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転職では「成長カーブ」をチェックされている

7月24日(水)6時40分配信 東洋経済オンライン

2社から内定をいただきました。将来的には転職を考えてはいますが、どちらの企業へ進んだほうが転職で有利になるでしょうか?(写真:U-taka/PIXTA)
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2社から内定をいただきました。将来的には転職を考えてはいますが、どちらの企業へ進んだほうが転職で有利になるでしょうか?(写真:U-taka/PIXTA)
→安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

私は大学4年生で、IT技術に精通したコンサルタントになりたいと考え就職活動をしてきました。初めは入社して経験を積んだら独立したいという気持ちから、独立する際に知名度と実力をつけられるA社などの外資コンサルを受けていましたが、最後の最後で落ちてしまいました。
実際にITについて調べ、社員の人とお会いする中で、実力をつけて、再びそうした会社に転職で挑戦できるようになりたいと思い、その後の就職活動を行ってきました。
最終的に客先常駐が勤務体系の中小の独立SI企業と、RPA(ロボットによる業務自動化)について技術を付けたうえでコンサルをすることができるスタートアップベンチャーから内定をいただきました。
自分としては、若いうちからやりたいことに挑戦できるベンチャー企業に関心があるのですが、転職で不利だとか、いつ潰れるかわからないから危険だとか、またRPA自体が需要がなくなるだとかとネガティブなことを周りから言われて不安になりました。
そこで、どちらの企業に行くべきか、それとも就職活動を続けるべきなのか、アドバイスをいただきたくフォームを記入しました。

就活の軸としましては、
1)IT技術をマスターしたうえでコンサルができること
2)転職をする際に不利ではないこと
3)働く中でさまざまなことに触れたり、挑戦したりできること
があります。
そしてお伺いしたいことは、
1)転職するときに見られること
2)ベンチャーから大手や外資企業に転職は難しいのか
の2点です。
よろしくお願い申し上げます。

学生 中村

■ポイントは年齢で変わる

 まずは複数の内定を獲得したとのこと、おめでとうございます。就職を考えるにあたって、ご自身の将来のキャリア開発のことをキチンと考えているあたり、非常に頼もしく感じます。

 さて、その中で頂戴したご質問の「転職の際に見られること」ですが、これは何歳の転職なのかによって見られるポイントは変わってきます。

 一般的に20代の後半あたり(28歳程度までとお考えください)までであれば、いわゆる「ポテンシャル採用」として、その人材の持つ潜在性をいかに評価するか、という視点での評価になることが多いです。
 一方で、それ以降、とりわけ30代からは即戦力としての経験やスキルを主体とした評価になることが多いのです。

 細かい話をすると、30代も後半になるとマネジメント能力や経験も問われてきたり、年齢によって何が重視されるかは異なってくるわけですが、中村さんの現在のご年齢を考慮して、大きくは上記の2点、20代後半までと30代から、の区分で考えていきたいと思います。

 20代後半までの評価ですが、若いうちは当然のことながら仕事における実績がまだ積みあがっていないケースが大半ですから、今までの経験に加えて、今後の成長性でもって先物買い的な評価をせざるをえないケースが大半です。
 逆にいうと、潜在性さえ評価されうるのであれば、いわゆる異業種への転職だって可能な時期ということも言えます。

 加えて、一般的に仕事での実績が積みあがっていない人が多い中で、評価に値する仕事上での実績を出してきているのであれば、これは非常にプラスの評価になるとも言えます。

 実際に私自身も20代後半で、それまでとはまったくの異業種であった戦略コンサル会社への転職を果たしていますが、それは仕事における顕著な実績を有していたことと、以降の成長ポテンシャルが評価されたことなどが大きな要因であったと感じています。
 そして30代にもなると、先ほど申し上げたとおりに「即戦力」として活躍できる人材であるか否か、という評価軸が主体になりますから、ここでは成長性うんぬんではなく、「どんな具体的な付加価値を会社に提供できるか?」が問われることになります。

 すなわち、仕事での経験やスキルが主体となった評価をされることになるわけです。

 具体的な経験やスキルが問われるわけですから、一般的には異業種への転職はこの時期からは困難になってくると考えるべきです。
■「成長カーブ」を意識する

 さて、そのような観点で考えると、一職業人としてつねに念頭に置いておくべきは、「現在の職場にいて、横展開が可能な経験やスキルを積むことができるか」という戦力としての視点と、自分自身の「成長カーブ」の視点です。

 前者はわかりやすいかと思いますが、後者の成長カーブとは、例えば過去1年において、現在いる職場において自分はどれだけ成長をして、その成長角度は高まっているのか否か、ということであり、まさに今後の成長性や潜在力を証明するものなのです。
 いろいろな軸はありますが、客観的にもわかりやすいのは、例えば昇進スピードや年収アップ率などです。

 同期でいちばんの出世頭で24歳で役職になったとか、毎年人事評価が最高評価で年収アップ率が倍増しているとかです。

 こういった現時点の職場における評価は、その後転職を図る際における「品質保証」のような役割を果たします。

 なぜならば、評価する側からしてもいちばん転職者を理解しているであろう現在の職場が高く評価をしている人材は優秀であろう、という先入観を違和感なく持てるからです。
 いずれにせよ、そういった2つの視点でもって自分自身はどこにいればいちばん成長ができるのかを考えたうえで、どの職場を選ぶかを考えてみてください。

■企業の大小は重視すべきポイントではない

 その2つの視点で、客観的にも評価されるような軌道に自分自身を乗せることができるのであれば、その職場がベンチャー企業であるか、大手企業であるかなどはそもそも問題にならないはずです。

 ベンチャー企業だとか大手企業というのは、そもそも一職業人を一個人として評価する際の基準にはなりえませんから、本質的には考える必要のない問題なのです。
 「どこの会社に所属しているか」と「優秀であるか否か」はまったく関係がありませんし、キャリア上その「所属主体」だけによって評価が決まることなんてまったくありません。

 転職にせよ、キャリアにせよ、主語というか評価される主体は「個人」なのです。

 現在たまたまいる「職場のブランド」と「個人としてのブランド」は異なります。

 そこを理解したうえで、自分ブランド磨きを怠らない努力を継続できるか否かが、キャリア開発における大きなポイントだと私は思っています。
 少なくとも私自身は有名大学卒業でもありませんし、大手企業や外資系企業での経験はありませんでしたが、新卒でベンチャー企業に入り、20代で2社の上場企業の役員を経験し、戦略コンサル会社に28歳で転職し、30代で上場企業の社長にまでなっています。

そのような私自身のこのキャリア開発や考え方については拙著『非学歴エリート』を、転職にあたっての視点や戦略については『下剋上転職』をご参照いただければと思います。
 いずれにしましても、所属する会社がどこかではなく、「自分はそこで何ができて、どう成長できるのか」の視点でもって職場は選ぶべきだと考えましょう。

 そういった視点からのキャリア開発が、ひいてはご自身のキャリアの発展につながっていくのです。

 中村さんが社会に出られ、今後ますますご活躍をされることを応援しております。
安井 元康 :『非学歴エリート』著者

最終更新:7月24日(水)6時40分

東洋経済オンライン

 

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