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東大生が断言!地理は「考える力」を爆上げする

7月6日(土)8時00分配信 東洋経済オンライン

「読み書き、そろばん、IT、地理」というくらい「地理の教養」が大切だといいます(画像:Topicimages/PIXTA)
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「読み書き、そろばん、IT、地理」というくらい「地理の教養」が大切だといいます(画像:Topicimages/PIXTA)
偏差値35から奇跡の東大合格を果たした西岡壱誠氏。そんな彼にとって、東大入試最大の壁は「全科目記述式」という試験形式だったそうです。
「もともと、作文は『大嫌い』で『大の苦手』でした。でも、東大生がみんなやっている書き方に気づいた途端、『大好き』で『大の得意』になり、東大にも合格することができました」
「誰にでも伝わる文章がスラスラ書けるうえに、頭もよくなる作文術」を『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』にまとめた西岡氏が、近著『現役東大生の世界一おもしろい教養講座』でも取り上げた、「地理好き」な東大生が多い理由を紹介します。
■東大生には「地理好き」が案外多い

 みなさんは「地理」という科目を勉強したことがありますか?  地理は、地形や気候・人口や産業・都市や資源について勉強する科目です。

 多くの人が、「小学校・中学校でやった」「高校生になってからはそこまでやっていない」という感じだと思います。大学受験の際に地理で受験したという方は、ほとんどいないのではないでしょうか? 

 そんな、ちょっとマイナーなイメージのある地理ですが、実は東京大学は地理という科目を非常に重視しています。
 東大は世界史・日本史・地理の3科目の中から2つの科目を選んで受験しなければなりません。もちろん世界史・日本史を選択する人もいるのですが、多くの受験生は地理を受験科目に選んで勉強しているのです。

 そして、東大生の中でも地理という科目は非常に人気が高いです。東大の中には「地理部」という団体があり、僕自身も東大に入ってから地理の話題で友達と盛り上がることがあります。理系でも地理を選んで受験する人もいます。東大には「地理好き」が多いのです。
 さて、なぜそこまで東大は地理を推していて、東大の学生も地理が好きな人が多いのでしょうか? 

 東大生に「地理推し」が多いのは、地理という科目が「教養の源泉」になるからです。実は、世の中で起きていることは、地形や気候にその原因があることも多いのです。

■「食文化」から「現代政治」まで地理で読み解ける

 例えばみなさんはソーセージを食べるでしょうか?  実はドイツでソーセージがよく食べられるのは、ドイツの気候が寒いことが遠因になっていると考えることができるのです。
ポイント1:「氷河に覆われた地域」は土地が痩せている
 ドイツは寒冷な気候の土地が多く、ドイツ北部にある都市ミュンヘンは、1月の平均気温がマイナス5度にまで冷え込みます。冬は厳しい寒さで雪も降りますし、夏もそれほど気温が高くなりません。

 そして気温が低い地域というのは、土地が痩せていることがあります。ドイツでは昔、氷河という年中解けない大きな氷の塊が土地の上を覆っていました。

 今よりもずっと寒かった氷河期、今でも寒いドイツを含む北ヨーロッパは、氷河という氷で覆われていたのです。そして、基本的に氷河で覆われている地域は、土地が肥沃でなくなるという特徴があります。氷河が土地の表面を削り取って、肥沃な土壌が奪われるからです。だからドイツの北部には、肥沃な土地が少ないのです。
ポイント2:痩せている土地では「家畜」が重要になる
 そういうわけで肥沃な土地が少ないドイツ北部では、「混合農業」という農法を取り入れます。大雑把に言えば、家畜と農作物を同時に育てることで、土地の栄養が低くても安定的に収入を得る農法です。

 家畜を育てるためには土地の肥沃度はそれほど重要ではありませんから、肥沃な土地が少ないドイツ北部でも何の問題もなく家畜を育てられます。むしろ家畜の糞は土地の生産性を高めるいい肥料になることもあります。
 農作物も、人間が食べるものだけではなく、家畜の食べる飼料として作っていてもいいわけです。栄養が少ない土地でも育つ芋を農作物として育てるドイツでは、豚を家畜として選んでいました。豚は何でも食べる動物で、ジャガイモの皮だったり、デンプンを取った後に出てくるかすなども食べてくれるのです。

ポイント3:寒い土地では冬の前に家畜の大半をつぶす
 そして、ドイツでは冬に入る前に豚をさばき、肉として保存する必要がありました。冬の厳しい寒さの中では豚は食べるものがなくて餓死してしまうからです。冬に入る前に大量の豚をさばき、長期的に保存できる形態にしておく……そのために、ソーセージという食べ物が生まれたのです。
 このように、地形や気候を理解することで、身の回りにあるものの成り立ちや原因を知ることができます。地理を勉強しておくと、世の中のいろんなことに説明をつけることができるのです。

 例えば、トランプ氏の台頭も、地理で説明することができます。

 地理では産業を学びます。その中でも自動車産業は大きくクローズアップされ、日本の車は小型で低燃費、アメリカの車は大型だが燃費が悪いことがあると習います。これだけでは「ふーん、そうなんだ」という程度の話ですが、この結果を考えていくと、思わぬところにたどり着きます。
ポイント1:日本車に押されてアメリカ自動車産業が斜陽に
 まず小型で低燃費な日本の車は、石油危機で省エネが叫ばれて以降、アメリカをはじめとする先進国で高い評価を受けることになりました。

 その結果、アメリカの大型車よりも日本の小型車が売れてしまい、デトロイトをはじめとするアメリカ北部の自動車会社は衰退。大量の失業者が出てしまいます。この後、アメリカの産業の中心はカリフォルニア州をはじめとするサンベルトへと移動することとなり、ますます北部は衰退してしまいます。
ポイント2:衰退地域に根強い「保護貿易」への期待
 そしてトランプ氏はもう一度強いアメリカを取り戻すためにと保護貿易を公約に掲げて立候補したわけですが、「日本車を輸入したことによって俺たちは職を追われたんだ!  自由貿易なんてダメだ、保護貿易だ!」と考える北部の人たちの票を取り込むことができたのです。

 日本の車によって職を追われた北部の人たちからの熱い支持を受けたことで、トランプ氏は選挙に勝利した……そんなふうに考えることもできます。こうした自動車をめぐるアメリカと日本の摩擦に関しては、東大の問題でも問われたことがあります。
■地理は「活用できる知識」の宝庫だ

 このように、いろんな物事の原因を探っていくと、実は地理の知識で説明できてしまうことが多いのです。

 東大をはじめとする国公立大学や、2020年入試改革以降に求められる能力というのは、「最低限の知識量を前提として、その知識を活用するための思考力」であるといわれています。

 100個の知識を覚えるのではなくて、10個でいいから、その10個を活用して別の10個を自ら作り出せるようになる必要がある。そう考えたときに、地理というのはその「最低限の、活用できる知識」になりうるのです。
 地理を知っておけば、ほかの物事にもつなげることができる。たくさんの教養を身に付けるのではなく、地理を身に付けることで、いろんな教養にアクセスするための術を持つことができる。これが、東大生が地理を学ぶ理由なのです。

 いかがでしょうか?  実は2022年から、選択科目でしかなかった高校地理が必修科目になることが明らかになっています。人間の数千倍もモノを覚えられるというAIが台頭し、人間の職を脅かすといわれているこれからの時代を生き抜く思考力を養成するためには、地理の勉強をする必要があると考えられているわけです。
 みなさんも、地理を勉強し直すことで、これからの時代に必要な教養を身に付けることができるはずです。ぜひ、やってみてください! 
西岡 壱誠 :東京大学4年生

最終更新:7月6日(土)8時00分

東洋経済オンライン

 

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