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ビットポイントの仮想通貨「3度目の巨額流出」で業界に大逆風の懸念

7月12日(金)19時00分配信 ダイヤモンド・オンライン

ビットポイントジャパンの親会社が発表した、仮想通貨の不正流出に関するお詫びのニュースリリース Photo by Takahiro Tanoue
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ビットポイントジャパンの親会社が発表した、仮想通貨の不正流出に関するお詫びのニュースリリース Photo by Takahiro Tanoue
 7月12日、仮想通貨交換業者のビットポイントジャパンは約35億円相当の仮想通貨の不正流出が起きたと発表した。くしくも同社は、2週間前に金融庁による業務改善命令が解けたばかり。今回の不正流出は、業界全体の信頼回復ムードに水を差す事態となりかねない。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

● 最悪のタイミングで発覚した 約35億円相当の仮想通貨の不正流出

 「正直、厳しいな」――。第一報を耳にした、ある仮想通貨(暗号資産)交換業者の幹部は顔をしかめた。

 その一報とは、7月12日に仮想通貨交換業者のビットポイントジャパンが、ハッキングにより約35億円相当の仮想通貨が不正流出したと発表したもの。

 幹部が顔をしかめた理由は何か。それは、ビットポイントは経営管理態勢やシステムリスク管理態勢の不備を理由に金融庁から業務改善命令を受けており、その命令がわずか2週間前の6月28日に解除されたばかりだったからだ。

 今回、被害に遭ったとされる約35億円の内訳は、顧客からの預かり資産が約25億円で、自社勘定で保有していた資産が約10億円。同社が扱っているビットコインをはじめ、ビットコインキャッシュ、イーサリアム、ライトコイン、リップルの5銘柄にまで被害が及んでいる可能性があるという。

 また、約35億円相当の仮想通貨は全額が「ホットウォレット」と呼ばれるオンライン上の保管場所にあった。同社は自社の保管場所を「ウォームウォレット」と呼び、オンラインにつなぎながらも秘密鍵が暗号化されているなど、セキュリティーレベルはホットウォレットより高いとうたっていた。

 だが、その自慢のセキュリティー体制でも、今回の不正流出を防ぐことはできなかったわけだ。今や、ビットポイントは全ての交換所サービスの停止に追い込まれている。
● 「3度目」の不正流出が 多大な悪影響を及ぼす恐れ

 振り返れば、当時業界最大手と称された交換業者のコインチェックで不正流出が起きたのが、2018年1月26日のこと。当時のレートにして約580億円相当となる仮想通貨の不正流出が発生したことで、高騰を続けていた仮想通貨を巡るお祭りムードは一転する。

 かつてイノベーションと利用者保護のバランスを取りつつ、仮想通貨交換業界が成長することを期待していた金融庁だったが、方針転換。セキュリティー面の不備やマネーロンダリング(資金洗浄)対策が甘いとし、国内交換業者に対して行政処分を連発していったことで業界の信頼は失墜した。

 立て直しを図る国内交換業者は、二分されていた業界団体を一つに統一し、取引に関する自主規制を明確化するなど取引環境の整備に着手していた。ところが、その過程で昨年9月には、交換業者であるザイフにおいて、国内2例目となる約70億円の不正流出が発生した。

 それでも、“問題児”扱いされたコインチェックにおいて新規の口座開設が再開され、6月28日にはビットポイントをはじめ3社の国内業者が業務改善命令を解除されるなど、信頼回復への道を歩んできた。

 さらに、海外では米フェイスブックが独自通貨の「リブラ」を発行すると発表し、国内外で期待感が高まっていた。

 だが、その矢先に国内3例目となる大規模な不正流出が起きた。しかも、金融庁が業務改善命令を解いた直後にだ。確かに、セキュリティー面は「ここまですれば万全というものはない」(別の交換業者幹部)ので、ハッキングリスクをゼロにできないのは事実。それでも、ビットポイントはシステムリスク管理態勢の不備が業務改善命令の理由の一つであり、その水準に「問題なし」として命令を解除した金融庁に対しては、監督官庁としての詰めの甘さを指摘せざるを得ない状況だ。

 となれば、再び業界全体に対する規制の網が厳しくなるという、時計の針が逆回転する事態が起こりかねない。とりわけ、今秋には国際組織の金融活動作業部会(FATF)が日本のマネロン対応状況を審査する予定であり、まさしく今回の不正流出は審査官が目を厳しく光らせる要因になるだろう。

 ビットポイントは今回の不正流出に対し、「責任をもって対応する方針」だとしており、被害者には被害額と同等の補償がなされるものだと見込まれる。

 「ビットポイントが選ばれる4つの理由」と大きく書かれた同社のトップページ。その一つ目の理由に挙がっている「安心・安全のセキュリティ」は、今や虚しく映るのみだ。
ダイヤモンド編集部/田上貴大

最終更新:7月12日(金)19時00分

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