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新型「MAZDA3」乗ってわかった最新進化の実力

8月15日(木)5時30分配信 東洋経済オンライン

今年5月に販売を開始したマツダの「MAZDA3」(筆者撮影)
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今年5月に販売を開始したマツダの「MAZDA3」(筆者撮影)
 マツダの第7世代商品群が送り出された。記念すべき第1弾は今回紹介する「MAZDA3」で、アクセラから車名を改め5月24日に日本国内での販売を開始している。

 ボディタイプはスタイリッシュな4ドアセダンと、ファストバックを名乗るハッチバックの2タイプ。すでに発売から2カ月以上が経過しているため試乗レポートがおおよそ出そろっている感もある。

 ただし、現時点でメディア向けとして用意された取材可能なグレードは限定的で、さらに公道での試乗は行えていない。よって今回はクローズドコースで限られた内容のレポートになることをお断りしておきたい。
■垣間見えたマツダの方向性

 試乗がかなったのは複数あるパワートレーンのうち2.0Lガソリンと1.8Lターボディーゼル搭載モデル。駆動方式はいずれも前輪駆動のFF方式でトランスミッションは6速ATだ。現時点、ファストバック専用エンジンである1.5Lガソリン搭載モデルは、マツダの正規ディーラーでは試乗できるようだが、メディア向けにはいまだ車両準備が整っておらず試乗できていない。

 また、鳴り物入りで登場したSPCCI(Spark Controlled Compression Ignition/火花点火制御圧縮着火)方式のSKYACTIV-X搭載モデルについては、一部メディア向けに海外で実施された試乗イベントのみで、残念ながら筆者は実車の確認がとれていない、といったところが赤裸々な事情だ。
 それでも筆者はマツダファンのひとりだ。初代NA型、現行ND型ロードスターと乗り継いでいることから、一日も早くMAZDA3の公道における走行性能を確認したいと願っている。今回はクローズドコースで走行シーンも、試乗時間も限られたのは残念であったが、それでも第7世代が目指すマツダの方向性は垣間見ることができた。

 SKYACTIV-Xについては、走行性能など含め詳細は海外試乗会に参加されたメディア陣営が詳しいが、筆者も2017年10月にプロトタイプながらマツダの美祢自動車試験場(山口県美祢市)で試乗し、開発を担当された技術者へのインタビューも行っている。
 そのプロトタイプ車両ではSKYACTIV-Xエンジンのほかに、プラットフォーム全般やドライビングポジションに至るまでの新しい考え方である「スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー」や、安心感の高い車両の安定性を生み出す「スカイアクティブ ビークル ダイナミクス」など、まさに今回のMAZDA3が搭載している新たな意味的価値を体感することができた。

 さらに現場では、Mr.エンジンと称されるマツダのシニアイノベーションフェロー(当時は常務執行役員・シニア技術開発フェロー 技術研究所・統合制御システム開発担当)である人見光夫氏からも燃焼メカニズムについてレクチャーをいただいた。
 その詳細は、SKYACTIV-X搭載モデルを公道で試乗した後にこの場でのレポートを行いたいが、いずれにしろSKYACTIV-Xはマツダが2010年の「2020年に向けたビルディングブロック戦略」や、続く2017年の「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」における大きな目標のひとつであったわけで、こうして実用化にまでたどり着いたことは快挙であり素直に喜ばしく、これぞマツダの執念ともいえよう。
■進化を遂げた先進安全技術

 こうした経緯から、筆者はMAZDA3に対して大いに期待を寄せていた。しかし、2.0Lガソリンと1.8Lターボディーゼル搭載モデルを限定的なクローズドコースだけで試乗した結果から判断すれば、その期待値には少しだけ届かなかったと感じられた。

 誤解のないよう正確に記すならば、MAZDA3全体を通じて期待値以下ということではない。むしろ上回っている部分がほとんどだ。そのひとつがデザインだろう。
 当稿の画像やマツダの公式サイトでも確認いただけるように、内外装デザインは名だたる競合車を前にしてもひときわ光りハッとさせるものがある。ただし、抑揚のあるふくよかなデザインは撮影が難しく、筆者の画像ではありのままの描写とはほど遠い。よってぜひともディーラーで実車を確認いただきたい。

 加えて、先進安全技術群であるi-ACTIVSENSEは昇華されその性能は世界トップクラスにまで成長している。マツダは2020年に自動運転技術を活用し、いつまでも安心して運転が楽しめる「Mazda Co-Pilot Concept」を実装するが、そのMAZDA3では、例えばレーンキープアシストシステムにその布石を実感することができた。
 でも、限られた今回の取材シーンだけで見れば、試乗した2つのモデルの走行性能からはマツダがこれまで声高に主張してきた新世代商品群の意味的価値を見いだすことが難しかった。これが正直なところだ。

 それこそ2017年のプロトタイプ取材で見聞きし体感した者からすれば、もっとドライバーや同乗者に訴えかけるものがあるはずという想いが募る。よって筆者のMAZDA3に対する最終判断は公道での試乗を行ってから改めて行いたい。
■不足している加速フィールの演出方法

 では今回試乗した2.0Lガソリンと1.8Lターボディーゼルに対して筆者は何を思ったのか。以下、具体的に記したい。まず、ガソリンとディーゼルに共通して不足している点は加速フィールの演出方法だ。

 マツダの試乗会ではアクセルペダルを全開にした絶対的な加速力をテストする以外にも、公道をイメージしてジンワリと増速させる試乗ステージを設けることが多い。今回もそうしたシーンが設けられていたのだが、2モデルともに加速フィールが弱いと感じられた。機器を用いて計測すれば不足ないどころか、むしろいいデータが記録されるのかもしれないが、どうも体感値が弱い。
 さらにクローズドコースということで、ETCゲートを通過後にグッと加速するようなシーンを想定したコース設営がなされていたのだが、ここでは2.0Lガソリンの絶対的な加速力が不足気味。試乗時は1名乗車であったが、これが複数でさらに登坂路ではどうなのか。

 原因のひとつに6速ATのギヤ比やシフトプログラムがあるのではないかと推察する。ガソリンモデルでは2→3速、ターボディーゼルでは2→3→4速とシフトアップする度に加速が落ち込みスムースな増速が続かない。
 カタログによれば1~6速、そして最終減速比はガソリン/ターボディーゼルともに同一だが、出力やトルク特性の関係から先の状況では体感加速値が弱く感じられたり、加速力にしても不足気味であったりと感じられるのだ。また、この事象は連続する加速度、つまりこれまでマツダが大切にしてきた躍度との関係にも直結する。

 ただし、エンジン単体での出力値は十分で、その証拠に強くアクセルペダルを踏み込むようなシーン、具体的にはアクセルペダルを80%程度踏み込むシーンでは加速フィールは好転し躍度も高めで安定する。
 乗り心地についても興味津々であった。MAZDA3に採用された新しい車両構造技術であるスカイアクティブ ビークル アーキテクチャーは、専用開発タイヤを用いてバネ下(タイヤ)からバネ上に伝わる力の波形を滑らかにして衝撃を緩和し、そのタイヤから伝わる力の方向をぶらさずに単純化して制御しやすくしながら、4輪で対角する剛性変動を抑えることで対角での遅れをなくすことを目標にした。

 その実現のためMAZDA3では、バネ上と一体で動き身体との密着性を高めたシートの開発や、遅れなく力を伝達するボディの開発、そしてバネ下からの入力を滑らかにするシャーシの開発を行ってきた。つまり、あらゆる路面状況が考えられる公道で4輪の高い接地性能を確保しつつ、最良の乗り心地となるよう設計されているわけだ。
■SKYACTIV-X搭載モデルは今秋以降発売へ

 2017年のプロトタイプ試乗会では、荒れた路面での走行に加えて路面に5m間隔で突起物を設けスカイアクティブ ビークル アーキテクチャーが謳う専用開発タイヤやダンパー、そしてボディによる減衰、さらにはサスペンションの収束性能を体感するエリアがあったのだが、今回の試乗コースであるテストコースではきれいに舗装された路面ばかりで、持てる性能うち半分も体感できなかったのは残念……。
 2018年夏に小変更を行ったコンパクトSUVである「CX-3」やセダン&ステーションワゴンの「アテンザ」では、スカイアクティブ ビークル アーキテクチャーの要素技術である専用開発タイヤによる恩恵を公道試乗でしっかりと体感できていただけに、フルスペックで導入されたMAZDA3の完成度はきっと高いものがあるはずだ。

 8月初旬現在、広報部からの情報ではSKYACTIV-X搭載モデル以外はすでに販売を開始していて、ガソリン/ターボディーゼルに遅れての販売となっていたSKYACTIV-X搭載モデルも2019年12月中旬に発売される見込みだという。
西村 直人 :交通コメンテーター

最終更新:8月15日(木)7時49分

東洋経済オンライン

 

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