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金は米利下げ観測を支えに6年ぶり高値、一段の上値はあるか? <コモディティ特集>

7月17日(水)13時30分配信 株探ニュース

minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行
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minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 金の現物相場は、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)をきっかけに急伸すると、米中の貿易戦争に対する懸念も支援要因となり、2013年5月以来の高値1438.39ドルをつけた。
 その後は米中首脳会談で貿易戦争休戦の合意を受けて調整局面を迎えたが、景気の先行き懸念などが下支えとなった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言で利下げを示唆し、月末のFOMCで利下げが見込まれているが、好調な米経済指標から大幅利下げ観測が後退し、金の上値を抑える要因になった。

 ただ、国際通貨基金(IMF)がユーロ圏に関する年次報告書で、ユーロ圏経済は通商を巡る緊張の高まりのほか、英国の欧州連合(EU)離脱やイタリアの債務問題などのリスクに直面しているとの見解を示し、欧州中央銀行(ECB)の新たな刺激策への支持を表明した。また、第2四半期の中国の国内総生産(GDP)は前年比6.2%増と1992年第1四半期以来、27年ぶりの低い伸びとなった。世界経済の先行き懸念から金ETF(上場投信)が逃避先として買われると、金が引き続き上値を試す可能性がある。

●月末の米FOMCで約10年ぶりの利下げ見通し

 パウエルFRB議長は10日、下院金融サービス委員会で証言し、貿易摩擦や世界経済の減速による米景気拡大への影響に対処するため「必要に応じ行動する」と述べた。議長の発言を受けて月末のFOMCで約10年ぶりの利下げが実施される見通しとなった。

 6月のFOMC声明では、不確実性の増大などに対応するために年内に最大0.5%の利下げが実施される可能性があることが示唆されており、議長の議会証言で改めて利下げの可能性が示された。6月の議事要旨では「かなり弱い設備投資」、「インフレ率のみならず期待インフレ率も弱まる可能性」、「通商問題」、「高水準の連邦債務」、「低所得者層の相対的停滞」などが経済見通しの重しになるのであれば、より緩和的な金融政策を実施する論拠が強まってきたとした。

 CMEのフェドウォッチによると、15日の米短期金利先物市場で7月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は2.00~2.25%(0.25%利下げ)が70.3%(前週93.6%)、1.75~2.00%(0.50%利下げ)が29.7%(前週6.4%)となった。

 ただ、好調な米経済指標を受けてFRBの大幅利下げ観測は後退した。6月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は22万4000人増と5ヵ月ぶりの大幅な伸びとなり、事前予想の16万人増を上回った。4月と5月を合わせた雇用者数は従来から1万1000人下方改定された。失業率は0.1%ポイント上昇の3.7%。時間当たり賃金は前月比0.2%(6セント)増。
 また、6月の米消費者物価指数(CPI)で、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.3%上昇し、2018年1月以来の大幅な伸びとなった。事前予想は0.2%上昇。総合指数は2ヵ月連続で同0.1%上昇となった。好調な米経済指標が続くと、月末のFOMCでは0.25%利下げが決定され、年末までに景気見通しやインフレ動向を確認しながら、さらに0.25%の利下げが決定されることになりそうだ。

●米中の貿易戦争休戦合意も通商協議は難航との見方

 第2四半期の中国GDPは前年比6.2%増と、第1四半期の6.4%増から鈍化した。米国が関税引き上げなど圧力を強めるなか、内需、外需ともに減少し、少なくとも1992年第1四半期以来、27年ぶりの低い伸びとなった。

 トランプ米大統領は、中国経済の減速は米国による対中関税が「大きな影響」を与えている証しだと指摘し、米中通商協議が再開するなか、米政府は中国に一段の圧力を加える可能性があるとけん制した。

 6月29日の米中首脳会談では通商協議を再開することで合意し、米国の対中追加関税発動は見送られた。また、華為技術(ファーウェイ)に対する禁輸措置を緩和し、米企業に同社への製品売却の再開を認めるとした。ただ、米国はこれまでに発動された制裁関税は維持するとしており、景気の先行き懸念が残っている。

 米中の通商協議で電話協議が再開されたが、中国は交渉合意にはこれまでの関税措置を米国が撤回することが不可欠との立場を崩していない。協議が難航し、合意までに時間がかかるとの見方も強く、世界経済の先行き懸念につながる可能性がある。

●金ETF残高は引き続き増加

 金の内部要因では、金ETF残高が増加し、FRBの利下げ観測を受けて逃避買いが入った。世界最大の金ETFであるSPDRゴールドの現物保有高は7月15日時点で800.54トンとなり、6月19日のFOMC以降、36.44トン増加した。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは、7月に入り引き続き拡大し2016年9月以来の高水準となった。7月2日時点で25万8946枚となり、6月のFOMC時の20万4323枚からさらに拡大した。9日時点は24万4763枚。月末のFOMCを控えて好調な経済指標が続くと、利食い売り主導の調整局面も警戒される。

(minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

株探ニュース(minkabu PRESS)

最終更新:7月17日(水)13時30分

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