、堅調に推移している。

● 建設投資循環は 長期的な上昇局面

 GDP統計では、19年4-6月期の設備投資の内訳を確認できないが、関連指標からは、建設投資の増加が続いているとみられる。建設総合統計の民間建設出来高(非居住+土木)は、19年6月値が未発表なため4、5月値平均(筆者推計の季節調整値)でみると、1-3月期比で1.3%増(年率5.4%増)となっており、1-3月期(前期比1.6%増、同年率6.6%増)に続き大幅に増加している。

 一方、機械投資も、4-6月期に増加したものの、1-3月期に大きく落ち込んだ反動の影響が大きいようだ。関連指標である資本財(除く輸送機械)の国内総供給は、1-3月期に前期比11.4%減となったが、4-6月期は同6.0%増となっており、1-3月期、4-6月期を均した水準は、18年10-12月期に比べ6%強、低くなっている。
 建設投資については耐用年数が長く、更新までの期間が長期であり、その再投資の循環が景気の長期循環をもたらしているとし、長期循環を建設投資循環と考えている向きも多い。実際、過去には建設投資が長期にわたって上昇ないしは下降している。前述の民間建設出来高(非居住+土木)をGDP比でみると、09年10-12月期にボトムをつけ、13年以降は明確な上昇基調となっている(図1上段参照)。また、GDP統計の暦年ベースの建設投資(GDP比)は、10年をボトムに上昇基調となっており(同下段参照)、建設投資循環は長期的な上昇局面にある可能性が大きい。

● 建設投資循環の周期を探る 上昇局面はいつまで続くのか

 建設投資循環の周期がどの程度で、足元の上昇局面がどこまで続くかを予想するのは困難だが、過去の実証研究の多くは建設投資循環の周期を20-30年とみなしている。GDP統計ベースの建設投資(GDP比)の変動について、さまざまな周期をもつ投資の波動が合わさったもの(加重和)と想定し、周期ごとの波動の強さを算出し、まとめたのが図2となる。ここでは、データ解析手法の1つであるフーリエ変換を用いて、周期ごとの強度を算出している(フーリエ変換とは、時系列データを三角関数の正弦波(sinθ)、余弦波(cosθ)の加重和として表すもの)。

 図2の横軸は周期で、各周期の強さが縦軸となる。図2をみると、建設投資(GDP比)の周期は9年弱の強い波動があることが確認できるが、さらに強い周期として28年強の波動があることが示されている。建設投資循環の周期を(最も強い波動の周期である)28年強とし、仮に上昇局面がその半分とすれば、上昇期間は14年強となる。建設投資の直近のボトムを2010年と考えると、2025年程度まで上昇局面が続く可能性があるといえ、建設投資が今後も基調として堅調に推移することが期待できる。
● 各国の財政・金融政策は景気刺激型 日本景気は後退入りするのか

 短期的には、米中摩擦の影響が引き続き警戒されるほか、米中交渉の先行きも楽観できないが、米国のほか、利下げを行う中央銀行が増えていることに加え、中国やドイツで景気刺激策の発動が検討されていると報じられるなど、各国・地域の財政・金融政策が景気刺激型に転換している。

 国内では19年10月以降、消費税率引き上げの影響が懸念され、景気は弱めの動きが予想されるが、14年4月に比べ税率の引き上げ幅が小さいほか、各種需要平準化策もあり、税率引き上げ前の駆け込み需要は14年4月の引き上げ時に比べて少なく、その反動減も小さくなるとみられている。加えて、教育・保育の無償化も実施される。

 また、18年度補正予算の景気押し上げ効果がすでに出ているほか、19年度補正予算の早期編成も指摘されている。こうした中、建設投資を中心に設備投資が拡大し、景気を下支えし、景気後退局面への突入が回避されることが十分に考えられるといえよう。

 (三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所副所長 鹿野達史)
鹿野達史

最終更新:8月21日(水)13時40分

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