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「米利下げ後に円高が進む説」への懐疑。円高ピークを示唆する2つのフォーメーション

7月13日(土)14時01分配信 ザイFX!

■重要なのは、市場センチメントに惑わされないこと

米長期金利(米10年物国債の利回り) 日足 (出所:Bloomberg)
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米長期金利(米10年物国債の利回り) 日足 (出所:Bloomberg)
 前回のコラムでは、米長期金利の底打ちや反騰の可能性を強調した。

 先週末(2019年7月5日)に発表された、想定より良かった米雇用統計を受け、その兆しはすでに出ており、米長期金利(米10年物国債の利回り) は一時2.14%台に乗せた。

 マーケットの心はそもそも秋の空。6月米雇用統計を受け、50bpsの利下げといった過激な予想はいったん後退したものの、一昨日(7月10日)のFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言が「ハト派」と見なされ、そのような観測がまた巻き戻された。

 いずれにせよ、マーケットのセンチメントは移り変わりやすく、材料に大きく左右されるのも常態なので、今さらサプライズ云々と言うものではなかろう。

 重要なのは、市場センチメントに惑わされず、相場の内部構造に従うことだ。米国株の史上最高値更新が続いている現状では、リスクオフ云々の言説に左右されず、冷静かつ常識的に考えれば、おのずと答えが出てくるのではないかと思う。

■リスクオフを理由に円高を主張するのは現実的でない

 本コラムでも取り上げたように、米国が11年も続く景気拡大サイクルにある中で、米長期金利が2008年年末時点の水準よりも下回っていたことはやはり行きすぎであろう。

 こういった認識や考え方は、いわゆる常識の範囲でおのずと得られるものだから、別にエコノミスト、あるいはアナリストの解釈を聞かなくてもできるはずだ。

 そして、米株三大指数がバラバラで、そろって高値更新ができていないうちは、米株高の可能性を疑い、リスクオフの可能性を警戒するのは仕方がないが、三大指数がそろって史上最高値を更新し続ける現在、なお、リスクオフ云々で米長期金利の一段の低下、また、円高の可能性を主張するのは、やはり現実的ではないと思う。

■利下げ幅は大半織り込み済みで市場は反応せず?

 さらに、市場センチメントに流されないように注意しなければならない。

 今月(7月)、米利下げがあること自体には懸念がない。相場が波乱含みになりやすいのは利下げ幅に関する憶測や思惑に関してだろう。だが、重要なのはそこではないと思う。利下げ幅がどうであれ、重要なのは相場がその大半を織り込んだかどうかにあるはずだ。

 結論から申し上げると、利下げ自体はもちろん、利下げ幅の可能性に関しても相場はその大半を織り込んでいる公算が大きい。

 相場は常に将来を見据えて値段を形成していくから、あらゆる推測や思惑を織り込み、また、先駆けて反応している。実際、利下げが実施されたあとは、利下げ幅がどうであれ、相場が事後的に反応してくることはないだろう。

 ゆえに、米利下げ後、一段と円高が進むといった論調に、筆者は懐疑的だ。仮に利下げ後、一段と円高が進む市況が見られる場合、それはきっと新しい材料の浮上など別の要素で動かされたのであって、現時点の材料を改めて反映したものではないはずだ。この意味では、円高のピークはすでに過ぎた可能性が大きいかとみる。

 もちろん、今月(7月)、利下げが実施されると、次回の利下げ時期や利下げ幅に関する論議や推測がまた市場センチメントを支配し、さらに円高をもたらす可能性はある。

 しかし、よく考えてみればわかるように、そもそも市場は年内2、3回の利下げありといった思惑を織り込んだ上で今のレートを形成しているから、やはり、次回の利下げに関する思惑で大幅に円高の余地が拡大するとは限らない。

■円高ピークを示唆する2つのフォーメーション

米ドル/円 日足 (出所:FXブロードネット)
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米ドル/円 日足 (出所:FXブロードネット)
 たびたび指摘してきように、米株高が「ホンモノ」で、かつ継続されているうちは、リスクオフの円高があっても上値限定なので、円高のピークがすぎたか、近づいているという可能性を無視できない。

 米ドル/円は、6月安値から波乱含みながら切り返しを継続している。足元の日足では、2つのフォーメーションの形成可能性について注意を喚起したい。

 1つは、4月高値を起点とした全下落波が「下落ウェッジ」を形成していたが、7月からその上放れを果たしていること。

 もう1つは6月25日(火)安値を「ヘッド」と見なし、6月5日(水)前後の安値や7月3日(水)安値を「ショルダー」とみる場合、「ヘッド&ショルダーズ・ボトム(※)」(三尊底)を形成しているようにみえることだ。

(※編集部注:「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」とはチャートのパターンの1つで、大底を示す典型的な形とされている。「三尊底」とも呼ばれる。また、「三尊底」の逆で、天井を示す典型的な形が「ヘッド&ショルダーズ」(三尊型))

■「三尊底」を強化するような「スパイクロー」のサインも点灯

米ドル/円 日足 (出所:FXブロードネット)
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米ドル/円 日足 (出所:FXブロードネット)
 さらに、細かく見ていくとわかるように、7月3日(水)の安値は前述の「下落ウェッジ」の上限ラインの延長線を再打診していた。

 また、昨日(7月11日)のローソク足は、典型的な「スパイクロー」のサインを点灯し、前述の「三尊底」のフォーメーションを再強化しているか、再構築しているように見える。

 こういったフォーメーションやプライスアクション上の視点で検証すれば、米ドル/円はこれから安値更新していくよりも、切り返しを継続する可能性が大きいのではないかと思う。

■クロス円は外貨の高安に左右される側面が大きい

ドルインデックス 日足 (出所:Bloomberg)
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ドルインデックス 日足 (出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドル 日足 (出所:Bloomberg)
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ユーロ/米ドル 日足 (出所:Bloomberg)
ユーロ/円 日足 (出所:Bloomberg)
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ユーロ/円 日足 (出所:Bloomberg)
 主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の状況はバラバラであるが、米ドル/円の切り返しに照らして考えると、円高かどうかよりも、外貨の高安に左右される側面が大きい。

 ドルインデックスに関しては、もしかしたら6月安値をもってすでに調整波動を完成させた、という可能性が大きいものの、「二番底」か「最初の押し」を形成してからブル(上昇)トレンドへ復帰する公算が大きい。

 したがって、ユーロ/米ドルは仮に6月高値1.1414ドルをもって切り返しを完成したとしても、たちまちベア(下落)トレンドへ転換するのではなく、もう1回、200日移動平均線前後の上値打診を経てから動き出すのではないかとみる。

 となると、ユーロ/円の保ち合いは、当面続くと思われるが、「底割れ」は回避できる見通しだ。

■豪ドル/円は下放れよりも上放れの可能性が高い

豪ドル/円 日足 (出所:FXブロードネット)
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豪ドル/円 日足 (出所:FXブロードネット)
 対ユーロの強弱で、主要外貨のうち、目先は豪ドル>ユーロ>英ポンドという関係が見られているから、豪ドル/円を取り上げてみれば、ヒントをつかめるのではないかと思う。

 日足を見ればわかるように、6月安値を「ヘッド」と見なした「三尊底」の構造が鮮明になりつつあり、また、昨日(7月11日)のローソク足でその可能性が強化されている。

 昨日(7月11日)の陽線は、7月3日(水)の陽線と同様、強気「リバーサル」のサインを点灯して「ライト・ショルダー」を強化しているように見え、昨日(7月11日)安値前後におけるサポートを維持できれば、下放れよりも上放れの可能性が高いかと思われる。

 つまるところ、相場はすでにサインを点灯しているものの、まだまだ初歩段階なので、円高の再来がもうないとは言い切れない。

 とはいえ、すでに点灯されたサインを無視して、円高一辺倒、また円高ありきの発想や判断もリスキーだと言っておきたい。

 今はブレイクが待ち遠しい気分だが、我慢強く相場をフォローしていくしかない。市況はいかに。

 (11:20執筆)
陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

最終更新:7月13日(土)14時01分

ザイFX!

 

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