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東大生の親に「お受験ママ」が異様に少ないワケ

7月20日(土)5時40分配信 東洋経済オンライン

口うるさく「勉強しなさい」と言うかわりに、東大生の親は何をしていたのでしょうか(画像:Fast&Slow/PIXTA)
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口うるさく「勉強しなさい」と言うかわりに、東大生の親は何をしていたのでしょうか(画像:Fast&Slow/PIXTA)
偏差値35から奇跡の東大合格を果たした西岡壱誠氏。そんな彼にとって、東大入試最大の壁は「全科目記述式」という試験形式だったそうです。
「もともと、作文は『大嫌い』で『大の苦手』でした。でも、東大生がみんなやっている書き方に気づいた途端、『大好き』で『大の得意』になり、東大にも合格することができました」
「誰にでも伝わる文章がスラスラ書けるうえに、頭もよくなる作文術」を『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』にまとめた西岡氏が、「東大生の親」の実像を解説します。
■東大生の親は「お受験ママ」が多いという誤解

 「東大生の親って、子どもにめちゃくちゃ勉強させまくってそう」「めちゃくちゃスパルタなお受験ママが多そう」

 大抵、東大生の親のイメージというのはこういうものでしょう。子どもに勉強させまくるスパルタな親がいないと、東大生にはなれないのではないか、と。

 しかし僕が東大生になって、東大生やその親御さんたちを100人以上調査していく中で見えてきたのは、こうした「いわゆるお受験ママ」のイメージとはまったく違った親御さんの像でした。もちろんこういう親御さんも中には存在するのでしょうが、ほとんどの親御さんはスパルタとは程遠いようです。
 例えば、東大生の多くは、親御さんから「勉強しなさい」と言われた記憶がないそうです。親から言われて勉強して、その結果東大に入ったという学生はあまり見かけません。

 では、東大生の親は放任主義が多いのかと言われると、そういうことではないんです。今日は、東大生の親御さんを調査した結果から見えてきた、東大生の親がもつ「親力」を3つ、ご紹介させていただこうと思います。

 調査の中でいちばん印象的だったのは、東大生の親は子どもに「自分で考えさせている」ということでした。
■東大生の親は何事も「強制」しない

親力1:自分で考えさせる
 「勉強しろ」にとどまらず、東大生の親は「これをしなさい」「あれをしなさい」と子どもに話すことはあまりないそうです。「何かをしろと言われたこと自体がそんなにない」と、多くの東大生が話してくれました。

 しかし、では子どもに何も求めなかったのかと言うとそうではなくて、「上から目線で教えたり、命令するのではなく、そこまでの道筋を示す」パターンが多いことがわかりました。
 例えば中学受験の時に、「この学校に行きなさい!」と言われたという東大生は少なく、「この学校だったら、こういうこととか、こういうことができるらしいから、きっと楽しいんじゃない?」と、暗に道を示してもらったという東大生が多かったです。

 また、「これはこういう名前なんだよ、覚えなさい」とただ教えられたのではなく、「これって、どういう意味なんだと思う?」「なんでこういう名前なんだと思う?  一緒に考えてみよう!」と、必ず自分で考えさせてもらえたという東大生が多かったです。
 つまり東大生の親は、受験も勉強も、日常生活のさまざまな場面で、「自分の頭で考えて行動する」ことを支援していたのです。

 たとえ暗に答えが示されていたとしても、自分で考えて、そのうえで自分で選択した物事のほうが、人間は結果を出しやすいです。

 人間の行動を「強制(人から言われてやる)」と「自発(自分からやろうと決める)」の2つに分けたときに、人間は「やれ」と強制されるよりも、「やろう」と自発的に選んだことのほうが、頑張れる生き物なのです。そして東大生の親は、「自発」を引き出しているということです。
親力2:「勉強しろ」は中学まで
 もっとも、「小さいころは勉強しろと言われた」という東大生もある程度いました。でも、それも中学生まで。「高校生になってからは一度も勉強について口出しされたことがない」という東大生も多かったです。

 もちろん、中学受験をして名門進学校に入ってそのまま東大に入った学生や、高校受験で偏差値の高い学校に行った学生はいて、学校を選択するきっかけが親だったという人はいました。中学受験や高校受験のタイミングで親に勉強をバックアップしてもらったという学生は一定数存在します。
 しかし、大学受験となるとなぜか、ピタリと「親から勉強をバックアップしてもらった東大生」の数が減るのです。東大生多しといえど、今まで僕は「東大を受験したのは親がきっかけだった」という学生と会ったことがありません。むしろ「自分の子が東大に行くなんて想像もしていなかった」と言われたという東大生が大半です。

 さきほど僕は、「自発的な選択のほうが頑張れる」という話をしましたが、小さいころから全部自発的に決めるというのはなかなか難しいものです。
 どんな物事の選択も、はじめはある程度人から言われたことをやってみて、自分の中で「型」を作らないといけません。「勉強なんかやりたくないんだ!」と言うのではなく、「親や先生が言うなら、ちょっと勉強頑張ってみようかな」という素直な気持ちがないと、「自分で考えて正しい選択をする」ということができないのです。

 人間の行動を「強制」と「自発」に分ける話をしましたが、100パーセント「自発」だと問題が起こるということです。この2つのバランスが重要なのです。
 そう考えた時に高校生というのは、「強制」ではなく「自発」で動かなければならないタイミングなのだと思います。

 小学校・中学校というのは義務教育ですから、国や社会からの要請で勉強をやらなければならない時間だと考えることができます。ですが、高校生というのは、本人にその自覚がなかったとしても、誰かから強制されて教育を受けているのではなく、「自発的に」勉強する期間です。

 高校生になったら、もう勉強にも、それ以外のことに関しても「強制」ではなく「自発」によって行動させる。そう決めて、どんなに気になっても口出しはしない。そういう教育をしている親御さんが、東大生には多いようです。
■家庭が「気持ちが安らぐ」場所になっている

親力3:「合格してほしい」と思わない
 最後は、「合格してほしい」と思わないというものです。

 ……なんて言うと、「そんなわけないだろ」と思う方が多いと思うんですが、実はこれ、東大生の親御さんの最大の特徴なんです。

 東大生の親御さんは、「自分の息子や娘が東大に合格して、社会的地位を得てほしい」と望んでいることは少ないです。もちろん、「自分の子どもが本気で頑張っている目標」を応援しないわけではありません。でも逆にいえば、親御さんにとって受験というのは、しょせんその程度の話なんです。
 別にそれが東大以外の大学だろうが、「スポーツでいい成績を収める」でも「e-スポーツの選手になる」でも、「自分の子どもが頑張っていること」は平等に応援するべきで、それ以上でもそれ以下でもないと考えている場合が多いんです。

 例えばある東大生は、東大受験を終えて、試験が終わったその日に「お疲れ様の会」を開いてもらったことがいちばんうれしかったと語っていました。合格か不合格かはいったん置いておいて、とりあえず無事に試験を受けることができた。そこまで頑張り続けることができた。結果ではなく、その頑張りを親御さんが評価してくれた……。それがいちばん、うれしかったのだそうです。
 親御さんが結果にこだわってしまうと、どうしても子どもはその重圧を感じてしまいます。

 「落ちたらどうしよう」「受からないと、親が悲しむ」。そういうプレッシャーというのは、ある種「強制」に近いものです。試験会場でどうしても重荷になってしまうこともあります。

 でも逆に、「受かったら親をはじめ、いろんな人が喜んでくれるかもしれないから頑張ろう!」と自発的に思えると、受験生にとってそれはプレッシャーではなくモチベーションになるのです。
 また、受験というのは非常に長いイベントですから、親御さんが受験というイベントを特別扱いしてしまうと、子どもは疲弊してしまいます。気分を休めるはずの家でも受験ムードで、落ちたら地獄・受かれば天国……みたいな感じだと、どうしても途中で無理が祟ってしまうのです。僕はそれで失敗した受験生を何人も見てきました。

 しかし逆に、特別なイベントではなく、ほかのものと同じような扱いで「ダメでもまた頑張ればいい」「この頑張りが無駄になるわけじゃない」と思って試験会場に行くことができると、思わぬ力を発揮することができるかもしれないのです。
 いかがでしょうか?  東大生の親は、子どもが「自発的に」何かを考え、選択し、努力することをいろんな角度から応援していることが多いのです。

 僕も思い返して見ると、偏差値35なのに東大を目指すことを許してくれたり、2浪という選択を許してくれたりと、自発的に行動することを許してもらえたからこそ、今があるように思えてなりません。僕も親になったら、子どもにそう思ってもらえるように接することができればと思います。
西岡 壱誠 :東京大学4年生

最終更新:7月20日(土)5時40分

東洋経済オンライン

 

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