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過去2回の米利下げ局面に倣えば、秋以降は円高方向に動く

7月21日(日)15時30分配信 週刊 金融財政事情

JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長 佐々木 融
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JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長 佐々木 融
〔図表〕市場が織り込む利下げ回数とドル円相場の相関関係
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〔図表〕市場が織り込む利下げ回数とドル円相場の相関関係
 米連邦準備制度理事会(FRB)が7月30、31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で25bpの利下げ(再緩和)を決定する可能性が高まっており、市場もほぼそれを織り込んでいる。注目されるのは今後FRBがどの程度利下げを行うのかという点と、FRBが利下げを開始したあとの米株や米長期金利の動きだ。
 まず、今後FRBがどの程度利下げを行うかについてだが、FF金利先物市場は、FRBの政策金利のボトムは2021年3月ごろで、それまでに合計3.7回程度の利下げが行われることを織り込んでいる(本稿執筆時点)。FF金利先物市場が織り込むFRBの利下げ期待の変化とドル円相場は相関が比較的高い(図表)。この相関に基づくと、市場が21年3月までに合計3回しか利下げが行われないと予想を後退させるとドル円相場は109円台半ばに上昇し、逆に21年3月までに合計5回の利下げが行われるとの見方を織り込むとドル円相場は106円台半ばまで下落することになる。
 ちなみに、こうした相関関係が年末まで続いたとすると、ドル円相場は今年のこれまでのレンジの104.10円~112.40円のレンジの上限、下限どちらも抜けそうにないことになる。そうなると年間レンジは7.6%となり、1980年以降の年間レンジとしては最小となり、3年連続10%以下のレンジ内で推移することとなる。
 FRBが利下げを開始したあとの米株式市場の動きについて、過去2回の利下げ局面を参考に見ると、前回07年9月の利下げ開始後は、その後半月程度、米株は上昇したが、そこがピークとなって反落。その年の12月からリセッション入りとなり、株価は下落基調を続けた。米長期金利も利下げ開始1週間前にそれまでの下げ基調から上昇基調に転じたが、利下げ開始後、半月程度でふたたび下げに転じた。
 前々回の01年1月の利下げ開始時も、米株はほぼ07年9月と同様、利下げ開始後1カ月程度は上昇したが、そこから反落に転じた。米長期金利も同様で、利下げ開始でそれまでの下げ基調がいったん止まり、長期金利は上昇するが、すぐに反落に転じた。リセッション入りは01年3月だった。
 今回のFRB利下げ開始後の米株、米長期金利の動きが、過去2回と同じような動きとなると仮定すると、ドル円相場は8月半ばから後半までは円安方向への動きが見られるかもしれないが、秋以降は円高方向に動くことになる。もちろん、前述のように20~21年に向けてFRBがどの程度利下げを行うかという市場の期待の変化も、ドル円相場にとっては重要になる。FRBが利下げを始めたあとの市場の動きが注目される。(「週刊金融財政事情」2019年7月22日号より転載)
JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長 佐々木 融

最終更新:7月21日(日)15時30分

週刊 金融財政事情

 

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