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旧民進党「再結集」構想に早くも先祖帰りの声

8月15日(木)6時30分配信 東洋経済オンライン

会談に臨む立憲民主党の枝野幸男代表(右)と国民民主党の玉木雄一郎代表(7月26日、写真:時事通信)
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会談に臨む立憲民主党の枝野幸男代表(右)と国民民主党の玉木雄一郎代表(7月26日、写真:時事通信)
 「やはり」というべきか、それとも「結局」というべきか。

 立憲民主党や国民民主党などが、次期衆院選をにらんで合流に向けて動き出した。参院選での野党伸び悩みを受け、2年前に大分裂した旧民進党系の再結集を狙ったもので、自民、公明に対抗しようとの思惑がある。

■国民も再結集に動き出すが、調整難航は必至

 ただ、分裂時から引きずる感情的対立や、参院選における一部選挙区での足の引っ張り合いの後遺症もある。基本政策の違いを残したままの再結集構想には国民の視線も厳しく、衆院選での候補者調整は難航必至だ。このため、両党議員の間では「結局、再結集しても元の木阿弥になるだけ」(立憲幹部)との声が早くも出ている。
 昨年からくすぶっていた再結集論が動き出したのは、立憲民主党の枝野幸男代表が5日、国民民主、社民両党と野田佳彦元首相が率いる衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」(社保会議)に、それぞれ個別に衆院での立憲会派入りを呼びかけたからだ。

 社民党は難色を示したが、野田氏は前向きだった。このため、野党第2党の国民民主党が同調すれば、次期臨時国会から会派を統一し、その先の衆院選に向けて旧民進系の再結集・合流への道筋もひらけることになる。
 カギを握る国民民主党の玉木雄一郎代表は、かねて民進系再結集の必要性を説いてきた。玉木氏は直ちに党内調整を進め、10日に開催した両院議員総会と全国幹事会で「立憲民主党に衆参両院での統一会派結成を求め、政策協議に入るよう申し入れる」との方針を決めた。

 正式回答と最終調整開始は8月15日の党首会談からとなる。ただ、立憲側の呼びかけは衆院のみの会派参加と、その前提としての「原発ゼロ」を軸とするエネルギー政策などへの同調が条件となっており、「今後の立憲との調整は難航必至」(国民幹部)との見方は少なくない。
 その一方で、野田氏が代表を務める「社保会議」(所属議員8人)は9日の総会で、立憲会派への合流に応じる方向で協議を進める方針を確認した。野田氏は総会後、「野党の塊を大きくしていくことは賛成だ」と語ったが、同会議幹部は「われわれだけで立憲と組むことはありえない」として、国民民主の動向次第との立場も明確にした。

 10日の国民民主両院総会では、出席議員から「批判や反対ばかりの政党と組むのは逆戻りだ」との反発も出たが、最終的には玉木代表が提示した方針を了承。これに続く地方幹部による全国幹事会でも、「大きくまとまることが必要」との意見が多かった。
 これを受けて玉木氏は会合後、記者団に「衆参両院の(統一会派の)ほうがより強力で、政権交代への早道になる」として、衆参統一会派実現を前提に立憲との協議を進める考えを強調した。

■参院選伸び悩みで「再結集否定論」を撤回

 立憲民主党が2017年の衆院選で野党第1党に躍り出て以来、枝野氏は「永田町の数合わせには与しない」「それぞれが競い合うことで野党の議席が拡大する」との持論を繰り返し、再結集論を否定してきた。
 しかし、参院選で国民との「身内の争い」(国民幹部)もあって立憲の議席が伸び悩んだため、「次期衆院選では巨大与党に対峙できる大きな野党が必要」とこれまでの主張を一変させた。

 枝野氏は「フェーズが変わった」と説明するが、比例代表に多数擁立したタレント候補が軒並み落選し、枝野氏の選挙戦略への党内の不満や不信が噴き出したことが原因とみられている。さらに、「参院で国民と日本維新の会との統一会派結成の動きが表面化したことで、枝野氏も焦った」(立憲幹部)との指摘もある。 
 ただ、10日の党首会談で枝野氏は玉木氏に対し、会派入りの前提条件として、憲法論議での立憲主義の回復や、原発ゼロ法案などエネルギー関連政策など、立憲が掲げる政策への同調と協力を求めた。立憲が再結集の主導権を握るのが狙いで、統一会派も立憲会派に国民民主が合流する形を提案したため、国民内部からは「上から目線だ」(若手)との反発も出ている。

 統一会派の最終的な目的は「1つの政党になる」ことで、国民には「このままでは対等合併ではなく、立憲への吸収合併になる」(有力幹部)との不満が渦巻く。枝野氏は「野党の『大きな構え』をつくる」と説明するのに対し、玉木氏は「大きな塊」と表現するなど、認識の違いが際立つ。
 一方、統一会派構想の背景には、憲法改正問題での玉木氏の「変心」があることも間違いない。玉木氏は7月のインターネット番組で「私は生まれ変わった」と改憲論議に前向きに取り組む考えを明らかにしたうえで、「首相と議論したい」と踏み込んだ。

 枝野氏が「安倍政権下での改憲論議には応じない」とかたくなな態度を崩さないのに対し、玉木氏は安倍晋三首相との論戦に応じることで、国会の改憲論議での野党側の主導権を握る狙いがあるとされる。
■玉木氏は「原発廃止」には踏み込めない

 ただ、改憲論議に踏み込もうとする玉木氏に、国民内部には「自民党の思うつぼ。首相が主張する国会での改憲論議にすぐ飲み込まれてしまう」(幹部)との不安も広がる。

 国民が参院での統一会派も模索した改憲勢力の日本維新の会も、橋下徹・元大阪市長が「野党は何でも反対か、是々非々で与党に協力するかの二筋道。維新は後者で成功している」とし、玉木氏に「改憲論議での第2の維新」になるよう勧めている。しかし、「それでは党内左派が飛び出して、立憲民主に取り込まれる」(国民若手)ことにもなりかねない。
 その一方で、枝野氏が踏み絵とする原発政策では、国民の党組織の中核となる連合が原発維持派だけに、玉木氏も原発廃止には簡単に踏み込めない。立憲長老の菅直人元首相も、自身のツイッターに「(国民民主党は)原発ゼロに同調できるのか」と疑問を呈する。

 さらに、枝野氏が狙う政権交代には共産党との共闘が不可欠とされるが、国民の大多数の議員は「共産排除」の立場だ。

 そのうえ、参院選で大躍進した「れいわ新選組」を率いる山本太郎前参院議員は、「野党共闘で政権交代を狙う」と公言しており、枝野氏もれいわとの共闘には前向きだ。
 しかし、山本氏は「消費税廃止の旗は降ろさない」としており、財務省出身で財政再建論者の玉木氏にとっては「共闘への高いハードル」(立憲幹部)となる。

■政権構想で旧民主党の二の舞も

 衆院選のために統一会派を組み、その後合流する場合の最大の難問は候補者調整だ。れいわは候補者を100人擁立する方針を掲げ、立憲はすでに170人近い候補者を決めている。そこに国民と社保会議が加われば、候補者調整が混乱し、収拾不能となることは目に見えている。
 しかも、政権構想を掲げるとなれば、憲法改正や消費税、原発などの基本政策での合意はあいまいにせざるをえず、「バラバラ」と揶揄された挙句に分裂した旧民主党の二の舞にもなりかねない。

 一方、新会派の名称も問題だ。立憲は会派名を変えずに吸収合併を狙うが、国民は名称も含めた新会派を主張している。ただ、その名称は将来の新党の名称にもつながるだけに、簡単には決まりそうもない。「立憲も国民も使わなければ、結局、民主党」(立憲幹部)となれば、「まさに昔の名前で出ています」(同)。安倍首相から「本当に、あの悪夢の民主党が戻ってきた」と攻撃されるのは避けられない。 
 そもそも、旧民進系議員は「民主党政権への明確な反省を国民に示さないまま分裂し、新党を作った」(自民幹部)とみられている。「基本政策も変わらず、中枢メンバーも民主党政権時代と同じなら、まさに単なる先祖帰り」(同)となる。

 ただ、現状の「多弱野党」のまま次期衆院選を迎えれば、参院選と同じ結果となる可能性は極めて高い。橋下氏は冗談交じりに「安倍政権を倒す早道は、国会であえて安倍改憲を進めさせて、国民投票で否決させるしかない」と指摘する。
 枝野、玉木両氏は15日に党首会談を開き、最終調整に入る。政権交代を目指して主要野党を背負う両氏にとって、今回の再結集構想が「結果はどうあれ、炎天下での、進むも地獄、退くも地獄の試練」(国民幹部)となることは間違いなさそうだ。
泉 宏 :政治ジャーナリスト

最終更新:8月15日(木)6時30分

東洋経済オンライン

 

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