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世界経済が大混乱なのに米ドル/円は底割れを回避。それが意味するものは?

8月17日(土)14時01分配信 ザイFX!

米長期金利 日足 (出所:Bloomberg)
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米長期金利 日足 (出所:Bloomberg)
欧州の高格付け国と日本の5年債利回りの推移 日足 (出所:Bloomberg)
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欧州の高格付け国と日本の5年債利回りの推移 日足 (出所:Bloomberg)
米ドル/円 日足 (出所:ザイFX!)
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米ドル/円 日足 (出所:ザイFX!)
米ドル/円 月足(2019年8月9日作成) (出所:Bloomberg)
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米ドル/円 月足(2019年8月9日作成) (出所:Bloomberg)
世界の通貨VS円 (出所:ザイFX!)
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世界の通貨VS円 (出所:ザイFX!)
ドルインデックス 日足 (出所:Bloomberg)
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ドルインデックス 日足 (出所:Bloomberg)
英ポンド/米ドル 日足
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英ポンド/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足 (出所:ザイFX!)
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豪ドル/米ドル 日足 (出所:ザイFX!)
豪ドル/円 日足(8月8日作成) (出所:Bloomberg)
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豪ドル/円 日足(8月8日作成) (出所:Bloomberg)
■世界の債券市場で逆イールドが広がっている
 ファンダメンタルズは最悪にみえる。なにしろ、逆イールド(長短金利差の逆転)は世界の債券市場で広がりをみせ、米国のみでなく、英国、カナダ、ノルウェーでもみられ、中国でさえ長短金利差が接近している。

 米10年物国債利回り(米長期金利)は一時1.495%まで低下、3年ぶりに1.5%の大台割れとなり、このままでは2016年安値(1.382%)に接近、またはそこを割り込むことも連想される。

 長期金利が急低下し、逆イールドが発生することは景気後退(リセッション)のシグナルと解釈される──経済学の教科書にはこのように書かれており、市場参加者なら誰でも緊張感を持ち、一層のリスクオフを覚悟しているところだ。債券市場が発生したシグナルを、誰も軽視できないからである。

 それにしても、今の債券市場を「完全におかしい」とみる市場関係者は少なくないようだ。というのは、「悪名高い」日本国債でさえ、欧州の最高格付け債市場のどこよりも高く、「魅力的な投資先」としてみる投資家が現れたからだ。

 ドイツ、フランス、オーストリア、ベルギーなどの国の国債利回りが軒並みマイナス圏に沈み、5年もの日本国債は、マイナス幅が同じ年限のドイツ国債より小さいから、「選好」されたというわけだ。

 要するに、“世界的な債券逆イールド”は、長短金利差のみでなく、「デフレの象徴」であった日本国債利回りとの逆転でもみられ、市場参加者の総意として「市場心理がいかに悲観的か」を示すバロメーターとなっているのだ。

■問題山積でも底堅い米ドル/円、どちらが真の示唆? 
 無理もない。8月14日(水)に米国株がまた大きく反落し、世界同時株安が示唆していたように、経済と政治の変調が激しく、また不透明感が一段と増しているからだ。

 悪化したファンダメンタルズとしては、中国、ドイツの最近の経済指標の悪化が代表的なものだが、中国人民元安がもたらした通貨戦争の思惑も根深いと言える。

 米中摩擦による中国経済減速は、日本を含め、対中輸出国への影響が大きい。トランプ米大統領の「自国優先主義」が危惧され、諸国の金融緩和戦争も目に余る。

 香港騒乱の地政学リスクに加え、アルゼンチン危機の再来に見られるポピュリストの台頭などなど、不安要素が数えきれないほど噴出しており、リスクオフの流れについていくしかないという考え方自体、むしろ当然の成り行きと思われる。

 さらに、お盆といえば、日本市場の薄商いが連想され、また、投機筋の跋扈がウワサされる。こんなにファンダメンタルズが悪化しており、混乱の最中で暗い見通ししか聞こえない今年(2019年)のお盆に、仕掛け的な円買いを実行すれば、ほぼ確実に利益を上げられると思われても、ロジック的には間違いとは言い切れない。

 しかし、一部市場参加者の意表を突く形となったが、米ドル/円は執筆中の現時点で106円の節目を回復しており、この間の安値(8月12日)も105.05円に留まっていた。

 つまるところ、最悪の市場環境や暗い市場心理と相異なり、米ドル/円にみる円高のモメンタムは極めて限定的であり、また、為替相場全体の変動率も8月にしては小さい。

 ここで考えなければならない問題はただ1つ、どちらが真の示唆か、ということに尽きる。

 言ってみれば、周知のとおりのファンダメンタルズなら、米ドル/円は今100円の大台にトライしてもおかしくなかろう。

 しかし、目先、2019年1月安値割れを回避しているようにみえる値動きがホンモノであれば、逆に相場の内部構造をより鮮明に指示してくれているのではないかとみる。

■米ドル/円の「底割れ」回避自体が大きなシグナル
 その内部構造については、先週(8月9日)のコラムで指摘済みなので重複して説明しないが、チャートのみ再掲載しておきたい。

 チャートは、諸処のファンダメンタルズ予想を織り込んでおり、また、これからのファンダメンタルズに対する予想であり、市場参加者の合意であるので、足元の米ドル/円の「底割れ」回避自体を、大きなシグナルとみるべきだ。

 クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の動向も同様である。クロス円は総じて弱含みでお盆(実際には本日8月16日も含まれる)を「すごして」いるが、下げ止まり感がある。

 そして、これからのクロス円のパフォーマンスは、円よりも外貨の動向に左右されやすいから、米ドル全面高が続くかどうかは重要な問題だと思う。

■ドルインデックスはいったん調整があった方が…
 米7月小売売上高の好調もあって、米ドル全体(ドルインデックス)はまた切り返しを果たしているが、結論から言うと、このまま高値再更新を果たすといった見方には懐疑的である。

 米ドル全体は、比較的に大きな調整なしでは、かえって今後の米ドル高の基盤を構築できないから、このまま上昇するよりもいったん調整があった方が、より健在なブル(上昇)トレンドを形成できるとみる。

 その兆しはすでに出ている。「もう売りしかない」と言われる英ポンドは安値圏での保ち合いを維持、中国の影響が大きい豪ドル/米ドルのチャートに底打ちのサインが点灯した可能性もある。

 その可能性について、8月8日(木)のレポートをもって視点を提示したので、下記ご参照を。

 豪ドル/ドルは昨日NZの予想外大幅利下げの影響を受け、一時0.6678の安値を付けた。一方、大引けは0.6758と高く、日足では「スパイクロー」のサインを点灯した。

 より重要なのは、1月3日安値の一時割り込み、また終値をもって回復しているところだ。1月3日の罫線、究極な「スパイクロー」のサインだったことに鑑み、昨日の安値トライ、所謂「ダマシ」の可能性がある。プライスアクション的な言い方は「フォールス・ブレイクアウト」だが、同サイン点灯する条件としてやはり再度安値を割らないこと、または直近の抵抗を上回る(厳格的に言うと終値をもって)ことなどが挙げられる。ここでは、0.68関門を目先の条件としてクリアの有無が注目される。

 もっとも、RSIなどオシレーター系指標の多くは切り返しを指示、目先相当「売られすぎ」であることを示唆、この意味では、0.68関門のブレイクは難しいものではないかと推測される。7月19日高値0.7083を」起点とした急落、途中8月2日の「星線」や8月6日の「スパイクハイ」風陽線を無視する場合、ほぼ「14連陰線」を達成、戻りも同半分程度の0.6880前後を目指すかと思われる。目先は下値追いを避け、戻りの余地を図りたいところ。

 仮に前述のレポートの視点が正しければ、これから外貨の切り返しでクロス円における円高圧力が緩和され、米ドル/円の切り返しの支えにもなるかと推測される。検証はまた次回、市況はいかに。

(12時30分執筆)
陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

最終更新:8月17日(土)14時01分

ザイFX!

 

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