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【日経新聞1面】まだ警戒レベルではないがM&A減損が急増【本日の材料と銘柄】

7月19日(金)12時22分配信 フィスコ

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現在値
武田薬 3,548 -3
富士フHD 4,595 -21
日電産 14,045 -35
キヤノン 2,761 +11
まだ警戒レベルではないがM&A減損が急増
M&A減損が世界で18年度16兆円と危機後最大 価格高騰と景気減速で裏目

M&Aに絡む損失が急拡大、2018年度は世界で約1550億ドル(16兆円強)と前年度比66%増と08年の金融危機後で最大となった。世界的なカネ余りでM&A価格が高騰した後、米中貿易摩擦などで景気減速が重なり、買収した企業の業績が想定より低迷しているためだ。M&Aの割増代金を示す損失発生の原因となる「のれん」は7兆ドル超に積み上がり、損失がさらに膨らむ恐れが否定しきれない。

「のれん」は買収代金のうち相手企業の純資産を超えた部分で、買い手企業の資産となる。買収先企業の業績が悪化すると、資産価値を引き下げる減損損失の計上が必要になる。「のれん」の減損は会計上の損失なので現金流出は伴わないが、自己資本は目減りする。格付けの低下や資金調達コストの上昇を招き、企業の設備投資を妨げることにもなる。

18年度は世界全体で約3.8兆ドル相当のM&Aが実施され、買収代金は買収先企業の利払い税引き後・償却前利益の14.7倍に達し、買収資金の回収に約15年かかる規模だ。M&Aの過熱が指摘された07年度の14.1倍を上回る水準。割高なM&Aで「のれん」が膨らみ、18年度末で約7.2兆ドルと5年前より5割近増加し財務への影響は重くなっており、03年度末約22%だった自己資本に対する「のれん」の比率は18年度末で26%強に上昇。

「のれん」減損の最大は米GEで約220億ドル。過去に買収した仏エネルギー事業の収益性低下で、18年12月期は約230億ドルの最終赤字となった。アイルランドの製薬大手アラガンやスイスのロシュ・ホールディング、ドイツのバイエルなども20億ドル前後を計上、医薬品業界は大型M&Aが多く新薬開発などで当たり外れが出るためだ。中国では産業機械メーカーや半導体装置メーカー、ゲームソフト会社など中小規模の減損が多発、18年度に1億~10億ドルの減損を計上した企業約170社のうち4割が中国企業。

足元で世界景気の減速が懸念され、減損が急増しているが、金融危機当時に比べてひどくはない。「のれん」に対する減損の比率はさほど高くないためだ。18年度は2.3%弱で、08年度は6.6%強、ITバブル崩壊後の01年度は5.2%弱に達した。但し、金融市場が荒れたり、企業業績が大幅に悪化したりすれば、M&Aに絡む損失はさらに膨らむ可能性がある。

世界的に高水準なM&Aに対する減損損失が急増傾向にあるが、まだ従来の危機ほどには悪化してはいない。世界景気の減速が懸念されているものの、足元の世界経済は米国を中心に堅調に推移し、企業業績も高水準を維持しているためだが、先行き警戒が必要とも言える。M&Aで目立つ日本企業は以下の通りだ。



<6594>日電産{精密モータ世界最大手、M&A連発で車載/家電/産業用モータが急拡大}
<7751>キヤノン {OA・デジカメ・医療機器と多角化、監視カメラ・医療で大型M&A}
<4901>富士フイルム{複写機・電子材料・医療など多角化、M&Aでヘルスケアを強化}
<4502>武田{日本最大の製薬会社、19年1月に6兆2000億円でシャイアー社を買収}
※この記事は、無料のスマートフォンアプリ「FISCO」に先行配信された記事を転載したものです。
《ST》
株式会社フィスコ

最終更新:7月19日(金)12時50分

フィスコ

 

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