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国民民主党・玉木代表が密かに話題になる理由

7月18日(木)6時30分配信 東洋経済オンライン

国民民主党の玉木雄一郎代表はSNSを駆使しており、中でもYouTubeはテロップを使い、動画を短めにまとめていてわかりやすいと好感度が高い(筆者撮影)  
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国民民主党の玉木雄一郎代表はSNSを駆使しており、中でもYouTubeはテロップを使い、動画を短めにまとめていてわかりやすいと好感度が高い(筆者撮影)  
今年に入り、自民党が若者向けに作った広告が相次いで賛否両論となり、話題を呼んでいます。いったい何がズレていて、何が刺さっているのか?  前回記事に続き、今回は野党議員のSNS活用について、若者研究家の原田曜平さんと、現役高校生・大学生たちが検証します。

【座談会参加者】浅見悦子(大学4年)、松崎瑞穂(大学3年)、富山連太郎(大学1年)、丸山あかね(高校3年)、須藤志央里(大学4年)
前回記事:なぜ若者は「河野太郎外相」を高く評価するのか
■蓮舫氏「か、か、か、か、か、かあいいなぁ。」

 原田:政治家個人が運用しているSNS、前回は自民党議員を分析しました。今回は野党議員に注目してみましょう。立憲民主党副代表の蓮舫さんからいこうか。

 須藤:蓮舫さんのインスタグラムは息子さんや飼い猫、スイーツの写真など、プライベートな投稿が多くて、すごく親近感が湧きますね。

 原田:前回も出てきたように、基本的にインスタはオフショットを投稿する場で、それをわかっていてきちんと載せている人の評価は高いんだね。
 松崎:Twitterでアザラシの動画に「か、か、か、か、か、かあいいなぁ。」って、政治と全然関係ないコメントをしてたのはよかったです。この人も人間なんだって思えて。

 原田:普段から厳しそうな人である分(笑)、インスタでプライベート投稿をされるとギャップが生まれて好感度が上がるのかもね。でもそういう、プライベートとか政治に関係ないコメントとかって、蓮舫さんというキャラだからよかったりしないの?  おじさん議員が投稿しててもいいの? 
 松崎:年配の男性でもいいなって思いますよ。私は、一生懸命若者のトレンドを取り入れようとしている感のある画像が投稿されていたら、思わず「いいね」を押してしまうと思います。例えば議員の方がチーズドッグ食べたり、タピオカドリンクを飲んだりしている画像が回ってきたら、思わず目にとめてしまうと思います。若者に発信しようとしていることが伝わります。

 原田:僕は何か違和感があるけどなあ。今の若者は案外と素直に受け入れるんだね。
 須藤:もっと投稿内容にユーモアがあると、より刺さりそうですね。

 松崎:ただ蓮舫さん、インスタはうまいけどTwitterはそうでもないです。立憲民主党の国会情報アカウントのリツイートが多くて、そればっかりなら立憲民主党のアカウントをフォローしても変わらないので。引用リツイートでコメントしたほうがいい。

 原田:前回も出てきたけど、「リツイート投稿」はやめたほうがいいんだね。評価ががぐっと下がるよね。
 丸山:その点、立憲民主党党首の枝野幸男さんは、引用リツイートなので好感度高いです。自分の対談についてのリンクにも、そこで話し合った内容や感想が書かれているので、「あ、そういう対談だったんだな」とわかる。一般の方の投稿に「いいね」もしてくれているので、国民のことを真剣に考えてるようにも感じられます。

 原田:前回の河野太郎外務大臣のときにも出てきたね。「リツイート投稿」はダメだけど、「引用リツイート」は好感度が上がる、と。
■SNSを使いこなす玉木雄一郎代表

 原田:国民民主党の玉木雄一郎代表はどうですか?  SNSもたくさんやっているし、YouTubeでは「たまきチャンネル」も開設しているようです。

 富山:このYouTube、かなりYouTuber風で面白いと思います。

 原田:YouTuber風ってどういうこと? 

 富山:自分の発言に対してしっかりテロップを入れていて、政治の話題だけではなく、グッズ紹介などプライベートな話題も取り上げている点です。
 松崎:玉木さんのYouTube、テロップもあるし、動画を短めにまとめてるのもいいですね。ただ玉木さん、YouTubeがいいのに比べると、Twitterがちょっとまじめすぎます。枝野さんみたいに絵文字を使えばいいのに。

 政治に関連する難しい用語ばかりを使われてしまうと、とっつきにくい印象を若者は抱くかもしれないので、若者向けに投稿をする際は、できるだけ専門用語をくだいてツイートしたほうがいいかもしれないです。
 ただ、玉木さんの場合、難しい用語ばかりを使われているわけではないし、ハッシュタグを盛り込みながらうまくツイートされてるので、そこに1つ絵文字が加われば、より明るい印象のツイートになるのではないかと思います。

 浅見:私が見た中では、玉木さんがいちばん引用リツイートをして意見をしっかり投稿されているので、好感度が高いです。

 丸山:玉木さんのインスタはプライベート感ありますね。ラーメンの写真とか載せてるし、本人の写真も清潔感がある。
 松崎:あと全体的な統一感もあります。

 原田:出た、「統一感」!  上の世代にいちばんわからないインスタの統一感を玉木さんは理解しているんだ。

 丸山:iPhoneのポートレート機能も使いこなしてますし。背景がボケてるのでわかります。

 原田:最近は加工アプリを使わずに、iPhoneにもともと備わっているポートレート機能を使って写真を撮る若者も多いけど、やっぱりそれがいいんだ? 

 丸山:いえ、必ずしもポートレート機能がいいというわけじゃないんですけど、大人の方がスマホのノーマルカメラ以外の機能を駆使しているところがポイントなんだと思います。
 原田:なるほどね。ちゃんと若者のトレンドを押さえておくだけで、若者たちからは好感を持たれるのかもしれないね。

■玉木代表のSNS戦略は全体的にうまくいっている

 しかし、ここまでできていることを考えると、彼はコンサルやらアドバイザーやらを入れているか、少なくとも若者の意見をかなり取り入れているか、若者に運用してもらっているか、何か「他力」を取り入れているんだろうね。あるいは自分で猛烈に研究しているとか。
 松崎:まるで飛ばされているようなポーズや、集中線を入れた加工が面白くていいと思います。

 須藤:せっかくYouTubeに力を入れてやっているんだから、インスタのストーリーズからURLタップでYouTubeに飛ばせるようにしたらいいのに。せっかくポップなインスタを作れているんだから、ここで引き付けてほかのメディアに飛ばさないともったいないですよ。

 原田:彼のSNS戦略は全体的に大変うまくできているけど、まだ惜しいところもあり、もっとよくなる可能性も秘めているんだね。まだ完璧にSNSを使いこなしている政党や政治家はゼロに近いってことかもしれないね。
 松崎:あ、でもインスタは1万フォロワーいないと、インスタのストーリーズにURLのタグ付けができないから難しいかも。今の玉木さんのフォロワーは2200人くらいだから難しいかもしれませんね。

 原田:なるほど。玉木代表は政党の党首の中で最もSNSを使いこなしている可能性があるものの、彼自身やSNS自身の認知度や人気がまだそれ程高くない、ということだろうか。政党として、政治家として国民の関心がそもそも高くないと、こうして使えないツールがあるなんてSNSって残酷な面があるんだね。
 ちなみに、同じく国民民主党の小沢一郎氏は?  Twitterのアカウント名が「小沢一郎(事務所)」となっているけど? 

 富山:スタッフがやっていると書いてあるとおり、小沢さん個人の意見はあまりないですね。ほかの政治家のリツイートばかりで、自身のツイートと比率を見ると20対1程度であまりにリツイートが多いように感じます。

 浅見:公明党の山口那津男代表のTwitterも、少し前までは「山口なつお(那津男)スタッフ」というアカウント名でスタッフさんがつぶやいていましたが、今はアカウント名から「スタッフ」が抜けて、ご本人がつぶやいているようです。
 丸山:なんにせよ、本人がやらないとあまり見てもらえないかも。橋本環奈のマネジャーとかじゃない限り、許されないでしょう(笑)。

 原田:スタッフアカウントでやっても見てもらえるはずがないって、山口代表は気づいたのかしらね。ご高齢の政治家の皆さんは大変だと思うけど、本当に日本の未来を、未来を背負う若者のことを考えているのであれば、必死に自分自身でスマホでつぶやくべき時代になっているのかもしれないね。日本共産党委員長・志位和夫氏は? 
■日本共産党・志位委員長のツイッターは? 

 丸山:Twitterは、政治の内側のことを知っていないとわからないツイートが多いですね。ちゃんと政治に関心ある大人だったら読んで理解できると思うんですけど、私にはちょっとハードルが高いです。

 原田:共産党支持者や、政治に興味ある年配層限定にしかわからない投稿だと? 

 丸山:正直、選挙区がどうこう言われても、若者的にはわからないです。

 原田:投稿で「その政治家が誰を見ているか」が明確に可視化されてしまうシビアな時代になっているんですね。
 政治は本来オールターゲットのものであるべきだから、さまざまなタイプの国民別に、SNS自体や表現方法を変えながら情報発信をしていかないといけなくなっているのかもしれないね。

 安易に小難しい情報を発信すると、「上から目線」と若者に突っ込まれて支持が下がってしまうかもしれないんだね。

 原田:さて、まとめに入りましょう。賛否両論が強かった『ViVi』と自民党とのコラボを皮切りに、#自民党2019、政党が発信するSNS、政治家個人が発信するSNSを順々に見てきたわけだけど、若者に政治への興味を持たせるには、結局SNSをどう運用すればいいのかな。
 浅見:一言でいうと、「堅すぎない」ように使うことじゃないでしょうか。例えば文章ひとつとっても、「。」とか「!」で終わるのではなく、絵文字を使うとか、わざと平仮名を交ぜるとか。そういうあざとさも、これからの政治家には必要になってくると思います。

 原田:昔の政治家のあざとさとは、まったく違うあざとさですね。言っていることと思っていることが違うといった昔のあざとさではなく、絵文字やひらがなを使うというあざとさが必要な時代だと。
 松崎:何度も出ている意見ですが、やはり親近感を強めるのを意識することがすごく大事です。政治家って私たちからすると別世界の人なので、存在が遠く感じてしまうんです。なので、議員の人たちが過去の受験の失敗みたいなことをYouTube上で話してくれたらぐっと親近感が湧くと思います。

 原田:確かにすごいって思っている人の失敗談を聞くと、ぐっと距離が近く感じられるようになることってあるよね。でも、そう考えると、君たちは議員さんたちのことを単に距離の遠い存在ではなく、ちょっと「上」の存在だと思っているんだね。となると、「いかに下りられるか」が距離を近づけるポイントですね。
■政治家が若者と接点を持つためには

 富山:若者は政治家にどうやって意見を伝えていいのかわからないので、Twitterで簡単に伝えられたらいいなと思いました。あと、政治家の皆さんはもっとインスタとTwitterを活用したほうがいいかと。それも、ただの活動報告ではなくて、家族との写真や遊んでいるときの写真も載せると親近感が湧きますし、ニュースで取り上げられる可能性も高くなるので。

 わかりやすい例でいうと、河野太郎さんの「ベーコン」の話題や安倍首相の芸能人とのセルフィーなどの投稿は、賛否両論ありながらもネットニュースやテレビ番組で紹介されています。
 原田:確かに若者の声をどこから直接伝えたらいいかわからないよね。ただでさえ超高齢化が進み、若者の声が届かないムードにこの国は全体的になってしまっているのだから、「目安箱」みたいなものがあればいいのにね。若者が質問や意見を言うと必ず返信してくれるっていう場所。労力はかなりかかるだろうけど、政治と若者の距離は近づくよね。

 須藤:本当に若者と接点を作ることが大切だと思います。Twitterのアンケート機能を使うとか、ツイートをお気に入りにしてくれたりとか。私たちの声を実際に拾っているかどうかはわからないにしても、せめて「拾おうとしてる姿勢」が見られたらいいなと。
 原田:本当は政治が「姿勢」や「感」でいいはずがないのだけど、今はそれすらないから、せめてそれくらいほしいということだね。

 丸山:私は政治家の方は、SNS上でそこまで政治的な発言をしなくてもいいんじゃないかと思うんですよ。

 原田:え、どうして? 

 丸山:例えば、Twitterでまじめに政治のことをつぶやいても、すぐ大人のアンチが出てきて、いざこざが起きる。私たち若者がそれを見る頃には、すでにアンチコメントで埋まってて、そっちが先に目に入ってしまう。その人を正当に評価したいのに、先に悪いイメージがついちゃうんです。
 だったらプライベート情報だけを発信して、自分の人となりを伝えることだけに徹したほうがよくないですかね。それこそ親近感も湧きますし。

 原田:うーん、アンチコメントを怖がって、政治家が政治の話をまったくつぶやかないというのも、僕は違うと思いますね。

 今回の連載は、若者視点で「政党、政治家がSNSをどう改良すべきか」という切り口で皆で話してきたけど、「若者の政治離れ」の原因は政党・政治家側だけにあるのではなく、若者側にもあるのではないかと思います。
 自分の主張を堂々とした結果、仮に自分のアカウントがアンチコメントで埋まったとして、そこに何の問題があるんだろうか?  その主張が人を傷つけるものだったり、社会的に明らかに問題がある意見だとしたら別ですが。

 SNSに行きすぎた批判を書く人は決してマジョリティーなんかではなく、実は賛同している人がサイレントマジョリティーであることも多いかもしれない。そもそも問われているのは「自分がどう評価するか」であって、周りの人の評価は関係ないはずです。
 今の若者の皆さんはSNSにかなりの時間を費やして生活している人が多いので、SNS上の意見から影響を受けすぎてしまう面があるように感じています。

 ぜひ、政党・政治家にもどんどん自己主張して、代わりに自分たちもしっかりと自分の強い意見を持ってほしいと思います。まあ、上の世代ができているかって言うと、本当に難しいんだけども。

■政治家のSNSセルフブランディングは甘い

 原田:あとは、政治家のSNSによるセルフブランディングは足りないと若者たちには思われているよね。
 松崎:そうですね。ほとんどの政治家の方に言えることですが、Twitterのプロフィール欄がとても寂しいので、改善する余地があると思います。

 私たちが彼らのアカウントに行き着いたとき、まずプロフィール欄を見て、「この人は私にとって有益なことをつぶやくかどうか」「自分が得たい情報を得られそうか」を判断するので。肩書だけでなく、自分のスタンスやビジョンをプロフィール欄に盛り込んだほうがいいです。

 情報発信アカウントで、プロフィール作りが上手いな、と思う人はいくつか特徴があります。1つ目は、プロフィールの欄に自分が発信する内容に関連した情報を入れている人。例えば、旅行系の情報を発信するアカウントだったら、世界一周/バックパッカー/旅/海外旅行、と入れるといった感じです。自分の趣味や好きなものの情報を入れていると、その人がどんな人なのかわかります。
 2つ目は、プロフィール欄に今の自分に至るまでの経歴を書いている人。例えば中学生の時に発病&完治→次は自分が病気を治す人になりたいと思う→○○大学で○○について研究中→○○医者、といった感じです。その人の情報が一瞬にして分かるし、その人のストーリーについて知ることもできます。

 丸山:本人の写真に関していうと、清潔感を大事にしてほしい。いくら写真をたくさん載せていても、清潔感がないと魅力的に見えません。写真も大体暗いですし、楽しそうに見えません。盛ってとは言いませんが、写真を明るくするくらいはしてもいいかもしれません。
 原田:インスタグラマーの皆さんのように、いいカメラを持ち歩け、とまでは言わないけど、「清潔感のある写真」は心がけなくてはいけない、これは上の世代にとっては現実社会と同じ状況ですね。

■SNSは若者にとって政治が身近になるチャンス

 松崎:インスタはSNSの中で運用するのにいちばん労力がかかり、いちばんセルフブランディング力が求められるツールだと思います。

 もし若者への認知度を高めたいと強く願っているのならインスタをやったほうがいいですが、そこまで強く願っていないなら、運用する意味は薄いかもしれません。中途半端にインスタを運用しても、フォロワーは最初から政治に感心のある人、もしくは知人だけになり、認知を広めるツールではなくなるからです。それって、ただのアルバムですよね。
 原田:安易にインスタに手を出せばいいかというとそうではない、と。より労力がかかるSNSでもあるから、やるなら本気でやらないといけない。

 さて、この座談会を通じて全体的に感じたのは、確かに若者は政治離れしているんだろうけど、テレビや新聞でしか政治に接することができなかった過去に比べて、SNSが普及した今は若者にとって政治が身近になるチャンスではあるんだけどね。

 ただ、ちょっとした関心があったとしても、どこで政治と接点を持っていいのか、若者たちはわかりかねてるようにも見えます。この状況に対してSNSを使って歩み寄るべきは、まさに政治家の皆さんということですね。この座談会はぜひ政治家の方にも読んでもらえて少しでも参考にしてくれたらありがたいですね。
 松崎:私、議員さん向けにSNS運用マニュアル作りますよ(笑)。

 (構成:稲田豊史)
原田 曜平 :マーケティングアナリスト

最終更新:7月18日(木)6時30分

東洋経済オンライン

 

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